アナリティクス

エキスパートの素顔:第13回 那須川 哲哉

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「エキスパートの素顔」は、ソフトウェアが持つ、ソフトウェアがもたらす価値を、様々な分野におけるエキスパートが語る連載で、エキスパートからエキスパートへと“バトン”がリレーされます。


「エキスパートの素顔」連載の第13回は、システム製品事業本部でビジネス分析と最適化のエバンジェリストとして活躍されている石井 旬から“バトン”を受けた、那須川 哲哉(なすかわ てつや)さんに登場いただきます。

自己(他己紹介)

私にテキストマイニングを教えてくださった師匠が那須川さんです。「お客様のデータをお借りして分析をする」という今の私の活動スタイルの原点も、那須川さんが主催する社内のテキストマイニング研究会に参加させていただいた際に、実際のお客様のデータやソーシャルメディアのデータを分析するトライアルを、那須川さんや東京基礎研究所のテキストマイニングのエキスパートの皆様にご指導いただいたことにあります。

世界的にも有名な研究者である那須川さんのデータ分析を間近で見ているのですが、何といいますか、分析そのものが本当に「エレガント」なのです。決して難しいことをやっているようには見えないのですが、とにかく驚くような結果を出すのです。例えば、データ分析を通し、コールセンターのエージェントの方の質を見抜いてしまう、製品の不具合を世に出る前に発見してしまう。また、研究会の活動のひとつとして最近取り組んでいるのが、グルメサイトにランキングされない美味しい日本酒のお店探しです。ソーシャルメディアを分析した結果を、実際に皆で出かけては「確かめる」のですが、本当に有名ではないがすごいお店に行き着くのです。全てを語ることはできませんが、これら分析結果のひとつひとつが那須川さんの卓越した分析力、研究者としての凄さの現れと感じます。(By 石井 旬)

R_Nasukawa

ソフトウェア・ビジネスに携わる醍醐味

テキストマイニングの研究を始めたのは、入社してから取り組んでいた機械翻訳への研究投資が大幅に削減されてしまったことがきっかけでした。実質「職探し」のような形で始めたプロジェクトが、IBMが100周年を迎えた2011年に、100年でIBMがお手伝いしてきた100のイノベーションのひとつとして選ばれたことは、日本「発」の技術がグローバルに認められたことも意味するため、大変感慨深いものがありました。

 【参考】TAKMI – 構造化されていないデータに秩序をもたらす

当時は1990年代に入ってオフィスのオンライン化が始まり、電子化されたテキストが増えてきた頃でした。量が少なければ全てに目を通すのに、量が多すぎると全く目を通さなくなるのがテキストデータの特徴です。1件ずつ見ても、それが特殊なのか、ありふれたものなのか。増えているのか減っているのか分かりません。そこで機械処理して全体を見えるようにしたら良いことがあるのではないかと考えたわけです。しかし、コンセプトを打ち上げてから実際にビジネスに使えるようなデータになかなかめぐり合えず、PCヘルプセンターのコール・ログにたどり着いた頃には半年経っていました。

 自分の開発した技術のユーザーが喜び、データをうまく活かして大きな成果を上げている様子をみますと、テキストマイニングをやっていて良かったと感じます。

PCヘルプセンターでは、コールセンターへ寄せられた問い合わせに目立つ内容を分析し、その回答をホームページへタイムリーに掲載することによって、ホームページでの問題解決率を大幅に向上させることができました。その結果、顧客サービスの満足度を向上させると共に、コールセンターの利用回数減につながったのです。オペレータの方々からしますと、日々登録するデータが活かされて、満足度向上とコスト削減という、なかなか実現できなかったことが可能となったわけです。

 しかし、テキストマイニングには波が何回かありました。
最初は持てはやされましたが、しばらくすると「テキストマイニングという言葉では響かないので違う言葉にする必要がある」と言われるようになり・・・。そして今はビッグデータと併せて再度着目されています。

実際、テキストマイニングが、国内(ローカル)の製品となって研究の手を離れた後、ワトソン研究所へアサイメントに出て戻ってみると、有用性を信じていたのにも関わらず、期待したような普及には程遠い状況でした。そこで、コンサルティング部門へ出向して、お客様先でのテキストマイニング活用に取り組みました。テキストマイニングで成果を出すためには、データを使って何を実現すれば有益かとデータから何が分かるかを見極める必要があります。テキストマイニングを「作る技術」を伸ばす以前に、そのスキル、すなわち「使う技術」を広める必要があると感じ、書籍の執筆や社内外のテキストマイニング研究会の主催などをしてきました。

それら活動の成果も少しはあったのでしょうか。有難いことにビジネスも広がり、研究を開始してから10年を経て、グローバル製品化されたのです。

研究してから10年を経て世の中に製品として出て行くことを踏まえますと、これからビジネス的には音声のマイニング(直接話している内容を音声認識してマイニングする)が伸びていくのではないかと考えています。また、10年先の製品化を見越して最近取り組んでいるのが、多言語データを一元的に母国語で分析するという研究です。全世界のデータを言語の壁なく分析できるようになりますと、テキストマイニングの対象範囲が益々広がっていきます。

[YouTube 動画] IBMが描くテキストマイニングの未来とは

パーソナルな一面

「日本酒」の世界はとても奥が深く、魅力を感じています。
最高級の日本酒が、ワインとは異なり数千円から買えるという手ごろ感。しかし、美味しいお酒ほど高いとは限らないのです。また、地方に出かけると、そこでしか手に入らないすごく美味しい日本酒との出会いがあったりします。

どうせ飲むならば、美味しい日本酒を飲みたい。
そのために必要なのは、どこに行けば何が飲めるかという情報です。適切な情報さえ手に入るならば、お金をかけずに良い思いができるはずです。よって、懇親会や出張の際など、ソーシャルメディアの分析を行い、グルメサイトで必ずしも高順位にランキングされない美味しい日本酒のお店を事前にチェックしています。嬉しいことに、毎回好評です!

ソーシャルメディア分析の重要性については誰もが語りますが、実際に「これだけ得をした」という結果があまり打ち出せていないように感じます。まさにその実績を身近なところで作りたいという思惑もありまして…。趣味が実益を兼ねていますね。

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