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なぜIBM Cloudを利用すると企業はトクをするのか

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なぜIBM Cloudを利用すると企業はトクをするのか

[著者]
 株式会社エルテックス クラウドビジネス室 室長
 寺田 恵一郎
   VMwareオンプレミス仮想基盤の構築・運用を経て、2016年よりIBM Cloudを活用したクラウド構築・運用サービスを複数社へ提供。


IBM Cloudをご存じないなんてもったいない!

エルテックスは、お客様へIBM Cloud上でインフラ基盤を構築および、マネージドサービスを提供するビジネスを2015年当初から行っています。また、同時に、IBM Cloudを自社のECサイト運用基盤として利用するエンドユーザーでもあります。2016年からは日本アイ・ビー・エム様と協業を開始し、たくさんの企業へIBM Cloudの提案活動を実施しています。サービス提供は30数社に実施しており、高い評価を頂いています。

私は、エルテックスにて、IBM Cloudの導入・運用を行う部門の責任者として、長い期間活動しており、仕事の大半をIBM Cloudの中で過ごしている、いわば「IBM Cloud人」です。日本国内でもそこまでたくさんはいないのでは無いかと思います。東京リージョン(TOK02)が開設され、VMware社との堅固なパートナーシップ構築を経て、IBM Cloudが強力なクラウド基盤へ急成長した経緯を体験した一人です。

このようにIBM Cloudと長い付き合いがあるエルテックス、その中の人である私ですが、IBM Cloudの優れた点が世の中に認知されているかと言えば、残念ながらまだまだだと言うのが率直な感想です。この強力なクラウド基盤がもっと社会に認知され、浸透し、多くの企業活動の効率化に寄与してほしいと考えています。

なぜIBM Cloudがイイのか。またどのように企業の情報システム部門が利用すれば快適にクラウドの能力を企業活動に活かすことができるのか、エルテックスおよび、私の経験をもとに具体的にご紹介します。

 

IBM Cloudのイイところ

私がIBM Cloudに携わる以前は、オンプレミスのシステムの構築・運用管理を担当していました。いわゆるデータセンターでのITインフラエンジニアの職域です。たくさんの貴重な経験をしましたが、一方で、IT運用管理の大変さを思い知ることになりました。人間は朝があり夜があり、オンがありオフがあるわけですが、コンピューターは24時間動いています。コンピューターは人間の都合など知ったことではありません。ハードウェアの不調に振り回されるのはもちろんですが、ハードウェアだけが不調の理由ではありません。データセンター内の温度や空調、些細な振動などで簡単に変調するのがコンピューターです。その上にソフトウェアが動作していますが、近年の仮想化技術の進行によって、その運用も複雑化しています。ハイパーバイザーからOS、ミドルウェアやアプリケーションがいますし、もっと俯瞰で考えるとそこからローカルネットワークがあり、ファイアウォールやロードバランサー、インターネット接続まであります。また、周辺にはストレージシステムなどのデータ基盤も存在します。このように、多層のレイヤーから、ITインフラ基盤は構成されており、どのレイヤーで不調が起こっても障害原因となるという大変な環境に置かれている企業のITインフラ担当者は少なくはないのではないでしょうか。もちろん、企業の情報システム部門の人員は限られているため、他社へアウトソーシングを実施する企業が多いと思いますが、実施後も状況は変わりありません。なかなか落ち着かないインフラ基盤にやきもきされている方は多いのではないでしょうか。私もその一人でした。

私は前段の通り2015年から、IBM Cloudの利用を開始し、2016年からはオンプレミスからIBM Cloudに軸足を完全に移しました。その結果、日々の運用業務はかなり安定し、かつ心理的にも、非常に穏やかに過ごすことが出来るようになりました。これは、IBM Cloudが企業活動を前提にしたクラウド基盤であり堅牢、安定を目指していることと結びついていると確信しています。一見、世の中のクラウド基盤は華やかな新機能のリリースやラインナップ数の多さ、提供価格で争っている側面は否めません。しかし、クラウド基盤を選定するにあたって、特に声を大にして言いたい一番大事なことは、「インフラ基盤として安定している」ことです。不安定な基盤の上では、お客様のビジネスは絶対にうまくいきません。デジタルトランスフォーメーションが盛んに叫ばれており、その基盤としてクラウドが脚光を浴びる中、安定しているという事実は最も重要な要素だと思います。この「安定」をIBM Cloudで数年に渡って体験し、かつ、お客様に実感頂き高い評価を得ている状況は、本記事で最も伝えたい事実です。私(弊社)もご利用中のお客様も、そして日本アイ・ビー・エム様もWin-Win-Winの関係となっているのです。

それでは、なぜIBM Cloudが安定しているのかについて、その構成要素を次章でご説明したいと思います。

 

 

クラウド基盤安定のために必要なこと

オンプレミス運用も経験したことのある私は常々、クラウド基盤提供ビジネスとは、「知識集約型」ではなく、「資本集約型」であるべきであると強く主張します。

知識集約型とは、保有する知財をベースに高付加価値を生み出すことを指します。IT業界はこのタイプの企業が多く、かつ模範とされていると思います。より高いテクニカルスキルを利益の源泉とするということです。

一方で、資本集約型とは、大量の資本を投下し設備を充実させることで高い価値を生み出すことを指します。電力、ガス、交通、通信などの社会インフラ企業がこれに当たります。これらの産業はサービスレベルの維持に社会的な責任が伴います。そのために多額の設備投資を行っているのが事実であり、クラウド基盤も同様であると考えます。

クラウド基盤も、技術的な要素を噛み砕いて言いますとオンプレミス環境と同義です。サーバーを購入しデータセンターに配置し、ネットワーク機器と回線を用意すれば、クラウド基盤が完成します。昨今ではオンプレミスにもパブリッククラウドと同等の設備を設置できるサービスもあり、設備面から言えばどんどん垣根が曖昧になっていると思います。したがって、一定以上のテクニカルスキルがあれば、クラウド基盤提供ビジネスは提供可能と言えます。世の中の数あるクラウドサービスでどれを選べばいいか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは「知識集約型」を前提とすれば起こりうる現象です。

しかし、長期の安定運用を考えた時に、数あるクラウド基盤の差別化要因は何かというと、「資本の充実」です。資本が充実していなければいけない要因を挙げていきます。

 

  • エンジニアの問題

    優秀なインフラエンジニアを大量に雇用し、配置する必要があります。また、24時間を前提に運用しなければいけません。規模の小さな企業では、技術が属人化してしまい、特定のメンバーの離脱等が大きなリスクとなります。また、24時間対応すること自体が負担となると考えます。

  • 設備増強とアーキテクチャーの問題

    企業が利用するにあたり、適切であると考えるサービスレベルを提供するための設備は、大規模でありかつ単純化され、運用も効率的であることが求められます。アーキテクチャーが複雑なものでは、最終的に利用する段でサービスの組み合わせが増幅してしまい管理が複雑となります。小規模でスタートし、顧客のオーダーに基づいて拡大していくやり方では、構成がツギハギになってしまい障害要因となります。特に小さな企業は、スタート当初から大規模な設備投資ができないためこの傾向にあるといえます。したがって、大きな資本で、大量に、同質なものをスケールアップするビジネスを展開できるほうが安定すると考えます。

  • 多データセンター化・グローバル化の問題

     

    クラウドサービスはリージョン・アベイラビリティーゾーンの概念を前提に、グローバル展開が必須となっています。企業活動のデジタルトランスフォーメーション対応やグローバル化を実施していくためには必須の機能となっています。単一もしくは、少数のデータセンターで運用されているクラウドサービスは、デジタルトランスフォーメーション化への対応を進めると、どこかのタイミングで、より安定したクラウド基盤を提供する局面がやって来ます。でなければ、ユーザー企業がリスクを取ることになってしまいます。しかし、大きな資本がないクラウド基盤提供事業者にはそもそも、設備の保持・運用が難しいです。大量の設備が負担になってしまいますし、グローバルに人員を配置し運用することもできません。

  • コストメリットの問題

    一般的に設備やそれを構成する機材は大量に購入したほうが安いといえます。かつ同質の機器を一括購入できるため品質が安定します。資本集約型の場合は、多額の資本投下を計画的に実施するためスケールアップを安定的に実施し価格も抑えることができる。一方で知識集約型だと構築したときは安定しますが、そのあとに、実施されるツギハギでスケールアップや、同一でない機器で運用する結果となり、運用品質が大きく低下することが起こりえます。

したがって、上述した条件を対応可能な企業が運営し、展開するクラウド、となると世界でも数が限られていくのが実情です。もちろん、知名度の高いAWSやAzureも挙げられますが、IBM Cloudはさらに「ユニークな」特徴を持っており、これがたくさんの企業に認知して頂けたら、もっと導入が進むのではないかと思っています。その特徴を次章で解説します。

 

IBM Cloudの「ユニークな」ところ

私が一番良いと思っているのは、オンプレミスのアーキテクチャーと近いところです。ネットワークの単位はVLANで、いわゆる物理サーバーであるベアメタルサーバーも利用できます。OS無しでもオーダーが可能で、事実上何のOSでも利用できます。もちろん、VMware ESXiやvSphereも同様です。一方で同じネットワークレイヤーに、仮想サーバーやロードバランサー・ファイアウォールも導入できます。つまり、オンプレミスの経験がそのままクラウドで活用できるのです。クラウドなのに制限が少ない。これは本当に助かります。

オンプレミスにおいて、サービスレベルを向上・維持するためにいろいろなノウハウをITインフラエンジニアは習得するのですが、パブリッククラウドの世界に足を踏み入れた途端に、違うスキルセットを習得しないといけないのではないか、というのがよくある懸念です。したがって、IBM Cloudも同様にパブリッククラウド独特の問題をあるのではないかという懸念を持っていらっしゃる、情報システム部門の方や、インフラエンジニアの方も多いのではないでしょうか。しかし、IBM Cloudならば、オンプレミスで実績のある、ユーザー企業が選択された堅実な構成をそのまま実現できます。したがって、オンプレミスのベストプラクティスをそのままクラウドで実現可能なので、クラウド利用し始めたとしても、初めから、ユーザー企業の現行の運用設計に則った、安定かつ、堅牢な構成が実現できます。

しかも、IBM Cloud側で物理設備の品質を担保しています。仮に物理的な故障やその予兆があった場合、IBM Cloudがプロアクティブに対応してくれます。また、これは実際に利用してわかることですが、オンプレミスより壊れにくいのも事実です。これはIBM Cloudの設備が大規模かつ洗練された配置、温度管理、電力管理を行っているために得られる事実なのだと思われます。オンプレミスの場合たくさんのレイヤーの管理をしなければならなかったのが、クラウドの場合はアプリケーション・ミドルウェア・OS、ネットワークのサービスレベルに集中できるようになるのです。

 

また、もう一つIBM Cloudのユニークなところは、オンプレミスのルールをクラウドに持ち込みつつも、新しい技術を同時に使えることです。昨年末に経験したKubernetesのプロジェクトはとても興味深いものでした。「IBM Cloud Kubernetes Service」という機能を活用しコンテナにて、サービス提供を行いつつ、そこからIBM Cloud内のサービス(ベアメタルサーバー、仮想サーバーなど)と連携するのです。オンプレミス環境で、上述の内容を実現ことは、簡単とはいかないでしょう。新しい技術スキームが出現すればIBM Cloudはすぐに取り込みますし、かつこれまでの特徴も失いません。このバランスが非常に優れており、過去の資産と未来の発明をうまく共存させかつ、安定させています。また、Kubernetesで言えば、この実行基盤はユーザーの仮想サーバーです。インフラ的な観点から非常に分かりやすいのがIBM Cloudの特徴であり、この分かりやすさが安定のポイントになっていると思います。

 

小さく始めて大きく育てよう

どうすれば、これまでの旧来のオンプレミス運用から、クラウドへ舵を切ることができるか。たくさんのお客様とお話ししてきたのですが、一番お勧めしているのは、小さな既存システム、廃止はできないけれど残さなければいけない、そんな既存システムをまずクラウドへ移してみることです。とても小さな規模で構いません。まずは、少しでもクラウドを利用する、そしてその「楽さ」を経験してみることが非常に重要です。

1つ目というのは結構大変で、小さかったとしても、VPN接続を用意したり移行計画を作成したり、監視やバックアップなどの運用設計をしたりと、越えなければいけない課題はいくつかあります。

しかし、1つ目ができると、2つ目以降は非常に楽です。1つ目の構成を流用できるからです。徐々に、徐々に、進めることです。そして、もし仮に、非効率だと感じた場合引き返すことも合わせて検討することです。特にIBM Cloudはクラウド化に当たって大きな設計変更は必要ありません。加えて、クラウドサービスなので、解約もその月にできます。徐々に、徐々に進めていくことができるのです。

よくある失敗例として、今あるシステムを全部クラウド化する、そのためのRFIやRFPを作成し5年間の予算を算出しコンペを行う。そんな進め方です。現在のビジネス環境は非常に変化が激しく、5年後の自社の姿など誰も想像できないと思います。それなのに、IT計画だけが5年おきでは企業活動の効率化に寄与しません。この文化を変えるためにビジネスの変化に柔軟に合わせた環境を手に入れることが、クラウドを利用するということであり、デジタルトランスフォーメーションにおいて最も重要なことの一つではないかと思うのです。必要なものだけ進め、不要なものは削減する。これがクラウドの特徴であり5年計画でオンプレミスとクラウドの利用料を比べることは避けるべきだと思います。

また、徐々に進めるために必要なのが、弊社のようなクラウドサービスに対し、マネージドサービスを提供する企業の存在です。クラウド基盤自体は、その実行基盤までしかサポートしません。そのうえで動くアプリケーションのサービスレベルを監視し、担保するのを、いきなり自社でやろうとしても、難しい部分があると言わざるを得ません。IBM Cloudに強い弊社を通じて、クラウドを使うことで、弊社の豊富な経験を手に入れつつ、自社のシステム運用を理解してくれるパートナーも同時に得ることができるのです。これはIBM Cloudに限らずどのクラウドでも言えることだと思います。ぜひ、クラウドを利用するならば、そのクラウド基盤に強いマネージドサービス提供ベンダーも合わせてご検討ください。

 

まとめ

今回の記事で、以下をご説明しました。

  • クラウド基盤に大切なことは「安定」であること。
  • そのためには資本が十分にある企業のクラウドを利用すべきこと。
  • IBM Cloudはこれを満たしており、弊社は安定を経験していること。
  • IBM Cloudはオンプレミスのベストプラクティスを利用できるアーキテクチャーであるため、これまでの工夫や知見がクラウドでも活用できること。
  • IBM Cloudは新しい技術を取り入れつつ、現存の機能と共存しているので、新しい要件に柔軟に対応できること。
  • クラウドを利用するなら、小さく始めて大きく育てること。5年計画はそぐわない。
  • クラウド利用に長けるマネージドサービスベンダーとの関係が重要。

 

一社でも多くの企業にIBM Cloudを実際にご利用いただき、そのメリットを経験いただくことを願っています。もしこの記事を読み、IBM Cloudにご興味を持たれたのであれば、日本アイ・ビー・エム担当営業もしくは、弊社までご連絡いただければ幸いです。

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