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問題と解決策の「接着剤」がウェザーカンパニーでありIoTでありAI (武田 一也)

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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #22

武田 一也 The Weather Company, Japan Leader

 

IoTやAIに代表される「社会を変容していくテクノロジー」。その影響を受けて変わっていく価値観。あるいは変わることのない自分らしさや人間らしさ…。

そんな観点から自分自身やIBMについて語っていただく「Watson IoTチームメンバー・インタビュー」。第22回目は、異色の経歴を持つ武田 一也さんに登場いただきました。

(インタビュアー 八木橋パチ)

 

     — 今日は武田さんが何者なのか、The Weather Company(TWC、ザ・ウェザーカンパニー)とはなんなのか、そしてウェザーカンパニーと武田さんが一体何を企んでいるのかをお聞きしたいなって思っています。

分かりました。でもなんか「企んでる」って人聞きが悪いな(笑)。よろしくお願いします。

そうしたら、まずは僕が何者かについてですね。じゃあ僕の社会人歴みたいなところからお話しさせていただくってことでいいですかね?

 

     — はい。お願いします。

僕ね、IBMが6社目になるんですが、1社目は住宅用建材の小売会社に就職しました。

そしたら、入社後3カ月で胃に穴が空いちゃって、血を吐いたんですね…。

 

     — え、3カ月で? 精神的に相当辛かったってことですよね?

そう。本当に会社と仕事が合わなかったんです。でも、一回血を吐いたら根性が据わっちゃって(笑)。結局10年間その会社で働きました。

今思えば、どう考えても長過ぎましたね。最後の7年は無駄というか…学びが少なかったですね。

 

     — 3年で十分だったってことですね。転職は考えなかったんですか?

当時の僕には「転職」がどういうもので、どういう風にすればいいのかがよく分かってなかったんです。知らないから怖いって気持ちもありましたね。だからズルズルと…。

今、家族には「体は正直だよ。ちゃんと体の悲鳴を聞いてあげないとね」って言っています。これは僕の個人的な感覚でしかありませんが、娘には「石の上には3カ月でいいと思うよ」って言っています。

(撮影場所: The Weather Company アジア太平洋予報センター)

 

     — そしていよいよ転職ですね。

いや、まだその前がありまして。当時付き合っていた彼女がアメリカに留学していて、その影響もあって「なんかカッコ良さそうだし、MBAを取るぞ」ってなって。…まあ、会社を飛び出す言い訳が欲しかったのかな…。

でも僕、英語まったくできなかったんですよ。

 

     — TOEFLとか大変だったんじゃないですか?

まさしく。まず日本で英語の勉強を始めたんですが、これが全然伸びなくて…。

それで「ひとまず現地に行ってしまえ!」ってことでカリフォルニア州のストックトンという街に行き、そこで半年間、来る日も来る日もTOEFLとGMATの勉強をしていました。1日18時間は勉強してましたね。

参考: TOEFL(トーフル、Test of English as a Foreign Language)- アメリカのNPO「ETS」が主催している外国語としての英語テスト。英語圏の多くの高等教育機関が入学希望者の英語力判定に用いている。

参考: GMAT(ジーマット、Graduate Management Admission Test) – 世界中のほとんどのビジネススクール(経営大学院)が、ビジネスを学ぶために必要な能力を測るもとのして入学者選抜に使用している。

 

     — 1日18時間ですか! それはすごい。

僕ね、基本的に凝り性なんですよ。興味を持ったら集中して取り組む。ただ一方で飽きっぽい性格なんですけどね(笑)。
でも、なかなかMBAスクールから入学が認められないまま半年が過ぎて…。

ある日、日本人の勉強仲間から「アリゾナのサンダーバード国際経営大学院からオファーレター(内定書)をもらった」って聞いたんです。

 

     — その仲間は無事、入学許可を取りつけたと。

そう。実は、僕も同じ時期にサンダーバードに願書を送ってインタビューを受けていたんです。でも、僕にはオファーレターが届かない…。

「これはもう行って交渉するしかない!」って思って。「僕には10年間の日本でのビジネス経験があり、学校に絶対に貢献する自信もある。あなたは絶対に僕を入学させるべきだ。今からアリゾナに行くから話をさせてくれ」と学校に電話したんです。

 

     — すごい行動力だ…

もう必死ですよ。それで実際にすぐに飛行機でアリゾナに行って直談判したんです。

結果、「最初の学期でB+以上の成績を納めること」を条件に入学が認められました。まあ入ってしまえばこっちのもんです(笑)。

 

     — いやーすごい! いまさらですがおめでとうございます。

それで、入学後も必死に勉強して、通常は2年で卒業するコースを1年半で卒業しました。周りも驚いていましたね。

そもそもなぜそんなに頑張ったか? なんですが、現実問題としてお金が尽きそうだったんです。アメリカに来てから結婚して、子どもも生まれてました。早く卒業して稼がなきゃいけない状況でした。

 

     — それは大変だ! MBA取得後の就職活動は順調だったんですか?

そこは順調に行きまして、外資系コンサルティング・ファームに採用され、日本の家電量販店やIT企業をクライアントとして、CRM戦略から小売施策の立案などをやりました。

この時代にデータ中心の戦略策定や、当時はまだ大きな潮流とはなっていなかったECサイトのゼロからの立ち上げなどを経験したことが、今でも大きな財産になっています。

 

     — 時代的にはいつ頃ですか?

ちょうど20年くらい前ですね。

この後は、ベンチャーキャピタリストからお声かけいただきeメール・マーケティングの会社の日本法人のCEOをやったり、別のコンサルティング・ファームに転職したり、再びベンチャー企業に役員としてジョインしたり…。

そんなこんなで約4年前、ご縁とタイミングが合ってIBMに入社しました。

 

 

     — ザ・ウェザーカンパニー(TWC)はIBMにおいては比較的新しい事業です。日本ではまだ知らない人も少なくないと思うのですが、何が特徴ですか?

世の中にはいろんな気象サービスやデータ提供会社があるんですが、ウェザーカンパニーを単体で見たときの強みは、気象予測の精度やデータの使い勝手の良さです。

もう少し細かく言うと予測範囲のメッシュの細かさや、予測更新頻度の高さなどですね。

 

     — 気象予測そのものが「他のものよりも優れている」と。

そうです。ただ個人的には、ウェザーカンパニーの本当の強みはそこだけじゃないと僕は思っています。

IBMにはビジネス領域における莫大な知見や経験がありますよね。それを気象データと結びつけることで、ビジネス課題の解決やその一端を担うことができるはずです。

企業が抱えている問題とその解決策を結びつける「接着剤」がIBMであり、その七つ道具がウェザーカンパニーであり、IoTでありAIだと思うんです。ちょっと前の記事ですが、こちらも見ていただきたいですね。

参考: 気象データがもたらすビジネスインパクト予測の衝撃

 

     — なるほど。ではどうでしょう、今、IBMはウェザーカンパニーを十分活用できていますか?

できていないと思いますよ。IBM社内でも、まだウェザーカンパニーの存在や価値を理解できていない人が多いのではないかと思います。

でも逆に、ウェザーカンパニーがIBMを十分活用できているか? と言われれば、こちらもまだまだだなって思いますけどね。

 

     — なにが足りないんですかね?

端的に言えば、「周囲に対する興味」じゃないですかね。例えば、IoT事業部にいるIBM社員が、あるいはクラウド事業部にいるIBM社員が、気象データを生かしたビジネスについてどれだけ語れますか? まだまだ一部の社員だけですよね。その逆もまた同じで、ウェザーのメンバーがIoTやクラウドをどれだけ語れるかといったらまだまだでしょう。

自戒を込めつつ言いますが、お客さまにもっと高い価値を提供しようと考えたら、周囲や仲間に対して、もっと興味を持たなきゃいけないんじゃないですかね。

 

     — 耳が痛いです…。私たちIoTチームこそ、一番強力な接着剤じゃなくちゃダメですよね。

もちろん、僕らがもっとちゃんと興味を持ってもらえるように活動していかなければいけないことも重々分かっています。

パチさんは「Call for Code」を知ってますよね? 今年のチャレンジ・コンテスト応募はもう締め切られてしまいましたが。

 

     — はい知ってます。「自然災害の被害を、テクノロジーの力で最小限に」という取り組みですよね。

ウェザーカンパニーも、日本のコンテスト参加者向けに開発者の支援活動などをしています。こうした活動を通じて、ウェザーカンパニーがもっと社会に認知されるようにしたいですね。

やっぱり多くの方に知ってもらって、一緒にビジネスをする相手として想起してもらえるようにならないと。

 

     — 最後の質問です。武田さんがこの世から無くなって欲しいものはなんですか?

これまでの話と重なりますが、自然災害にまつわる人的被害を、人が怪我したり亡くなってしまうことをゼロにしたいです。

ゼロにできるはずですよ。すでに存在しているテクノロジーと正しい情報とコミュニケーションを、上手に組み合わせることができれば。

 

     — 自然災害で真っ先に被害に遭われてしまうのは、多くの場合、高齢者や児童など、社会的弱者と呼ばれる方たちです…。

もうね、災害の悲しいニュースは見たくないですよ。

まだ実現できていないので大声で胸を張っては言えないんですけど、「気象アラート」というウェザーカンパニーの仕組みを、より広くより便利に、より多くの人たちに活用してもらって、自然災害の被害を最小限に抑えられるようにしたいと考えていて、今、そのための活動をしています。

「今すぐに使っていただく」というわけにはなかなかいかないんですが、一歩一歩前に進めているので、期待していて欲しいです。

 

インタビュアーから一言

僕は「自分に厳しく他人に甘い」っていうスタイルだと自覚しているんだけど、それだといつか落とし穴にはまるのかもなって気もしているんです。ここで、「まあしょうがないよ」って終わらせてしまう事が、本当にこの人のためになるのだろうか? って自問自答することも少なくないですよ…。
— 記事内では取り上げませんでしたが、若手や中堅社員の育成に対する考えや、ベンチャーのCEOや役員時代の話から、武田さんが強く「人」に向き合って仕事をしていることを感じました。

私自身ももっともっと強力な「接着剤」になって、武田さんとウェザーカンパニーをいろんなものにくっつけたいです!

(取材日 2019年8月7日)

 

(撮影場所: The Weather Company アジア太平洋予報センター)

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