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AIが加速するFinnairのイノベーション

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この投稿は、2020/2/11に発行された“AI drives innovation for Finnair employees and customers (英語)”の抄訳です。

世界的な流れを受け、今日の航空業界はますますデジタル化が進んでいます。お客様は、航空券や付帯サービスをオンラインで購入したり、旅行中にデジタルサービスを利用したりする機会が増えてきています。また、従業員も、素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを提供するためのデジタルツールを必要としています。

これこそフィンランドの航空会社「Finnair」がデジタルトランスフォーメーションの中核にAIテクノロジーを据える理由です。

AIはイノベーションを加速します。パーソナライズされたサービスの提供によりお客様満足度を向上させ、収益を増加させます。AIソリューションは業務を効率化させ、AIを活用したツールやデバイスは従業員エクスペリエンスを向上し、より良いサービス提供を可能にします。

AIの革新的なユースケース

Finnairは、IBMやその他のパートナーと共にAIソリューションを反復的なプロセスで開発しています。まず、紙や様々な社内およびパートナーのシステムからデータを収集し、データの意味を解釈し、分析して洞察を導出します。そして、それらの洞察をユーザーのデバイスに届けます。

例えば、航空機の整備について考えてみましょう。整備士は、IBMとAppleが共同開発したiPhoneアプリを利用することでこれまで手作業で実施していた作業を自動化し記録できるようになりました。AIを活用した予測分析により、計画外のメンテナンスを全体の60%から10%以下に減らすことができると考えられており、フライト間のターンアラウンドタイムの短縮が期待できます。

また、旅行スケジュールへの天候による影響を最小限に抑えるための予測アプリケーションのテストも実施しています。このアプリケーションは機械学習を用いて、滑走路の空き状況や現在の予測と合わせて、過去のフライトや天候のデータを分析し、来るべき嵐に備えることができます。初回の検証では、フライトの定時運航性を改善することができました。

バーチャルアシスタントによる瞬時の対応

Finnairの250人のカスタマーサービス担当者は、お客様からの質問に答えるためにAIを活用したバーチャルアシスタントのサポートを受けています。このバーチャルアシスタントは、多言語に対応しており、お客様との会話中に過去の何百万行もの会話から適切な回答を瞬時に導き出します。テストの結果、お客様対応の保留時間が半分になり、よくある問い合わせにはすぐに直接答えられるようになりました。

またパイロット導入中の別のバーチャルアシスタントは、人事方針に関する問い合わせに自然言語で答えることで6,700人の従業員の体験を向上しています。IBM Watsonテクノロジーを活用したこのアシスタントは、従業員とその家族のための病欠や旅行割引などについて会話することができます。このアシスタントはクラウド上で24時間365日稼働しており、従業員のタイムゾーンやロケーションにかかわらず利用することができます。

将来への展望

将来的にはAIを搭載したアシスタントが従業員の雇用のライフサイクル全体をサポートするようになると考えられます。バーチャルアシスタントは従業員が家を出てから仕事を終えるまでの日々の業務にとどまらず、退職後もFinnairコミュニティとのつながりを維持するためにサポートします。

さらにAIによるデータの可視化は、シームレスな業務フローを実現し、より迅速で信頼性の高い意思決定を可能にすることで、お客様と従業員の双方にポジティブな影響を与えます。

またARやVRを通じたデジタルツインモデルを活用することで、例えば整備士は滑走路で発生しうる状況をデジタルに再現したよりリアルな環境で訓練することができます。また、フライト中にお客様の興味や目的地に合わせてバーチャル体験をカスタマイズし、臨場感あふれる新たな機内体験を提供することができます。

サステナビリティーを重視するFinnairにとって、AIによるリアルタイムのデータ分析と意思決定はサステナブルな企業に向けた取り組みの成果を改善する可能性があります。例えば、お客様へのパーソナライズサービスの提供やお客様の搭乗率の把握によって、運航による廃棄物を削減することができます。

AIソリューションは現在においてもこれからの未来においても、社員の意思決定を改善し、お客様の満足度を向上させ、二酸化炭素排出量を削減するイノベーションを推進することができます。これらの恩恵は、Finnairのミッションであるサステナブルで最高なフライト体験の提供のコアとなるものです。

Patrik EtelävuoriによるFinnairのAIを活用したプロアクティブな意思決定の実現に関するビデオをご覧ください。

本ブログの日本語翻訳者

下川 綾乃

下川 綾乃
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング 製造・流通事業部
インダストリー・コンサルタント
E36423@jp.ibm.com
linkedin.com/in/ayano-shimokawa-9365a37a

入社以来、航空業界におけるプロジェクトを多数経験。幅広い知見をもとにお客様にとって信頼できるパートナーになることを目指している。
PMOや構想策定などの経験を経て、最近は先端的な技術を用いた提案やDXの立ち上げに関わっており、お客様からも高い評価を得ている。
航空業界のRetail化に向けたAviation Point of View(戦略的見解)の執筆にも携わっている。

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