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電機・電子業界における廃棄物削減に向けた取り組みの重要性と進め方

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シリーズ「日本の電機・電子業界におけるサステナビリティー」

第6回(最終回)は、廃棄物削減に向けた取り組みの重要性と進め方を紹介しています。

持続可能な社会へ向けた資源循環社会の構築は、世界で大きな課題であり、電子廃棄物の増加は今後も続くと予想され、取り組みが急務となっています。特に温度交換設備や小型装備などの廃棄量の増加率が最も高くなると想定されています。

2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書「シングルユースプラスチック」によれば、日本のプラスチックごみの廃棄量を人口1人当たりに換算すると年間32kg、アメリカに次いで世界第2位。プラスチックごみの総合量では、日本は第5位です。企業に対しては、このプラスチック廃棄物だけでなく他の廃棄物についても取り組みが求められており、本ブログでは、その取り組み方について解説します。

ステップ1「規制遵守(Comply)」

環境負荷の開示

廃棄物の報告については、昨今の法規制や開示要求に加え、今後の規定追加や変更も見据えた統合的なデータ基盤と、管理・報告業務の設計が必要です。さらに、管理粒度として、コンポーネント単位およびそれ以上に細かい粒度での報告が求められるようになる事を想定し、事前に詳細なデータ管理が出来るようにしておく必要があります。

廃棄物コンポーネント(例)

廃棄物コンポーネント(例)

特に、次の「エンド・ツー・エンド最適化」ステップを視野に入れると、早期にシステムやデータ基盤を構築しておき、情報を体系的に整理し、時系列や項目毎に分析を実施できるように備える必要があります。

ステップ2「エンドツーエンド最適化(Optimise)」

各種廃棄の削減活動の実現

エンド・ツー・エンド最適化のステージでは、設計、製造、そして、リサイクルの領域での廃棄物削減の施策について管理をする必要があります。

  • 「設計領域」では、素材や製品パッケージの廃棄物削減に取組む必要があります。これは、素材の標準化やパッケージの標準化などが定石ですが、他にも部品の標準化や再利用性の強化なども取り組み事例として挙げられます。
  • 「製造領域」では、製造工程の廃棄物削減やエネルギーおよび水の利用効率向上、物流工程の整備による廃棄物削減、コストとサステナビリティーのトレード・オンを検討する必要があります。
  • 「リサイクル領域」では、回収やリサイクルのためのプラットフォーム提携、製品、及びその素材やパッケージの廃棄物削減施策を検討、実行する必要があります。

上記3領域での施策に取り組む事で、エンド・ツー・エンド最適化を実現するだけでなく、実績値を元にした分析を行い、最適化のレベルを向上させていく事が重要になります。

ステップ3「製品とサービスの刷新(Reinvent)」

廃棄物削減を加味した製品とサービスの刷新

刷新のフェーズでは、廃棄物削減を含めた製品やサービスの検討を実行します。通常は、お客様の声(CoV)やマーケット情報などを元に、製品やサービスのコンセプトなどを検討する必要がありますが、先進的な取り組みがなされているこのステージにいる企業は、廃棄物削減の要素を組み込んだ形での製品やサービスの検討が必要となります。

このステップで重要となるのはシミュレーション業務です。1つのシミュレーションではなく、多面的な視点やKPIからシミュレーション評価し、製品やサービスをリリースすることが重要になります。そのため、分析と評価を効率的に行う事で、製品やサービスの提供が遅れることを防ぎ、企業の競争力を担保する必要があります。

製品やサービスの刷新のタイミングでは、XRなどを用いたりデジタル・ツインを活用したりして、現実世界で試作製作などをする前に、仮想世界でシミュレーションする事が重要です。また、設計・開発プロセスについても、検討のためのデータ基盤や、分析ツール、AI技術の導入が必須になります。複雑なデータ分析で、人間の判断を補うような業務と運用を設計する事が重要です。

ステップ4「サステナブル・リーダー(Lead)」

統合的な廃棄物管理と社会貢献を先導

Reinventの次のステップでは、刷新された製品とサービスをより継続的に進化させていく事になります。社会基盤となる港湾や空港のデジタル・ツインなどと連動して、廃棄物の削減を最適化し続けるような、リーダーとしての取り組みが必要になります。新技術やテクノロジーを組み込んだ製品やサービスのライフサイクル全体における経済的・環境的インパクトを統合的に検討できる基盤が必要になります。企業は、常に新しい製品やサービスを提供するだけではなく、廃棄物を削減することで、社会貢献を先導する事が重要となります。

結論

サプライチェーン領域における廃棄物削減は、開示要求を満たすだけでなく、設計・製造・リサイクルの領域における取り組みと、廃棄物削減を考慮した製品とサービスの検討や、先端技術を取り込んだ製品やサービスのライフサイクル全体における環境負荷を考慮した取り組みが必要になります。長期のロードマップを考え、取り組む必要があります。

小野 真理の写真

小野 真理
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部

製造業の戦略やリスク調査、M&A、デジタル・トランスフォメーション(DX)を目的とする、ITシステム導入、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)、リスク管理などの案件を中心にコンサルティング経験を多数有する。オーストリアと米国のMBAを持ち、米国、日本をはじめとし、東南アジア、欧州、北南米のプロジェクトや赴任経験、また、バーチャルでのプロジェクト推進経験を多数有する。

シリーズ「日本の電機・電子業界におけるサステナビリティー」


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