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イベントレポート: 2020年 オランダ・デンマークに学ぶ 新学問のすゝめ

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先日、オランダとデンマークの教育をテーマとした「教育視察ツアー報告イベント 2020年 オランダ・デンマークに学ぶ 新学問のすゝめ」というイベントに参加してきました。会場のサイボウズには参加者が150名以上集まり、さらにオンラインでの参加者も数十名いて、かなり大規模なイベントでした。

すごくいい時間が過ごせたので、イベント全体がどんなものだったのかと、自分が周囲の人たちとどんな話をしたかを書いてみようと思います。

 

■ イベント全体について

イベントは「オープニング(チェックイン & 教育ツアーの背景)」〜「オランダ & デンマーク全体報告(7つの分科会プロローグ)」〜「テーマごと分科会×2」〜「リヒテルズ直子さん & ニールセン北村朋子さんQ&A」と、大きくこんな流れになっていました。

おれがとってもいいなって感じたのは、誰にとっても心地よい場になるように「カチッとしていなくていいんですよ」「ゆるく行きましょう」というメッセージが繰り返されていたこと。

それが、子どもたちが走り回っていたって、PCやネットワークにちょっとしたトラブルが起きたって、そして参加者がちょっとくらい自分勝手に振舞ってたっていたって、「それでいじゃない!」っていう空気を作っていたと思います。

これはとりわけ全体進行役でオープニングを担当されていた青木 智宏さんと、全体報告を担当されていたモリソンこと森本佑紀さんのチカラだと思います。

 

■ オープニングと全体報告

オープニングで青木さんが説明されたのは、「なぜ、オランダとデンマークへ教育視察ツアーに行くことにしたのか」でした。

すごく乱暴におれ流にまとめさせてもらうと「日本社会の幸福度が低い」「日本の子どもの自己効力感が低い(社会を変えられると思っていない)」「日本の子どもの学力は下がっている」「「日本の子どもの自殺率は高い」 — こうした問題へのアプローチのヒントを、うまくいっているっぽい国に学びに行こうということだったと思います。

たしかにオランダもデンマークも、国民の幸福度と学生の自己効力感については日本よりはるかに高く、学力も日本のように近年下がっている訳ではありません。

自殺については…どうですかね。大人の自殺に関してはデンマークは決して少なくはない国ですが、子どもたちの場合はこれまでデータを見たり、話に聞いたりしたことがないので分かりません。そしてオランダの自殺事情に関しては知識ゼロです。今度、調べてみようっと。

 

続いて登壇したのはモリソンさんです。モリソンさんが話したのは、オランダとデンマークが現在の公教育と民主主義に至った歴史的な背景です。

ものすごく端折って書けば、そのスタートがフランス革命や農民革命といった王政からの脱却にあったこと。国家の中枢がプロテスタントとして「宗教的な多様性を認める必要があった」ということ。そして産業革命が社会や教育の中心を経済理論に塗り替えてしまうことに対するカウンターがあったということだと思います。

そして彼の目に映った両国の現在の特徴をいくつか紹介しながら、「その特徴の深掘りはこの後のテーマごとの分科会で!」というプロローグの形になっていました。

 

ここで声を大にして言いたいことが1つあります。全体報告のモリソンさんがすごかった!! ってことです。

ちょっと偉そうに聞こえてしまうと思うのですが、以前モリソンさんのセッションに出たときは、正直「話が上手い方だな」くらいの印象しか受けませんでした。ところが今回は、モリソンさんの「大きく場をつかむ力」と「ところどこで見せる細かい話術」に完全にやられました。

すごかった。あれほど縦横無尽に場を作れるとは! いやマジすごいよモリソン! (あ、また上からっぽい書き方になってしまった。ゴメンね。)

 

■ 分科会について

分科会は7つに分かれていて、その中から2つを選んで参加するというものでした。

そんなわけで、残念ながら参加できなかった他の5つの分科会については、どんな話がされたのか詳細は分からず…(きっと後日、使用されたスライドや内容レポートのようなものが参加者にシェアされるのではないかと期待しています)。

 

以下、7つの分科会のテーマ紹介です:

  1. 【国家と教育】公教育”なんのため”委員会! (森本佑紀/tanQ株式会社)
  2. 【大人の学び】デンマーク発祥・人生の学校とは?  (遠又香/次世代教育・産学官民連携機構)(安井早紀/地域・教育魅力化プラットフォーム)
  3. 【インクルーシブ教育】インクルーシブ教育について (鰐淵遊太/発達相談支援センターこ・ろ・の・あ)(影近 卓大/合同会社ライフイズ)
  4. 【主体的な学び】こどもの主体的な学びについて (中山勇魚/Chance For All代表理事)
  5. 【学習環境デザイン】これからの学習環境・法教育デザイン (星功基/学び表現作家)(安井飛鳥/弁護士法人ソーシャルワーカーズ)
  6. 【落ちこぼれを作らない】落ちこぼれを作らない教育システムとは (菊池麻衣・宮林佑多・妻由 舞/ベネッセコーポレーション)
  7. 【ママ目線でこう見えました!】子どもの学びを深める大人の関与とは? (松木ゆうこ/らしく・ローカス)(赤木亮太/慶應SFC院生・Teach For Japan8期フェロー)

おれが参加したのは、最初が「テーマ2【大人の学び】デンマーク発祥・人生の学校とは? (遠又香/次世代教育・産学官民連携機構)(安井早紀/地域・教育魅力化プラットフォーム)」に。次に「 テーマ1【国家と教育】公教育”なんのため”委員会! (森本佑紀/tanQ株式会社)」でした。

 

ざっくりとそれぞれの内容と感想を。

「【大人の学び】デンマーク発祥・人生の学校とは?」は、デンマーク発祥の大人(厳密には17.5歳以上)なら誰でも入学できるフォルケホイスコーレという学校に通った経験を持つ遠又香さんと安井早紀さんが、フォルケホイスコーレの成り立ちやそこでの体験を紹介しました。その後、北海道に日本版フォルケホイスコーレの第一校を作ろうとしているという彼女たちの取り組みを紹介してくれました。

フォルケホイスコーレを知らない人にはある程度大まかなイメージを持ってもらえたと思うし、知っている人には彼女たちの取り組みに興味を持たせる分科会だったと思います。

おれもまだしっかり読めていないんだけど、これまでの流れなどがこちらのnote『School For Life *Compath*』に書かれているそうです。

 

「【国家と教育】公教育”なんのため”委員会!」は、全体報告であまりデンマークについて触れられなかったというモリソンさんの、グルントヴィーとキルケゴールというデンマークの2人の偉人の紹介からスタートしました。その後、分科会のおよそ半分ほどの時間がグループワークとその発表に割かれていました。

グループワークは2つのパートからなっていて、パート1は「 これまでの日本の教育を表す2字熟語を各グループでリストアップしてみよう」というもの。ちなみに、モリソンさんが見てきたオランダの教育を表す2字熟語は「自由」、デンマークは「幸福」ということでした。

そしてパート2は「これからの日本の教育を2字熟語で表そう。そしてそれに至るためにどんなアクションが必要だと思うかをリストアップしてみよう」というものでした。

 

ちなみに、おれがいたグループで出てきたのはこんな熟語でした。

パート1: 普通(普通を「みんなと同じであること」と定義し、そこに押し込もうとする教育。そしてそれが加速拡大し、自ら同じじゃないものを排除しようとする生徒やその親)。

パート2: 混沌(いろんな人が混ざり合いたくさんの価値観がそこかしこにある状態。そこから「画一的じゃなくても大丈夫」だったり、自分がやりたいことや進みたい方向を見つけられる状態)。そこに至るためのアクションは、障がいのある子もない子も「分けない学校」と、自分の血縁家族以外とも一緒に暮らす「共同生活」と、血縁以外にも複数の両親を持つ「親権分散」というものでした。

 

■ リヒテルズ直子さん & ニールセン北村朋子さんのQ&A

分科会がメインディッシュだと思ったら、「最後にもう一皿すごく豪華なのが残っていました!」って感じの、オランダのリヒテルズ直子さんとデンマーク・ロラン島のニールセン北村朋子さんと会場をオンラインでつないだ、たっぷり1時間近いQ&Aタイムでした。

すごく濃い内容だったのですが、ここではおれの心に一番響いたところだけを。

 

リヒテルズ直子さん: 「共同でやろうとしているか?」 — 日本の人はもっと、違う意見を持っている人たちを受け入れて仲間になる/することを学んでいくべき。そのために必要なのは、深刻になり過ぎず、楽しみながら笑いのある作業や時間を共有していくこと。お互いが仲間として信用して大事にしていける関係づくり。

ニールセン北村朋子さん: 「普通はみんな違うんだから自分の普通でいい」 — デンマークでリスペクトされるのは年長者ではなく、相手とは異なる自分の意見を適切に伝え、相手の意見を引き出しながら新しい考えや解決策を生み出せる人。

民主主義と教育には終わりがない。学んだことはその瞬間から古くなってしまうのだから、常にアップデートしていこうという姿勢をみんなが持っていないと、たくさんの世代間ギャップが生まれ続け広がり続けてしまう。

 


学びに満ちていて、そして楽しい時間でした。そしておれは「フューチャーデザイナーをもっと日本に増やしていく」っていう自分のミッションと #混ぜなきゃ危険 というキーワードに括っている自分の活動を、もっとじゃんじゃんやっていこうって改めて思いました。

他に参加した人たちがどんな感想を持ったのか、どんな言葉が心に残ったのかも聞いてみたいな。

Happy Collaboration!

 

コラボレーション・エナジャイザー

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