社内ソーシャル

不採択論文その4: 最終回 – 企業ソーシャルへの提言と課題

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不採択論文シリーズ最終回です。これまでの3回は以下からご覧いただけます。

  1. 企業ソーシャルがもたらす効果と課題点

  2. 企業ソーシャル効果測定の考え方

  3. エンゲージメントを高める施策と事例


企業ソーシャルへの提言と課題

 

■ 提言と課題

企業ソーシャルを本質的な目的と効果から考えていくと、そこで社員により行われるコミュニケーションとコラボレーションの量・質を高めるための取り組みと、その効果を数値的に測定していくことが、その価値を高めていくことに有用であることをここまで述べてきた。

それでは、これまで述べてきたことを組み合わせていくことで、今後企業ソーシャルに必要となるであろう要素をいくつか提言として提示する。

合わせて、それらを実現していく上で、検討していくべき、あるいは解くべき課題も提示する。

 

■個々のユーザーへのアドバイス機能

不採択論文その2: 企業ソーシャル効果測定の考え方』で説明したPSDのスコアを活用してモデリングすることで、自身に対するソーシャル上の認知(Eminence)やつながりを持っている社員数(Network)の望ましい数値や、他者の行動(Reaction)を引き起こす自身の能動的な行動(Activity)の望ましい割合などが、統計的に取得することができる。

こうした統計データを元にした洞察だけではなく、さらにいくつかのモデリングを行ってパーソナリティー別のロールモデルを作成し、それに近づくためのアドバイス策定プログラムを作ることも可能であろう。
■ グループや組織へのアドバイス機能

先に記したコミュニティー・マネージャーの役割や機能は、企業ソーシャル全体ではなく、個別の小グループや組織単位でも有効性が高いであろう。ただし、そうした役割をグループや組織(コミュニティー)単位で持つには人的資源の制約が大きいことが予想される。

しかし、それぞれのコミュニティー単位で人工知能システムによるコミュニティー・マネージャーとして持つ分には、大きな資源を割く必要がないだろう。

あるいは人間のコミュニティー・マネージャーとペアを組み、別コミュニティーの成功パターンやアンチパターンとの照会を行って事前にいくつかの展開パターンと打ち手を示唆することも可能であろう。

また、PSDの統計データの分析が十分進めば、職場におけるグループ内での役割との相関分析を行うことで、組織やプロジェクトの目標に合わせたチーム編成などにも役立つだろう。

 

■ 課題

提言として挙げたものの多くは、情報が企業ソーシャル上で発信され社員のオンライン上のつながりを通じて相互作用を起こし合うことでデータが次々と生みだされ、それを数値化して分析することで新たな洞察やプログラムを生みだすものである。

これらを実現するためには、洞察を生みだすのに十分な数値のデータが必要になる。そのために必要なのは、(ニワトリとタマゴのようだが)ある程度の量と質をソーシャル上に生みだすことだ。

そしてそのためには必要なのは、「ソーシャルは時間の無駄」あるいは「自分の直近の仕事ではない」という考えを持つ社員や、「若い世代がやれば良い」とか「情報は組織内での上下関係に沿って流すもの」と考えるマネージメント層の意識の変革であろう。特に規模が大きく、階層による組織体制を組んでいる企業であれば、マネージメント層の意識が企業全体に与える影響の大きさはここで説明するまでもないだろう。

こうしたマネージメント層の意識や行動が足かせとなり企業ソーシャルの失敗につながっているという報告は珍しくなく、つい先ごろもその対策がハーバード・ビジネス・レビューに『Why No One Uses the Corporate Social Network』[11]として掲載されている。

意識や風土、文化は一朝一夕に変わるものではないが、何も手を付けなければ変わることもないものだ。そうした企業文化や風土の変革に対しても企業ソーシャルが果たす役割は大きいであろう。

[11] Harvard Business Review, Why No One Uses the Corporate Social Network, https://hbr.org/2015/04/why-no-one-uses-the-corporate-social-network

 

■ おわりに

当不採択論文では、企業ソーシャルの現状・期待される効果・展開にあたっての課題点を整理し、企業がソーシャルを導入する時に必要な評価基準について検討し提言を行った。

企業ソーシャルは、従来のコラボレーションのあり方を変革し、より柔軟な情報共有基盤を実現できると確信している。

この考察が少しでもソーシャル・ビジネスの推進に役立てば幸いである。

 

Happy Collaboration!

コラボレーション・エナジャイザー

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