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ハイブリッドクラウドとは何か

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ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化する現在、さまざまなニーズや変化にスピーディーに対応できる柔軟性のある企業へとデジタル変革を推進することが強く求められています。そのため、鍵となり注目されているのが「ハイブリッドクラウド」です。
本ページでは、

 

 

について説明していきます。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、複数のクラウド・ベンダーが提供するパブリッククラウドやプライベートクラウド等の組み合わせや、統合により、柔軟で最適なコストの単一ITインフラストラクチャーを構築します。

ハイブリッドクラウド構成図

ハイブリッドクラウドの概略図

 

01. ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、複数の異なる利用者と環境を共用する「パブリッククラウド」や、利用者専用の環境である「プライベートクラウド」、利用者自身が保有するIT資産である「オンプレミス」などを組み合わせてアプリケーションやシステムを稼働させるための管理設定/調整の自動化それぞれの間でアプリケーションの容易な移行を実現するクラウド・インフラストラクチャーです。

ハイブリッド・マルチクラウドは、ハイブリッドクラウドを構成する要素として複数のクラウド・サービス・プロバイダーのパブリッククラウドを組み込んだインフラストラクチャーです。

これらを活用することで、企業は、以下を実現できるようになります。

  • 複数のクラウド・コンピューティング・ベンダーのクラウド・サービスと機能を最適に組み合わせる
  • 各ワークロードに最適なクラウド・コンピューティング環境を選択する
  • 環境の変化に応じてパブリッククラウドとプライベートクラウドの間でワークロードを自由に移動する

同時にハイブリッドクラウド(特にハイブリッド・マルチクラウド)により、パブリッククラウドやプライベートクラウドを単独で利用する場合よりも、

  • 効果的にコスト効率よく技術上の目標とビジネス上の目標を達成できるようになります。

事実、最近の調査によると、企業は、ハイブリッドクラウドを利用した場合、単一のクラウド、単一のベンダーのアプローチに比べ、最大2.5倍の価値を引き出しています。 *調査レポート詳細についてはこちら

 

02. ハイブリッドクラウドのメリット

統合ハイブリッドクラウド戦略は、まだ「アーリー・アダプター」の段階にあります。最近の調査では、マルチクラウド管理プラットフォームを積極的に利用していると報告した組織は13%でした。しかし、このような組織では既に以下のように大きなメリットに繋がっています。

  • ビジネス全体の加速: 製品開発サイクルの短縮、イノベーションと市場投入までの時間の短縮、顧客からのフィードバックへ迅速な対応、顧客により近い場所でのアプリケーションの提供とその迅速化 (エッジe-コマースなど)、新しい製品やサービスを提供するためのパートナーやサード・パーティーとの連携の迅速化などが実現します。
  • 開発者の生産性の向上: 統合ハイブリッドクラウド・プラットフォームにより、アジャイル開発とDevOpsを採用した開発チームは、アプリケーションを1度開発すればすべてのクラウドにデプロイすることができます。
  • インフラストラクチャーの効率性向上とコスト削減: リソースに対する制御がきめ細かくできるため、開発チームとIT運用チームは、パブリッククラウド・サービス、プライベートクラウド、クラウド・ベンダーに対するコストを最適化できます。ハイブリッドクラウドでは、企業はレガシー・アプリケーションのマイグレーションを迅速化することで、オンプレミス・インフラストラクチャーの維持や保守にかかるコストをさらに減らすこともできます。
  • 規制の遵守とセキュリティーの強化: 統合プラットフォームにより、組織は、すべての環境で一貫性のあるクラウド・セキュリティーと規制の遵守を実装することができます。

 

03. ハイブリッドクラウドの仕組み

当初ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは、企業のオンプレミス・データセンターの一部をプライベートクラウドに転換し、それを、IBM Cloud、AWS、Google Cloud Services、Microsoft Azureなどパブリッククラウド・プロバイダーによるパブリッククラウド環境と接続する方法でした。この方法は、Red Hat OpenStack (IBM外部へのリンク)のようなハイブリッドクラウド・ソリューションを使用するか、複数の環境に渡るクラウド・リソースを統合するエンタープライズ・ミドルウェア、リソースの割り当てや監視と管理を単一コンソールで行える統合管理ツールを使用することによって、実現していました。

その結果、ユースケースに応じたITインフラストラクチャーが統一され、下記項目が実現可能となりました。

  • セキュリティーと規制の遵守: 機密データや規制の厳しいワークロードにはファイアウォールの内側にあるプライベートクラウドのリソースを使用し、機密性の低いワークロードやデータには経済的なパブリッククラウドのリソースを使用することで、それぞれのプロセスにあったセキュリティーと規則を遵守します。
  • スケーラビリティーと回復力: パブリッククラウドのコンピュートとストレージのリソースを使用して、プライベートクラウドのワークロードに影響を与えることなく、計画外のトラフィック急増に対応し迅速かつ自動的に安価にスケールアップすることが可能です。これを「クラウドバースト」と呼びます。
  • 新しいテクノロジーの迅速な採用: 最新のSoftware-as-a-Service (SaaS)ソリューションの採用により、新しいオンプレミス・インフラストラクチャーを用意することなく、ソリューションを既存のアプリケーションに統合することができます。
  • レガシー・アプリケーションの強化: パブリッククラウド・サービスを利用して、既存のアプリケーションのユーザー・エクスペリエンスを向上させることで、新しいデバイスに対応します。
  • VMwareマイグレーション: 既存のオンプレミスのワークロードを仮想化されたパブリッククラウドへ「リフト・アンド・シフト」することで、オンプレミス・データセンターのリソースは縮小でき、追加の設備投資を増やす必要もありません。
  • リソース最適化とコスト節約:プライベートクラウドでは予測可能なワークロードを実行し、変動性が高いワークロードをパブリッククラウドに移行します。パブリッククラウドを使用し、必要に応じて開発リソースとテスト・リソースを素早く「スピンアップ」します。

 

最新のハイブリッドクラウド・アーキテクチャー

今日のハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは、物理的な接続よりも、すべての環境にわたってワークロードを移行、可搬できることと、ワークロードの展開を目的に合った最適なクラウド環境へ自動的に行うことに、大きな重点が置かれるようになっています

次のようなトレンドがこのシフトを促しています。

デジタル・トランスフォーメーションの重要なステップとして、組織は新しいアプリケーションの構築とレガシー・アプリケーションのモダナイズ(近代化)にクラウドネイティブ技術を活用しようとしています。これは、複数のクラウド環境やクラウド・ベンダー間であっても、一貫した信頼性の高い開発と、デプロイメント(展開)、管理、パフォーマンスを実現することができるためです。

具体的には、特定のビジネス機能をサービスする、小さく軽量で、疎結合でき、再利用可能なコンポーネントに分割するマイクロサービス・アーキテクチャーを採用した、アプリケーションの構築や変換が行われています。さらに、アプリケーションはコンテナにデプロイしています。コンテナとは、アプリケーション・コードとその実行に必要な仮想化されたOSのライブラリや設定ファイルのみを含む、軽量の実行可能なユニットです。

ハイブリッドクラウドにおいて、パブリッククラウドとプライベートクラウド、オンプレミスは、もはや物理的に接続するための「場所」ではないのです。例えば、多くのクラウド・ベンダーが、顧客のオンプレミスのデータセンターで稼働するパブリッククラウド・サービスを提供し始めています。以前はオンプレミスだけで稼働していたプライベートクラウドは、現在では、クラウドベンダーのデータセンター、仮想プライベート・ネットワーク(VPN)または仮想プライベートクラウド(VPC)、サード・パーティー・プロバイダー(場合によってはパブリッククラウド・プロバイダー)からレンタルする専用インフラストラクチャーでホストされることが多くなっています。

さらに、Infrastructure as Codeと呼ばれるインフラストラクチャーの仮想化により、開発者は、ファイアウォールの内側でも外側でも、あらゆるコンピューティング・リソースやクラウド・リソースを使用して、必要に応じてこのような環境を作成できます。これは、エッジコンピューティングの登場によって、さらに重要性を増しています。エッジコンピューティングは、ワークロードとデータを実際のコンピューティングが行われる場所に近づけることで、グローバルなアプリケーションのパフォーマンスを高める機会を提供しています。

この結果として、最新のハイブリッドクラウドは、以下が組み込まれた統合ハイブリッド・マルチクラウド・プラットフォームを中心に構築されるようになっています

  • すべてのクラウド(パブリックとプライベート)とクラウド・プロバイダーにわたるクラウドネイティブ・アプリケーションの開発とデプロイメントのサポート
  • すべての環境で単一のオペレーティング・システム
  • クラウド環境全体のアプリケーションのデプロイメントを自動化するコンテナ・オーケストレーション・プラットフォーム(業界標準はKubernetes)

クラウドネイティブ開発により、開発者は、モノリシックなアプリケーションをビジネス目的に特化した機能単位に変換することができ、どこでも実行でき、さまざまなアプリケーションで再利用することが可能になります。標準のオペレーティングシステムを使用することで、開発者はハードウェアに依存することなく、アプリケーションをあらゆるコンテナに構築することができます。Kubernetesのオーケストレーションと自動化により、開発者はセキュリティー、ロード・バランシング、スケーラビリティーなどのコンテナの構成とデプロイメントを複数のクラウド環境にまたがって、きめ細かく制御できます。

 

04. IBMだからできること

IBMのハイブリッドクラウド・ソリューションは、アプリケーションとデータの両方に柔軟性とポータビリティーをもたらします。IBMとともに、データの活用範囲を広げ、生産性を向上させましょう。Linux、Kubernetes、コンテナは、Red Hat OpenShiftと組み合わせることで、オンプレミスとクラウドのリソースを接続する共通のプラットフォームを構築できます。

 

製品・サービス・技術 情報

 

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著者について

Sai Vennamは、Kubernetes、OpenShift、マネージド・クラウド・オファリングの専門知識を持つIBMのデベロッパー・アドボケイトです。開発者に最新のテクノロジーを熱く伝えます。趣味として、Raspberry Piとサーバーレス・テクノロジーを用いて自宅のオートメーションに取り組んでいます。

Twitter: @birdsaiview
ブログ: https://www.ibm.com/cloud/blog/sai-vennam (英語)

この投稿は、2019年10月16日に、米国 IBM Cloud Learn Hubに掲載されたブログ(英語)を基に、2021年2月15日時点再編集し公開したものです。

 

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