アナリティクス

SPSS Keywords Online「2015 年のデータ分析、統計解析への展望」~一般性と特殊性~

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慶應義塾大学 商学部 教授 清水聰 氏

「お前が分析で使ったデータはどこでどうやって入手したのか?」

海外の学会や研究会で発表をすると、欧米の研究者から必ず聞かれる質問だ。
ほんの数年前までは「日本人のデータで検証した」と答えると、「そりゃ特殊なケースで一般化は無理だ。」と言って、その場を立ち去る人が多かったが、最近では「そのデータの特殊性は脅威だ。一緒に何か研究できないか?」と言われることが増えてきた。長年、日本の消費者データを題材に研究してきたが、それが弱みから強みに変化してきていることを強く感じる。

インターネット発達以前のデータ分析と言えば、消費者の購買履歴データがメインで、これには大掛かりなPOSシステムが必要だったため、先進国以外でこの類の研究を行うのは難しかった。欧米の研究者はその優位性を十分に利用し、研究をリードしていた。日本の研究者も欧米の研究者と戦えるデータは持っていたが、残念ながら、日本の研究者の多くは(今もそうだが)、欧米で言われた理論を日本に紹介し、日本の消費者を用いてその理論を検証するという前時代的アプローチに注力し、そこから新しい知見や理論を見出そうという気概はほとんどなかった。欧米発の理論の検証を行うのなら、なるべく欧米と条件を揃えた方がいい。そうなると、品質にうるさく、移り気な日本の消費者という特殊なデータの価値は小さい。日本の消費者の特殊性が弱みになっていた時代だった。

しかし、インターネットの発達で、最近ではネット上の回遊行動やクチコミサイトの商品評価などがデータとして利用されることが増えてきた。これらのデータは誰にでもアクセスでき、先進国以外の研究者の参入障壁は低くなった。加えて、Rを筆頭とするフリーソフトの浸透も、それに拍車をかける。これは、ネットのデータを高度に分析しても、何の研究上の競争優位は作れなくなってしまったことを意味する。実際、日本人以外のアジア系の研究者の、欧米学会での躍進は目を見張るものがある。それが上記のような国際学会での欧米人の行動に出てきているわけで、日本の消費者という特殊なデータが、競争優位を持つと思われている。

日本が世界で注目されていた1980年代時代に、先達のマーケティング研究者が日本でモーケティング(儲けてぃんぐ:意味はわかるでしょう)に励むことなく、多少は海外に出て活躍してくれていたら、今の自分たちの世代が海外で苦労しなくて済んだのに、とよく思っていたが、実は、新しい理論を作り出し世界に発信していくには、今がいいチャンスなのではないかと思いはじめている。2015年は是非そういう視点でデータを眺めていきたいと考えている。

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