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レジリテック(Resili-Tech) – 最新ITテクノロジーが変革する事業継続の近未来 – 第3回 発想の転換!ハイブリッドIT環境で災害復旧を実現

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seki私が解説します!| 関 英之(せき ひでゆき)

日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス
レジリエンシー・ソリューション企画 部長

 

mukaida向田 隆(むかいだ たかし)

日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス
レジリエンシー事業部 アソシエイト・パートナー

 


1.統合か?分散か? – 繰り返すITインフラのトレンド

企業の業務を支えるITインフラは、歴史上、統合/集約と分散とでトレンドを繰り返しています。

これは、ITインフラをできるだけ規格化し、調達や運用の効率を向上させるという「統合/集約志向」と、新たに出現したキラー技術にもタイムリーにかつ柔軟に対応する「分散志向」のどちらを優先するのか、その時々でトレンドが移り変わっているからです。

そして、現在のトレンドは分散に向かっています。CAMSS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティー)などの最新の要素技術を前提に、コグニティブ、ブロックチェーンなどのキラー技術も加わり、その結果、IoTやフィンテックなどの全く新しいITサービスも実現されています。ITインフラの最近のトレンドは「ハイブリッドIT」として着目され、IDC(*1)の報告でも2017年度中に80%以上のIT組織が「ハイブリッドIT」を扱うと予測しています。

ITinfra

 

2.ハイブリッドIT時代に事業継続/災害対策が求められること

さて、ハイブリッドIT環境でも重要な業務を支える場合には、事業継続や災害対策を検討する必要があります。

それではハイブリッドIT環境でも従来と同じ災害対策技術が活用できるでしょうか?
何か特別な考慮点は存在するでしょうか?

下図は、ある企業が管理するITインフラの各ノード間で送受信されるトラフィックを可視化(*2)したものです。図のように業務を支えるITインフラは複雑な依存関係が存在します。従って災害等によるシステム停止時には、この大変複雑な依存関係を意識して正しい順番で復旧するための手順が必要となります。

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従来の事業継続/災害対策の考え方では、その実効性を確保するために、対象となるITインフラは可能な限り均一化し、簡素化された手順で復旧させることを定石とされたため、統合/集約型のITインフラ環境と高い親和性を持ちました。

しかしながら、現在のトレンドであるハイブリッドIT環境では、1つのビジネス(業務)を実現するために、レガシー、オープンおよびクラウドなどの様々なITインフラで構成されることが前提となります。従って、事業継続/災害対策の実現技術や復旧手順は多様化/複雑化され、もはや人手による対応には限界が生じています。

この課題を解決するために、オートメーション/オーケストレーションという技術が着目されています。

オートメーション/オーケストレーション技術は、復旧させるITインフラは多様化していることを前提として、その復旧作業や進捗監視を可能な限り人手を介さずに自動的に実行するためのブローカー機能を提供します。
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これは、前回のブログ(*3)でご紹介したResili-Tech(レジリテック)のフレーム上では、「③適切なアクションが取れるのか」に該当し、人手を介さない復旧を実現することで、作業ミスの抑制による効率化や品質の向上を図り、その結果として事業継続/災害対策の実効性を向上させることが主目的となる技術エリアです。

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3.IBMのオートメーション/オーケストレーション・テクノロジーとは

2017年11月、IBMは Sanovi Technologies(以下、Sanovi社)を買収しました。
Sanovi社はインドのバンガロールに本社を持ち、災害等によるハイブリッドIT環境停止時におけるオートメーション/オーケストレーション技術を活用した復旧ソリューションをクラウドサービスとして提供しています。既に全世界の370社以上の企業で採用されています。

インド中央銀行(RBI: Reserve Bank of India)の規制(*4)により、インドの金融機関は四半期毎に、システム障害/災害時等を想定した復旧訓練を実施し、それを証明する資料を提出することが義務づけられています。インドではその厳しいニーズに対応する為に、最も進んだオートメーション/オーケストレーション技術が発達しています。
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上図は、Sanovi社ソリューションの管理メニューですが、このソリューションでは以下の5つの機能を提供し、マルチサイトDR(Disaster Recovery)環境の災害復旧を実現します。

検出 (Discover)
多様なプラットフォームを横串に、復旧対象となるITインフラの構成要素であるサーバー、レプリケーション ソフトウェア、データベース、ネットワーク、およびアプリケーションを自動的に検出し、インベントリとして登録できます。

モニタリング (Monitor)
サイト、アプリケーション、レプリケーションの健全性や、リカバリ用の災害復旧システムの準備状況などを、リアルタイムで管理ダッシュボード上に表示できます。

管理 (Manage)
アプリケーションのプロビジョニングシナリオ(復旧手順)や、業界標準のデータベースおよびアプリケーションをカバーした450以上の自動化ライブラリー(復旧スクリプト)など、事前に充分に検証されたベストプラクティスを活用できます。

テスト (Drill)
本番サービスに影響を与えることなく、スイッチオーバー(切り替え)およびスイッチバック(切り戻し)できる機能を提供し、復旧の実行性を担保する訓練・テストを定期的かつ効率的におこなえます。

レポート (Report)
RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)、RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)の充足可否、運用状況、データレプリケーション、WAN使用率など様々なレポート(グラフィカルおよび表形式)を作成できます。

 


*1 IDC FutureScape: Worldwide Cloud 2016 Predictions — Mastering the Raw Material of Digital Transformation

*2 IBMのプロジェクトご支援経験に基づいた汎用化された例を紹介しており、特定の企業の構成を表しているものではありません。

*3 レジリテック(Resili-Tech) – 最新ITテクノロジーが変革する事業継続の近未来–1

*4 Business Continuity Planning (BCP), Vulnerability Assessment and Penetration Tests (VAPT) and Information Security

 

 

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