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事業者向けEC大手のモノタロウ 事業の変化と成長を支えるサプライチェーン基盤を構築

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※2022年4月11日~2022年5月10日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

切削工具などの工業用資材から自動車関連商品、工事用品、事務用品など事業者向け間接資材の通信販売大手の株式会社MonotaRO(以下、モノタロウ)が、サプライチェーンの高度化の第一弾として複数倉庫とサプライヤーを網羅した最適在庫引き当て機能を本格稼働させた。これにより同社が取り扱う約1800万点の商品の最適な在庫引き当てと配送方法が自動で選択されるようになった。同システムによって顧客の利便性を向上し、コストを最適化するという取り組みはこれからも続いていく。同システムの開発に携わったモノタロウと日本IBMの担当者に開発の背景について話を聞いた。

高度化するニーズに対して最適な出荷パターンを模索

田村 咲耶氏

株式会社MonotaRO
執行役 サプライチェーンマネジメント部門長
田村 咲耶氏

2000年創業のモノタロウは、“間接資材調達にかかる手間・時間を省き、利便性を高めることでお客様の生産性を高める”という考えのもと、「倉庫に在庫している商品は午後3時までのご注文は当日出荷する」というような顧客ニーズに応える配送体制を確立し、年平均20%というペースで事業を拡大してきた。現在では23カテゴリー、約1800万点の品ぞろえと約50万点の在庫商品を扱い、間接資材をワンストップで調達できる利便性の高さが評価されている。

しかし、商品数が増え、サプライチェーンが複雑になったことで課題も浮上してきた。きっかけは2017年に商品を管理する倉庫が2つに増加したことだ。注文にスピーディーに対応するには、複数個の商品の注文に対して「どの倉庫からいくつ在庫を引き当てて出荷するのが最適か」を瞬時に判断しなければならない。

サプライチェーンマネジメント部門長の田村咲耶氏は「片方の倉庫に引き当てが偏りすぎると在庫に対して欠品が発生し、お客様のニーズに対応できなくなってしまう恐れもあります」とその難しさを指摘する。しかも年20%も事業が拡大する中で倉庫の数も増えていく。2021年には3つ目、今年4月には4つ目と倉庫がハイペースで増設され、引き当てパターンの複雑さは増すばかりだ。

田中 清司氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
流通サービス事業 アソシエイト・パートナー
田中 清司氏

流通業界のコンサルティングを手掛ける日本IBMの田中清司氏は「顧客ニーズが複雑化する中で、サプライチェーンはより高度化しています。最短の納期で間違いなく商品をそろえて届けることは困難です。さらに倉庫が増えると人手で対応するのはより難しくなります」と現状を語る。

同社の配送ルートにはサプライヤー経由の配送もあり、複雑さにさらに拍車がかかる。倉庫を増設するには多大な投資がかかるが、サプライヤーから直接発送してもらったほうが短時間かつ配送コストが安くすむ場合もある。それには配送先がどこになるのかという要素が加わる。このような組み合わせのパターンを増やすことで柔軟性は高まるものの、トータルでどのパターンが最適なのかを判断することが大きな課題となっていた。

長期的な視野から選定した受発注プラットフォーム

吉野 大氏

株式会社MonotaRO
IT部門 OMSグループ長
吉野 大氏

高度化する顧客ニーズと複雑化する対応パターンの組み合わせに対応するため、同社はオーダー管理システムの見直しに着手した。「これまでは在庫引き当てと配送方法のパターンを一つひとつ手作業でシステムに登録してきましたが、システムによってデータとアルゴリズムに基づいた最適なものを自動で選択できるようにしたいと考えました」とIT部門 OMSグループ長の吉野大氏は話す。

これまではオーダー管理システムを自社開発してきた同社だが、今後の高度化への対応を考えてパッケージの導入を検討し、そこでは「オーダーと在庫が一元管理できる」「自動の在庫引き当て機能がある」「出荷までフォローできる」「引き当てパターンのバリエーションに柔軟に対応できる」などが求められた。

しかし、複数の倉庫に対応できなかったり、小規模向けのものだったりと、同社のニーズに合致するものが見つからずにいた中で注目したのが、日本IBMが提供するオーダー・フルフィルメント・プラットフォーム「IBM Sterling Order Management」だった。

井上 不二雄氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
流通テクニカル・ソリューション
ソリューション・アーキテクト
井上 不二雄氏

「様々な機能があり、かつカスタマイズしやすいことを評価しました。海外の流通業の導入事例の中に当社と同じ使い方をしているものがあり、日本IBMのコンサルタントの支援を受けることもできると聞き、成功のイメージを持つことができました」と吉野氏は話す。

導入プロジェクトの支援にあたった日本IBMの井上不二雄氏は「示された在庫引き当てパターン、倉庫数、サプライヤーからの調達などの要素を検討し、海外の流通プロジェクトを担当したエキスパートにも参加してもらい、情報を提供してもらうことにしました」と話す。こうして2019年4月に導入プロジェクトがスタートした。

ビジネスを止めずにシステム機能を高度化させるにはアジャイル的な手法ならリスクヘッジにも有効

導入プロジェクトのスタートにあたって苦労したのは、どこまでをターゲットにするかという線引きだった。「壮大なイメージを持って望んでいたので、やりたいことがたくさんありました。ただ、一気に手掛けることはできないので、切り出すところと後回しにするところを整理しなければなりませんでした」と田村氏は語る。

吉野氏は「パッケージでカバーできる機能を一気に置き換えるのは、システムに大きく手を入れる必要があり難易度が高いと感じました。フロントのシステムや商品管理システムなど周辺システムとの連携が必要で、ビジネスを止めずに機能を高度化させていくことの難しさもありました」と話す。

そこで日本IBMはいくつかのステップに区切って進めることを提案した。プロジェクトに加わっていた海外のメンバーからのアドバイスもあり、まずは引き当て機能の高度化に取り組むことになった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)などに代表されるような長期欠品の対応や配送費を最適化するためのサイズ情報がそろわないなどの予想外の問題が続出し、一つひとつ課題を解決していくしかない場面が多かったという。

井上氏は「考えられるパターンを出してもらい、それを実装してテストして結果を見て改善するという方法で進めていきました。双方で知恵を出し合いながら課題を解決し、結果として提示された20のパターンのほとんどに対応できました」と話す。

「以前の部署でECサイトの開発を担当していたので、Web開発のやり方を基幹システムにも取り入れてみました。それが想定外の問題に対するリスクヘッジにもなりました」と吉野氏は語る。

DXの本質的なゴールは仕事のやり方を変えること

アジャイル的に開発されているプロジェクトだけに常に現在進行形で開発が進められているが、在庫引き当て機能については2022年3月から本格的な稼働を開始している。従来の在庫引き当て機能と異なり、最適な引き当てが自動で選択されるようになったことで顧客の利便性向上と同時に省力化やコスト最適化が図られている。

顧客のメリットという面での特徴の1つが、出荷キャパシティーである。倉庫ごとに1日あたりの出荷キャパシティーを設定し、キャパシティーを超えた場合、以後はその倉庫には振り分けられないようにできる。これによりキャパシティオーバーによる出荷の遅れを防ぐことができ、顧客の利便性向上につながる。

吉野氏は「大きな開発プロジェクトを進めるノウハウがなかったので、日本IBMの支援があって大変助かりました。トップレベルのシステム・インテグレーターならではのアドバイスやご提案に感心しました」と話し、田村氏は「難題がクリアできたのは日本IBMのサポートがあってのこと」と評価する。

サプライチェーン高度化のロードマップ

今後もさらに「早く、安く、正しく」の実現に向けた改善が続けられる予定だ。具体的には、対応パターンの拡充や倉庫管理システムとの連携、顧客への最適なオプションの提示などが考えられている。田村氏は「今後はお客様のニーズに合わせたオプションをサイトに表示し、お客様が選べるようにしていきたい」と話す。

それを実現する機能はすでに「IBM Sterling Order Management」に備わっているので、同社の事業展開に合わせてアジャイル的に機能を追加開発していくことになる。井上氏は「引き当てデータを分析し、AI(人工知能)なども活用しながら在庫の最適化を図るなど事業の課題解決にも貢献していきたい」と話す。

また田中氏は「DX(デジタルトランスフォーメーション)は仕事のやり方自体を変えるのがゴールです。ECサイトでオーダーし、急ぎの場合はお客様自身がサプライヤーの倉庫に取りに行くというスタイルも考えられます。それこそが共創の時代の新しい発想かもしれません」と語る。モノタロウのDXの先に、どのような未来が描かれるのだろうか。

※2022年4月11日~2022年5月10日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。