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EAMの勘所: 第1回 作業指示書の分類コード

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仕事の分類を整理することは、仕事を整理することと同じ

EAMの勘所とは

企業資産管理を円滑に行うために「EAMの勘所」と題して定期的にコラムを掲載していきます。
第1回目は「作業指示書の分類コード」に関して、コード設定時の注意点などを、Maximo営業部の清野よりご紹介いたします。

通常、作業を分類する場合、予防保全や事後保全など様々な呼び方でその内容を区別します。この分類方法は非常に重要で「あなたの組織における管理の 詳細度」を示している場合があります。みなさんも自分の組織の作業指示書の分類コードを確認してください。見えていないものが見えるようになるかもしれま せん。

(1) 作業指示書の分類

作業指示書の分類コードには通常、作業の分類コードが用いられます。一般的に作業は以下のように分類されます。

01_01

図:作業の分類体系の例

 

作業の分類コード及びその説明
分類 説明
計画作業 計画作業はあらかじめ設備を停止して保全作業を行う計画を立案できる作業を区別する大分類です。計画作業は非計画作業に比べて保全コストが低く、運転部門(製造部門など)に対する影響度が低い作業です。
予防保全 設備の故障や老朽化を防止するために予防的に実行される保全作業を示す中分類
点検 設備が正しく動作しているか否かを確認する点検作業を分類する小分類。通常始業時点検、終了時点検、目視点検など日常点検などが含まれます。点検作業では通常設備の構成(部品の変更など)を変更しません
給油 潤滑油などを設備の動作に必要な資材を定期的に補充します。グリースアップとも呼ばれます。
清掃 設備が正しく動作できるよう清掃作業を行います。
検査 設備が正常に動作する否かを確認する検査作業です。一般的に検査に合格しない場合は設備の使用を停止します。検査作業では設備の構成情報を変更しません。
測定 設備の性能及び状態を数値化して測定します。測定されたデータは予知保全または状態監視保全で使用されます。測定作業では設備の構成を変更しません。
更新 設備の磨耗した部品は問題点のある部位を交換します。本作業では設備の構成情報が変更されるため、作業の定期的な監視(点検)が重要です。
予知
保全
測定作業によって得られた定量化された設備の状態データを技術的・統計学的気に分析し、故障の予知情報を基に点検・更新などの保全作業を行うもの。
状態
監視
保全
設備が動作できる状態を比較的簡単な規格値(上限・下限規格)で標準化し、測定作業によって得られた定量化された設備の状態データと比較しその規格限界を超えた場合に、点検・更新などの保全作業を行うもの。
計画
保全
将来の改修工事など、定期的に実行されるものではないが、あらかじめ将来の修理計画を事前に作成して管理することができる作業。新規設備の設置、廃棄作業および長期計画に基づいて実行される単発の作業などが含まれます。
非計画作業 非計画作業は何らかの問題により、通常の運転作業(生産活動など)を停止して保全作業を行う必要があるものを分類する大分類です。一般的に非計画作業は計画作業に比べて保全コストが高く、企業活動に大きな影響を及ぼします。
事後
保全
設備などに何らかの問題が生じた後に、作業の準備を行い実行する作業の中分類です。
修理
保全
事後保全の中で、設備の故障により、何らかの修理が必要な場合の作業です。修理保全作業では設備の構成を変更することが一般的です。従って修理保全を行った後は、点検などの確認作業を強化する必要があります。
緊急
保全
事後保全の同様ですが、企業活動(生産、運転)に大きな影響を与える場合の保全作業で、一般的には修理保全と区別することが求められます。緊急保全は最もコストの高い保全作業で、緊急保全の件数を削減することが重要な活動です。
RTF Run To Failure の略で、故障するまで使用して、故障したときに不品などを交換するタイプの保全作業です。通常RTFは2重化などを行っていて、1つの部品が故障しても生産・運転活動に影響を及ぼさないかまたは非常に優先度の低い設備に適用されます。
RTFは故障が発生した後に行動を起こすため事後保全に分類しますが、すべての保全作業の中で最もコストの安い保全方式です。
イベ
ント
故障ではないが保全員が設備に対して何らかのアクションをとる必要がある場合の作業を記録します。例えばブレーカーのトリップなど、設備自身に問題がないが負荷の変動による高負荷でブレーカーがトリップするような場合があげられます。
通常、イベントは何らかの改善を行うと防ぐことが可能であるばあいがあるため保全管理システム上では記録の対象とし分類します。
その他
作業
メーカ若しくは所管官庁などからの指示により、緊急点検などの作業を行わなければならないような場合など、発生確率が非常に低く、分類できないような作業です。

 

(2) 作業の分類の目的(管理上の分類と技術的な分類

時に「保全管理システムからの情報は使えないものが多い」という声を聞くことがありますが、これは作業に関する管理上の分類と技術的な分類を混同し ている可能性があります。通常技術部門では作業に関する管理の分類コードでデータを検索することはあまり有用ではありません。同時に管理部門では技術部門 のコードに興味はありません。このように情報の標準化をしっかりしないと、「役にたたない」という烙印を押されてしまいます。作業指示書の分類コードは、 この場合前者の作業管理に関するコード体系です。このコードの割り振りや詳細度を確認することでその部門がどのような管理を実現しようとしているかの概要 を理解することが出来ます。

(3) コード設定時の注意点

作業指示書の分類コードを設定する場合、どのような視点で作業を分類したいかをあらかじめ決めてからコード設計を行うことが重要です。作業の分類を 細分化して闇雲に詳細化することも問題があります(複雑なコード体系では覚えにくく、保全担当者の方々にうまく使用してもらい場合が出てきます。またデー タの集計に時間がかかり効率的にない場合があります)。
作業の分類コードを作成する場合は以下の点に注意して設計しましょう。

  • 何に着目して分類・分析したいか?
    • 作業の分類(先に示した作業の分類)
    • 経理的な観点
    • 技術的な観点
    • 責任分担
    • その他
  • コードを見たらその意味が簡単に理解できる(1桁目はなに、2桁目はなになどの複雑なコード体系を採用しない)
  • 業界のベストプラクティス(業界標準など)を参照する
  • 全員でディスカッションをして決める
  • コードは半角英数字を用いる(日本語はわかりやすいが、入力の仮名漢字変換が意外と面倒)

桁数は2から3桁(最大でも4桁、これ以上になると覚えられなくなる)

喫茶室

昔はコンピュータの資源(CPUの速度、メモリ、ディスクなど)が非常に高価であったため、少しでも情報フィールドを有効に活用しようということ で、コードに意味を持たせた「意味ありコード」を一般的に使用しました。例えば作業指示書に割り振られる管理番号(伝票番号)に以下のような命名をしてい ました。

「A工場の2008年の121345番目の作業指示書」などです。しかし現在ではデータベースの容量が増え、作成された年度や対象の工場のコードは別のフィールドに格納されるようになりましたが、今でもこのようなコード体系を好む人がいます。
特に面白いのが、本来この番号は唯一無二であれば良いのですが、「この番号が 12345 番の次は 12346、12347、…と」連続で続いていないとなんとなく気持ちが悪く感じるのが日本人の特徴です。しかし、実際のこの番号で作業指示書を検索する ことはほとんどないので、せっかくきれいに番号をそろえても結局「無駄作業をしただけ」になってしまします。

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