Data Science and AI

IBMによるデータサイエンティスト講座@名古屋大学の開催報告

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2020年1月、名古屋大学理学部数学科の大学院である多元数理科学研究科において、私を含むIBMのデータサイエンティスト有志5名によるデータサイエンス講座が、毎週4回のシリーズで開講されました。本活動は、文部科学省科学技術試験研究委託事業「数学アドバンストイノベーションプラットフォーム」(AIMaP: Advanced Innovation powered by Mathematics Platform)の下、多元数理科学研究科主宰で実施された2019年度スタディグループ4つの内の1つで、昨年に続き、2回目の開催でした。

名古屋大学大学院多元数理科学研究科の玄関付近の写真

 

昨年は、本取り組みをリードする日本IBM執行役員の我妻美佳と、技術理事の山田敦、そして山田のチームに所属するデータサイエンティストの顔玉蘭、私の4名が登壇し、「IBMデータサイエンティストの仕事」の紹介をしました。第一線で経験を積んできたIBM社員による講義は、「高品質」だと高評価をいただきました。

 

そして今年は、我妻と私で、大学の先生方と共に、講義の企画を考え始めましたが、自身も大学で教え、また、名大数学科OBである我妻の想いは、「中途半端な応用数理ではなく、数学科の学生に向けてIBMならではの、独自性があり、かつ特色豊かなデータサイエンティスト育成の講座作りたい」というものでした。普段は企業のお客様にデータサイエンスを教えることが多い私ですが、このリクエストは、企画魂に火を灯すには充分なものでした。

IBMには優秀な若いデータサイエンティストが多数在籍し、数多くのお客様から多種多様な仕事を頂き、日夜、困難な課題に立ち向かい、素晴らしい成果を届けています。私はハッと気がつきました。そうだ、若手データサイエンティストに登壇してもらおう!

このアイデアは、長年経験を積んできた社員による昨年の講義とは真逆のアプローチでした。学生の年齢に近しい若手社員が、データサイエンティストとして身震いするような素晴らしい経験を、胸を張って語る。仕事を、データサイエンスを、そして自分をも語り、教室では熱い議論が行われる。この方針でぜひ実施したいとの気持ちが湧き上がり、我妻はじめ、先生方からこのアイデアへの許可をいただきました。

若手データサイエンティストには、私の身近なメンバーに依頼しました。石田、末野、北村、松永の4名。若手といっても、すでに目覚ましい活躍をしているメンバーばかり。各回の講義では、私と若手一名が参加する形式を取りました。私が講義全体をリードし、データサイエンスの最前線の話題や事例を共有。一方、若手にはIBM入社後の経験だけでなく、大学時代の活動や、趣味、データサイエンス、職業に関する考え方など、ざっくばらんに何でも自由に語ってもらうことにしました。

私が考えたもう一つの核となるコンテンツは、データサイエンティストの「頭の働き」を体験してもらうための実習の時間を作ることでした。世間ではあまり知られておらず、また、データサイエンティストさえもあまり気付いていないのですが、いくら高度なプログラミングができ、Deep LearningやAIの理論やテクニックを知っていても、問題を解くための「思考法」を知らなければ、データサイエンティストとしては十分な働きができません。

各回の講義は、アナリティクスの異なる分野を切り口に、異なるデータの世界を毎週体験できるように組み立てました。最終的に出来上がったのが次の講義プランです。

 

1/9 第1回 IoTデータのアナリティクス(小林 竜己・末野 正訓

1/16 第2回 人・社会データのアナリティクス(小林 竜己・石田 明日香

1/23 第3回 テキスト・画像データのアナリティクス(小林 竜己・北村 美雄斗

1/30 第4回 金融データのアナリティクス(小林 竜己・松永 大輝)

 

第3回の北村による講義風景

 

講義では、名古屋大学の運営責任者である大平徹教授木村芳文教授にもご聴講いただき、時には質問を、時にはコメントを頂き、時にはディスカッションを深めるなど、中身の濃いやり取りをさせていただきました。先生方からはのちに、参加された学生からのフィードバックをいただくことができました。学生の声を少し紹介させて下さい。

  • 近年最も注目されている職業の一つであるデータサイエンティストの業務内容や思考法について知ることができた。
  • データサイエンティストが具体的に何をしているかはいまいち知らなかったので、キャリアを考える上で良い機会になった。
  • 内容が一般的な知られた内容でなく実務にまで深入りして話してもらったのでイメージも沸いた。

 

IBM講師が伝えたかったことはしっかりと伝わったようです。また、理数系の学生らしい声もありました。

  • 数学を用いて分析するために、現実世界をどのように数学的に説明するのかも重要だと感じた。
  • データサイエンティストの仕事により、なんとなく現場の人が感じていたことが、モデリングによりはっきりとした数値によって示される。数学的思考のビジネス社会での使われ方を知る良い機会となりました。

第4回の松永による講義風景

 

時代の最先端を行くデータサイエンティストですが、仕事の内容は意外と知られていないのが実態です。名古屋大学での講義では、私たちデータサイエンティストの仕事、活躍、そして、ビジネスの世界におけるデータサイエンスの素晴らしさと広がりを、少しでも伝えられたのではないかと思います。

 

小林 竜己 / Tatsumi Kobayashi, Ph.D.
Associate Partner & Principal Data Scientist,
Advanced Analytics and AI, GBS,
IBM Japan

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