SPSS Statistics

マーケテイング分野への絶大な貢献

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OPINIONS

朝野 熙彦 氏 中央大学

SPSSの登場がデータ解析の時代を拓いた

SPSSの45年の歴史は、マーケティングの実務と教育に携わってきた私自身の職歴と重なっています。SPSSには長年お世話になり感謝したいと思います。

データ解析のユーザーにとって1960年代末に登場した汎用統計プログラムはまさに救世主でした。自分でプログラミングしなくてもデータ解析ができるという環境が生まれたのです。

当時の汎用統計プログラムの御三家はSPSS,SAS,BMDPでした。その後、BMDPが市場から消え、SPSSのユーザーがどんどん拡大してきたことは皆さんがご存知の通りです。その理由は次の3点にあったと私はみています。

  1. 社会科学向けのプログラムだったBMDPのBMがバイオメディカルの略であったように、当時は生物医学向けの統計プログラムが多かったのです。R.A.フィッシャーらの推測統計学 が、農事試験の中から生まれたという歴史的な背景があったからです。そうした中で、SPSSは社会科学に適したプログラムでした。マーケティング、経営 学、会計学、社会学、心理学のような文系に属する学部学科にSPSSが普及していきました。
  2. よい啓蒙書が貢献した三宅一郎先生と山本嘉一郎先生の「SPSS統計パッケージ(1)基礎編」(東洋経済新報社、1976年)はとても有用な書籍でした。三宅先生は投票行動が専門の政治学者でしたので、世論調査や社会調査の関係者にもSPSSが普及していきました。その後もSPSSのガイドブックは出版され続けました。出版点数は正確に把握していませんが100冊を超えるかもしれません。SPSSを扱っている出版社は沢山ありますが、私には東京図書の発行点数が多いように思われます。
  3. ユーザー・インターフェースが優れていたWindows版のメニュー・ドリブンに早い時期から対応したことがSPSSのファンを急増させました。私が以前奉職していた都立大学には研究者養成コースとビジネススクールがありました。研究者養成コースでは高級言語を使った教育が可能でしたが、ビ ジネススクールでは社会人の院生でしたのでプログラミングを習得する時間的な余裕がなく統計実習に苦労しました。結局はSPSSを使うのが適切だ、という ことになりました。このように利用のハードルを下げることに成功したことがSPSSが伸びてきた理由だとみています。

Statisticsのユーザーが増えることはよいことか

イノベーションによって普及が進むことの副作用については常に議論があります。たとえば自動車が使いやすくなって利用者が増えると交通事故も増える。したがって自動車の大衆化はよくない、という議論と同じです。

SPSSのStatisticsはユーザーが使いやすいように作りこまれていますから、誰でも簡単に使えてしまいます。何の知識もなく Statisticsを使えば誤用も発生するでしょうし、痛い目にも会うでしょう。経験を通じてデータ解析を習得するのも一つの学び方なので、私は積極的 にStatisticsを使うことを推奨します。初心者であればいずれ悩みにぶつかると思いますので、必要にせまられて統計学の勉強をすればよいのです。

これから分析を始める方へ

私が昔、ある会社に勤めていた時のことです。会社に統計プログラムパッケージを導入した時に、ある同僚が「これで統計学を勉強しなくて済むんだな」 と喜びました。これは誤解です。コンピュータと統計プログラムのおかげで、確かに人間が手計算をする必要はなくなりました。けれども統計学への理解は、こ れまでにも増して重要になってきたと思います。まさに統計学は最強の学問でありこれからのデータ・アナリティクに不可欠です。

マーケティング分野においてSPSSはとても重要なツールです。それと同時にSPSSを使いこなすための知識も重要です。後者については大学教育が サポートできることですので、社会人の方に門戸が開かれたビジネススクールで学ぶことをお勧めします。ちなみに小職が勤務します多摩大学は品川に、そして 中央大学は後楽園にキャンパスがありますのでご関心があれば見学にお立ち寄りください。

著者について

朝野 熙彦 氏

中央大学

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