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IBM Watson Studio、2020年の「Gartner Peer Insights Customers’ Choice: Q&A with a lead architect」に選出

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IBM Watson Studioで、モデルの開発、あらゆるクラウドのAIを簡単かつ柔軟にし、同時にAIライフサイクルの自動化が実現します。エンド・ユーザーの反応はどうでしょうか? Gartner Peer Insights(外部ページ、英語) (プラットフォームのレビューと格付けのフリー・ペーパー*)掲載のWatson Studioに対する94のレビューの中からいくつかご紹介します。

「より多くのスタッフがWatson Studioで利用できる堅固なアプリケーションのセットを用いて貢献できるようになっりました。」

サービス企業(外部ページ、英語)

「データサイエンスのワンストップ・ショップ。すべてのコンポーネント(R、Python、JupyterNotebook)を別々に集める必要がない。」

製造メーカー(外部ページ、英語)

「AI製品開発には市場最良の製品。」

輸送業者(外部ページ、企業)

喜ばしいことに、この1年間でソリューション・カテゴリーにおいて最も高い評価を受けているソリューションの1つとしてWatson Studioが台頭しています。そのWatson Studioが2020年の「Gartner Peer Insights Customers’Choice for Data Science and Machine Learning Platforms (Gartner Peer Insightsのお客様が選んだデータサイエンス/機械学習プラットフォーム)」に選出されました。詳しくはレポートをお読みください(要登録、英語)

製品開発の裏には興味深いストーリーがあります。IBMのDistinguished EngineerであるThomas Schaeckに、Watson Studioのアーキテクチャーに関する考慮点やWatson Studioで得られる利点について話を聞きました。

 

1. Thomasあなたの経歴を教えていただけますか?データサイエンスに興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?

IBMに入社したのはドイツのカールスルーエ工科大学を卒業してすぐのことでした。始めはC/C++の開発者として働き、Javaの登場後はすぐにJavaを使い始めました。その後、WebSphere Portal、標準JavaポートレットAPI、Webサービス、IBM Connections、IBM OpenPagesなどの製品のアーキテクチャーや技術戦略を主導しました。

2015年にIBM Cloudチームに参加しました。そこで起ち上げた新たなプロジェクトは、データサイエンティストがIBM Cloud上でデータを分析できるようにするためのもので、初めに使用したのはJupyter Notebookです。企業データにおけるデータサイエンスの可能性に私はたちまち魅了されました。このプロジェクトにより、世界中の企業のデータサイエンティスト・チームが新たな洞察をデータから素早く獲得できるようになり、モデルの作成とトレーニングが可能になり、そのモデルを活用して企業がお客様へのサービス提供に役立つ優れた予測をより早く作成できるようになりました。

 

2. IBMがWatson Studioを構築するための課題は何でしたか?

データサイエンティストがデータ分析や洞察の獲得を行うには、スケーラブルでしかも使いやすい方法が必要でした。Watson Studioは元はData Science Experienceと呼ばれ、IBM Cloudのその他のサービス(データベース、オブジェクト・ストレージ、Sparkなど)を結び付けるものでした。

私たちはまずIBM Cloudでデータ分析を実行できるようにSparkサービスの上にJupyter Notebookを提供することにフォーカスしました。他のクラウド上のデータやオンプレミスのデータ・ソースにリモートで接続することにも注力しました。

次に、データ・エンジニア、データサイエンティスト、対象分野の専門家、DevOps チームとの間でより良い協力関係を築けるようサポートが必要だと気づきました。そこで、Connections、Data Assets、Data Refinery、SPSS Modeler Flowsなどの概念とNotebookを統合するプロジェクトに取り組みました。

 

3. どのようにしてWatson Studioを拡張したのですか?

  • お客様向けバージョンのプライベートクラウドを作成しました
  • Watson Knowledge Catalogと統合し、インテリジェント・カタログ、アクティブ・メタデータ、ポリシー管理を使用してお客様がデータにアクセスできるようにしました
  • Watson Studio Projectsで作成したり、トレーニングしたモデルをWatson Machine Learningを使用してオンラインやバッチ・スコアリング用にデプロイ可能にしました
  • これらの機能をCloud Pak for Dataに組み込みました
  • Watson Studio Desktopを確立して、視覚的またはプログラマチックなモデル開発をどこからでも可能にしました

 

4. AutoAIとは何でしょうか? なぜAutoAIが受賞したのでしょう?

Watson StudioのAutoAIはAIを使用してAIを構築します。これにより、モデル構築に必要な手順が最大80%削減します。

AutoAIでは、生データの分析、アルゴリズムの選択、機能の検出が可能です。モデル・メトリックと可視化を使用して候補モデルのトレーニングと評価を行い、そのモデルをリーダー・ボードでランク付けすることもできます。

ユーザーは自分のニーズに適したトレーニング・パイプラインやモデルを選択し、それらをさらに改良するために、パイプラインで使用されているPythonコードにアクセスすることができます。AutoAIによって、データサイエンティストはより価値の高いタスクに取り組めるようになります。ユーザーに十分なデータサイエンス・スキルがない場合でも、モデルの作成やトレーニングが行えるようになります。これらAutoAIの機能すべてがBest Innovation in Intelligent Automation awardを受賞した理由です。

 

5. 意思決定インテリジェンスとは何でしょうか? Watson Studioでそれをどのように実現したのでしょう?

多くの人工知能モデルで予測はできます。しかし、意思決定インテリジェンスではそれらの予測を受け取り、機械学習アルゴリズムと意思決定最適化アルゴリズムを組み合わせることで、予測の結果から生じるアクションを最適化します。

例えば、Watson Studioで構築したモデルを活用して、どのお客様が製品に興味を持つかを予測することができます。次にIBM Decision Optimizationを使用して、最適化のターゲットと制約を考慮し、それらのお客様からビジネスを獲得する際に最適な収益/費用比率を提供するオファーとチャネルを特定できます。

このIBM Decision OptimizationとWatson Studioを統合することで意思決定インテリジェンス(英語)を実現しました。この機能はWatson Studio Premium for Cloud Pak for Dataに組み込まれています。

 

6. お客様はWatson Studioをどのようなことに活用されているのでしょうか?

Watson Studioは様々なユース・ケースで使用されています。

  • Lufthansa(英語)はAI開発の速度向上と拡大を図るために、Watson StudioなどのIBMソリューションを使用して、データサイエンス・ツールのランドスケープを最新化かつ一元化しました。「現時点であらゆるデータサイエンティストに最適のオープン・プラットフォームです。」Lufthansaのデータと分析の責任者はこう述べています。
  • モバイル・テキスト認識のエキスパートであるAnyline (英語)では、Watson Studioの一部であるIBM Deep Learning Serviceを使用してスマートフォンに読み取りを教えたことで、データ処理速度が以前のソリューションよりも最大で20倍速になりました。
  • Fifth-Third銀行(英語)の主任データサイエンティストはWatson Studioを次のように評しています。「以前と同じ時間で探索できるモデルが増え、実行できる反復処理も増えたため、ビジネス・ニーズの結果を迅速に得られるようになりました。」
  • 本田技術研究所(英語)ではWatson Studioを組み込んだソリューションを使用することで、100万を超える文書の分析とドライバーの行動例の洗い出しをわずか10分で達成しています。
  • 世界的なクリエイティブ・エージェンシーであるWunderman Thompson(英語)は、Watson StudioとIBM Cloud Pak for Dataを使用してサイロ化したデータを解放し、2億7,000万人の匿名データと1.1兆ドルのトランザクション・データから、新型コロナウイルス感染症(Covid19)後の戦略を予測しています。その機械学習パイプラインにより、パフォーマンスが以前のモデルよりも200%以上(英語)向上しました。

 

7. Watson Studioの提供にあたって解決すべき課題にはどのようなものがありましたか?

ユーザーに統合されたエクスペリエンスを提供すると同時に、拡張可能なモジュラー・アーキテクチャーを使用する必要がありました。より多くのサービスとツールを確実に追加できるようにし、一方で統合されたエンドツーエンドのエクスペリエンスを維持しなければならなかったのです。

最も画期的だったのは、データ・アクセス、データ改良、データ分析、モデル・トレーニングなどのWatson Studio機能がすべて統合されたエンドツーエンドの開発でした。これを実現したのはマイクロサービス・アーキテクチャーです。IBM のプロジェクトは、UIサービスおよびAPIサービスと全体的なヘッダーおよびナビゲーション・サービスを横軸とし、Notebooks、Flows、AutoAI、Refinery などの縦軸となるツールと機能のためのUIとAPI層を持つ幅広いマイクロサービスを備えたものです。

もう1つの課題は、IBM Cloud、プライベートクラウド、サード・パーティーのパブリッククラウド全体にわたってWatson Studioを実行する方法を見つけることでした。IBM Cloud上での実行については、IBM Cloud Kubernetes ServiceにデプロイするKubernetesポッドにマイクロサービスを関連付けることにしました。また、プライベートクラウドやサード・パーティーのパブリッククラウドで実行するために、OpenShift Kubernetesにもデプロイしました。

 

8. クラウド、アプリ、データの分野でプラットフォームを構築するにはさまざまなアーキテクチャー・アプローチがありますが、それらについてどう思いますか? たとえば、クラウド主導のアプローチを取るソリューションもあれば、分析スペシャリストの視点から来るソリューションもあり、新たなツール・ベンダーも数多く存在します。

製品アーキテクチャーの観点から見ると、Watson Studioではクラウド・ファーストのDevOpsモデルを採用しています。並列のスクワッドは、それぞれのマイクロサービス用のDevOpsを所有しており、毎週更新され、必要に応じてフィックスを適用できます。新機能は、まずはIBM社員が利用できるようにし、次に選定されたお客様、それからIBM Cloud上のすべてのユーザーが利用できるようにします。その後、Watson Studio on Cloud Pak for DataおよびWatson Studio Desktopで新機能を利用できるようにします。

私たちが注目したユーザーは、PythonまたはRのスキルを持つデータサイエンティストでした。そこで、データ・エンジニアがデータを接続およびカタログできるように拡張し、AI Opsチームが管理されたデプロイメントでモデルを本番環境に導入できるようにしました。最近では、AutoAIの追加によって幅広いユーザー・ベースでモデルをトレーニングできるようになり、IBM Decision Optimizationの統合によって最適化の専門家が貢献できるようになりました。

 

9. モデル運用(ModelOps)がメガトレンドになっています。アプリやAIの開発リズムを同期するためにIBMではどのようなことを行っていますか?

AIモデルを使用するアプリケーションを常時稼働させるため、安定したモデル・エンドポイント(REST API)の概念を導入しました。その裏で、新モデルのデプロイや旧モデルの更新を実行できます。サービスが中断しないように、お客様が新モデルやモデル・バージョンを追加する場合、Watson Machine Learningモデルのデプロイメントのバックグラウンドで実行できます。これにより、お客様は処理を中断することなく、エンドポイントを新モデルに切り替えて着信要求を受信できます。

IBM Cloudでは、Watson Machine Learning (WML)を実行し、3つのアベイラビリティー・ゾーンにわたってモデルをデプロイして、高可用性を保証します。Watson Machine Learning on Cloud Pak for Dataを使用すると、2つ以上の独立したCloud Pak for DataクラスターにWMLとWML上のモデルをデプロイできます。たとえば、ロード・バランシングとフェイルオーバーに使用されるAPIゲートウェイを使用して可用性を最大化できます。

 

10. IBM Researchと連携して、企業のデータサイエンスとAIプラットフォームに先進の研究を適用するために、どのようなことを行ったのでしょうか?

IBM Researchとのコラボレーションの好例はAutoAIの開発です。当初はIBM Researchのプロジェクトとして始まり、私たち製品チームはスポンサーのお客様と関わり、デザイン思考を適用してそれを統合された製品機能に仕立てていました。IBM Researchと連携して、ユーザーのフィードバックを基にAutoAIを微調整し、IBM CloudおよびCloud Pak for DataのWatson Studioを介してそれをリリースしました。IBM Researchとのコラボレーションは、AIガバナンスやフェデレーテッド・ラーニングなど、多くの面で今でも継続しています。

 

11. IBMでは多くの製品や革新的なアイデアが進行中です。どのようにしてそれらを同期させて、最適なソリューションを開発しているのでしょうか?

標準化の推進に特化したプロジェクトを開始し、Cloud Pak for DataとIBM Cloudを通じて新たなイノベーションを生み出しています。これは、アーキテクチャーの原則と仕様のフレームワークです。一般的に使用される一連のAPIと基本サービスを備えており、基盤となる基本コンポーネントの重複を避けながら、各チームがユーザーにとって重要な機能に専念できるようにします。いくつか例を挙げると、コネクター、プロジェクト、スペース、ロギング、リネージュなどのための共有サービスです。

 

12. データサイエンスのスキルを磨きたい人や、まだ始めたばかりの人にアドバイスをお願いします

IBM Data Science Community (無料)に参加し(英語)1カ月間の無料体験を活用してCourseraで人気のあるIBMデータサイエンス・コースを覗いてみてください。

こちらを読んでAutoAIについて学び、ガイド付きのAutoAIチュートリアル(英語)を参照して二項分類モデルを構築してみましょう。

無料のWatson Studio Cloudから始められます(英語)。何もインストールする必要はありません

こちらの45分の製品ツアーに参加すると(要登録、英語)、顧客離れを予測したり、オファーを最適化してお客様を維持する方法を実地に体験することができます。

こちら(英語)ではAIと人間の知性の組み合わせによる可能性を検討できます。また、こちらのプレイ・リストのショート・ビデオ(英語)で、IBM Data Scienceの有用性を確認できます。

Data&AI Innovation ExchangeのWebセミナーに参加してみましょう。ModelOpsについての説明や、AIライフサイクル管理の自動化にあたって考慮すべきことについての説明を受けることができます。登録はこちら(外部ページ、英語)からできます。


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*Gartner, Gartner Peer Insights ‘Voice of the Customer’:  Data Science and Machine Learning Platforms, 10 July 2020, Peer Contributors

The Gartner Peer Insights Customers’ Choice badge is a trademark and service mark of Gartner, Inc., and/or its affiliates, and is used herein with permission. All rights reserved. Gartner Peer Insights Customers’ Choice constitute the subjective opinions of individual end-user reviews, ratings, and data applied against a documented methodology; they neither represent the views of, nor constitute an endorsement by, Gartner or its affiliates.

 

原文:IBM Watson Studio named a 2020 Gartner Peer Insights Customers’ Choice: Q&A with a lead architect by By Julianna Delua (https://www.ibmbigdatahub.com/blog/ibm-watson-studio-named-gartner-peer-insights-customers-choice 英語)

 

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