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「クラウド移行は何となく不安」から抜け出すためのヒント

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VMware環境をクラウドへ

「クラウド移行は何となく不安」から抜け出すためのヒント

漠然とした不安からクラウド移行に踏み出せない企業は多い。分からないから使わない、使わないから分からないという循環から抜け出すべく、必要な知識をまとめて解説する。
クラウド移行のメリットは理解しているが、何となく不安が拭えない――。スモールスタートできて簡単といわれるクラウドだが、これまでと大きく環境が変わるだけに“ 最初の一歩”が踏み出せないという企業もまだ多いのではないか。特にオンプレミスのVMware環境をクラウド化するとなると、システム規模も大きくなる傾向があり、移行のハードルはさらに上がるように思える。

しかし、それは本当に事実なのだろうか。クラウド移行で「何が変わり、何が変わらないのか」を理解することで、実はこういった不安の多くは解消できるはずだ。ベアメタル上にVMware 環境を構築できる「IBM Cloud」の場合、既存のVMware 環境とシームレスに連携したハイブリッドクラウドの実現も可能だという。不安の原因は「何が分からないか分からない」だけなのかもしれない。

そこで今回は、VMware に関して豊富なノウハウと経験を持ちvExpert を受賞したIBM のエンジニアの面々に、クラウド移行に当たって理解すべき“ 違い” から、クラウドの始め方、移行手順などを詳しく聞いた。

 

クラウドに移行しても思っていたほどには“変わらない”

クラウドへ移行すると何かが大きく変わるという不安を抱く人は多い。だが少なくともインフラ部分のクラウド化においては、日々の作業にあまり変化は生じない。とはいえ違いがないわけではない。一般的にクラウドでは責任共有モデルを採用しており、クラウド事業者がハイパーバイザーまで、ユーザーがOS 以上について責任を持つケースが多い。これに対し「IBM Cloud」でベアメタルを利用する場合、物理レイヤーはIBM が設計し、VMware より上の環境はユーザーが自由に設計する。物理レイヤーに関してもオンプレミスとほぼ同等のことができるので安心だ。

日本 IBM 多田勇樹氏また「VMware on IBM Cloud」であれば、「vCenter」を使ってこれまで通りVMware 環境を管理できる。日本アイ・ビー・エムで第二クラウド・テクニカル・サービスに勤める多田勇樹氏は「物理レイヤーの操作はIBM Cloud の専用ツールを利用するが、すぐに慣れたという声が圧倒的」と話す。また「VMware vRealize Orchestrator」にIBM CloudのAPIを組み込むことで、vRealize Orchestrator からベアメタルをオーダーする仕組みを検証した実績もある。つまり既にBCP(事業継続計画)対策で自動復旧させる仕組みが整っているなら、IBM Cloud の運用を既存環境に組み
込むことも可能だ。

意外と悩むのがファイアウォールやロードバランサーなどの導入だという。IBM Cloud では同サービスが提供するコンポーネントの他、VMware の機能、VMware で動く仮想アプライアンスを利用できる。またコロケーションにも対応し、IBM Cloudと同じデータセンターに物理アプライアンスを設置できる。VMware に限らず、これといった正解があるわけではないが、ユーザー企業の要件に応じた選択肢が幅広く用意されているのは事実だ。

 

運用手順の変更にどこまでどうやって対応するか

クラウド移行のもう1 つハードルが運用だ。サーバの追加やメンテナンス、障害対応に関しては既存の手順と大きく変わるため、手順書の作り直しやオペレーターのスキルセットなどの問題が出てくる。障害やメンテナンスなどの運用手順を全て作り直すとかなりの作業量だ。クラウド導入ではシステム環境や構成ばかりに目がいきがちだが、こうした運用面も事前に考えなければ後々苦労する。しかしこの点「VMware on IBM Cloud」なら安心だ。

日本 IBM 葉山慶平氏日本アイ・ビー・エムの第二クラウド・テクニカル・サービスに勤める葉山慶平氏は「少なくともVMware より上の部分は変わらないので、今までと同じ手順やスキルをそのまま生かせる。もちろん物理レイヤーに関する運用は変わるが、変更の範囲はかなり狭く、移行のハードルも低い」と説明する。

 

「クラウド移行」をきっかけにビジネスの目的や要件の見直しを

クラウド移行を成功させるには、目的を見極めることが重要だ。ビジネスで何らかの問題があり、それを解決するためにクラウドを活用するのが本来の流れ。ただコスト削減だけを求めてクラウド移行しようとしてもうまくいかないだろう。クラウドは安いというイメージも強いが、長期間使い続けるとオンプレミスより割高になるケースもあり、固定台数で使い続けるようなシステムの場合、思ったようなコスト削減効果が得られないこともある。コスト削減だけを求めるのか、拡張性を得たいのか、AI(人工知能)などの最新技術を活用したいのか、まずはビジネスの課題や目的を明確にすることが不可欠だ。

また、クラウド移行は可用性などのシステム要件を見直す良い機会にもなる。システムの可用性を考えるとき、許容する停止時間が15 分間、5 分間、1 分間と短くなるにつれて、実現にかかるコストが大きく跳ね上がる。しかし「このシステムは重要だから止まってはいけない」というところで思考停止してしまい惰性で運用している企業は少なくないという。1 分間ではなく5 分間、もしくは15 分間停止することを許容できるかどうかによって、コストは大きく変わる。「クラウド移行を機に、可用性などの要件も見直すことをお勧めする。IBM Cloud ではコストを抑えた構成も、オンプレミスと同等のSLA(サービスレベル保証)を達成する構成も実現できる。コストだけではなく可用性などさまざまな要件を見直すことで、クラウド移行で期待した効果が得られない、といった事態は避けられるはず」(多田氏)

 

IBMが勧めるクラウド移行の始め方

どのシステムからクラウドへ移行するかは企業の要件ごとに違う。とはいえクラウドを始める際にお勧めのパターンは幾つかあるという。「例えば開発環境や負荷テストの期間だけ環境を利用したいなど、期間限定のものはクラウドに向く。他にもDR(災害対策)環境としてデータだけをクラウドに保管するといったケースもある。この場合ストレージ領域は必要だが、CPU やメモリなどのサーバ部分は必要になってからオーダーすることで、コストを抑えられる。後はオンプレミス環境のリソースが切迫したときにクラウド側に必要な容量をオーダーして利用するなど、クラウドの柔軟性を生かした使い方は始めやすい」(葉山氏)。最終的に全面移行を目指すとしても、クラウドに向いているところから徐々に始めるというアプローチだ。

利用手順は至って簡単。IBM CloudのWebサイトには、VMwareを選択する画面がある。例えば「VMware Cloud Foundation」を選択し、プライマリー/セカンダリー、ドメイン名、インスタンス名、データセンターなどを設定すればオーダーが完了する。約10 時間でベアメタル4 台が調達でき、「VMware NSX」や「VMware vSAN」を含んだ構成済みVMware Cloud Foundation 環境を利用できる。

この規模の環境を手に入れるステップとしてはあっけないほどだ。さらにベアメタルサーバを追加したいときも、追加のボタンをクリックするだけ。アップデートやバックアップ、パッチ適用などもIBM Cloud のポータルからまとめて管理できる。「話を聞くよりも、実際に使っていただいた方が、理解が早い。まずはIBM Cloud でベアメタルサーバ1台にVMware を構築し、試してみることをお勧めする」(葉山氏)

 

VMware環境の移行方法は幅広い選択肢がある

クラウドに移行するシステムを決めた後、次のハードルとなるのが移行方法だ。VMware の場合、仮想マシンを既存環境からインポートし、クラウドのVMware 環境へエクスポートする方法が一番シンプルだが、この方法ではシステム停止が発生する。無停止でシステムを移行する方法として、例えばVMware NSX のL2 延伸機能を利用し、Cross-vCenter vMotion で移行する方法がある。またオンプレミス環境にVMware NSX が導入されていなくても、無償の「VMware Standalone Edge」をインストールすればL2延伸を実現できる。その際に気を付けたいのが、移行ではシステム全体をネットワーク越しに移動させるということ。「当然ネットワーク帯域が必要になり遅延も生じる。全てを一気に移行すると負荷が高いため、システムを1 つずつ移行することをお勧めする」(葉山氏)

IBM Cloud は世界中のデータセンターをつなぐ国際間ネットワークを無料で使えることが特長だが、それだけではない。一般的にクラウドの専用線サービスを利用する場合、クラウドから外に出るトラフィックにデータ転送料がかかるが、IBM Cloud ではそれがかからない。これが無料であるという点はかなりの魅力だ。「インターネットを利用したデータ転送に関しても無料枠を用意している」(葉山氏)。利用するサービスによって無料枠は異なるが、Vyatta のファイアウォールを利用すれば20TB 分の無料枠が使える。これは約20万円分に相当するという。

 

まずは体験セミナーで実際に体験を

移行に当たってはまず既存の環境を整理した上で、何を目的にクラウド化するのか、明確にすることが重要とお伝えしたが、そもそもその時間が取れない、何から手をつけていいのか分からない、という企業もあるだろう。IBMではIaaS 環境を提供するだけでなく、コンサルティングも実施しており、どのシステムを移行するのか、オンプレミスに残すのかなど既存環境の整理などからサポートしている。

VMware on IBM Cloud の体験セミナーも定期的に開催しており、実際の画面を操作しながらIBM Cloud にVMware環境を構築するところまでを体験できる。数時間のセミナーで基本的な操作、環境構築までを教わり、実際に操作を体験できるのは魅力だ。申し込んでみてはいかがだろうか。

体験セミナー情報はこちら VMware on IBM Cloudの詳細はこちら

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