サービス・レベル契約(SLA)とは
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握手を交わし、取引を締結する2人の人物

公開日:2023年11月27日
寄稿者:Michael Goodwin

サービス・レベル契約(SLA)とは

サービス・レベル契約(SLA)とは、サービス・プロバイダーと顧客との間で結ばれる契約であり、提供されるサービス、期待されるパフォーマンス・レベル、パフォーマンスの測定方法と承認方法、パフォーマンス・レベルが満たされなかった場合の対応について概説するものです。

SLAは通常、ベンダーと外部顧客の間で交わされますが、内部的に、同じ会社内の2つの部門またはチーム間で交わされることもあります。

SLAはアウトソーシングおよびテクノロジー・ベンダー契約の重要な部分であり、業務関係の進め方についてのエンド・ツー・エンドのビューとなります。これらは、すべての利害関係者がサービス契約を正確に理解し、顧客の期待を設定し、審査と是正手順を定義し、最終的にはエンド・ユーザー・エクスペリエンスを最適化するのに役立ちます。SLAは、よりシームレスな業務関係への道を整え、将来的に問題発生を抑え、関係者全員の利益を保護するのに役立ちます。

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サービス・レベル契約の種類

サービス・レベル契約には、顧客レベルSLA、サービス・レベルSLA、およびマルチ・レベルSLAの主要な3つの種類があります。

顧客レベルSLA

顧客レベルSLAは、顧客が社外か社内かを問わず、サービス・プロバイダーと顧客の間の契約であり、顧客に提供される特定のサービス(またはさまざまなサービス)について説明します。たとえば、クラウドでホストされるアプリケーションのパフォーマンス期待について概説する、サードパーティのクラウド・サービス・プロバイダーとテクノロジー企業の間の契約などがそれに該当します。

内部SLAは、同じ組織内の2つの異なる部門、チーム、またはサイト間の契約です。開発チームとビジネス・チームの間で交わされる、特定のアプリケーションや製品のデプロイメントのペースや総合的な期待について概説する契約などがそれに該当します。

サービス・レベルSLA

サービス・レベルSLAは、複数の顧客に提供される定義済みサービスを詳細に規定する契約です。プロバイダーが顧客を問わずサービスやサポートが一律である製品を提供する場合などは、サービス・レベルSLAを使用できます。

マルチ・レベルSLA

マルチ・レベルSLAは、いくつかの異なるレベルに分割された契約であり、複数の当事者または複数の異なるレベルのサービスを同じ契約に組み込むことを目的としています。マルチ・レベルSLAは、組織と複数の外部プロバイダーとの間で交わされる場合もあれば(組織がマルチクラウド・モデルを採用し、多数のパブリック・クラウド・プロバイダーを利用している場合など)、複数の社内チームや部門間の契約を定義するために交わされる場合もあります。

たとえば、SaaS製品など、さまざまな料金体系プランやサービス・レベルがある製品を提供する組織は、各製品層のサービス・レベルと期待値を説明するマルチ・レベルSLAを使用できます。

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SLAの構成要素

SLAは企業、製品、各組織の特定のビジネス・ニーズによって異なりますが、ほとんどのSLAには類似の次のような主要な機能が含まれています。

概要

概要セクションでは、契約とその最も基本的な機能(関係当事者、提供されるサービスの概要、契約の開始日と期間など)を紹介します。

サービスの説明

このセクションでは、提供される特定のサービス、および関連するすべての詳細について説明します。これには、サービスの提供、成果物の納期、保守スケジュール、関連する依存関係、その他の情報が含まれます。このセクションでは、すべての要因と状況が十分に説明されます。

利害関係者の内訳

利害関係者セクションには、契約に関与するすべての当事者、その役割と責任、および各当事者への連絡方法がリストされています。多くの場合、エンド・ユーザーの問題を報告するための優先連絡先として、主要連絡先が指定されます。

パフォーマンスの追跡とレポート作成

パフォーマンス・セクションには、維持するサービスの可用性とサービス・パフォーマンスの基準、およびパフォーマンスの測定に使用する重要業績評価指標(KPI)の詳細が記載されています。これは通常、サービス・レベル目標(SLO)内で定義されます。SLOとは、SLA内の合意事項であり、合意されたパフォーマンス目標を一定期間の特定のサービスに対して定めます。

多くの場合、情報の収集方法や利害関係者と共有方法を概説するワークフローが含まれます。パフォーマンス・レベルとパフォーマンスの評価に使用されるメトリクスは両方とも、契約全体の中心となるため、すべての当事者が慎重に検討する必要があります。

除外

このセクションには、顧客の設備の問題や合理的制御外の要因(不可抗力)によるダウンタイムなど、契約から除外されるサービスまたはサービス提供の側面がリストされます。これには、定期保守の例外も含まれる場合があり、そのような時間帯はアップタイムの保証契約対象には見なさないと規定されます。

セキュリティー・プロトコル

セキュリティー・セクションでは、プロバイダーが維持するセキュリティー・プロトコルと標準について説明し、顧客データがどのように保護されるかについての情報を提供します。また、機密情報や知的財産の保護に関連する機密保持契約(NDA)や対策もリストされています。

是正

このセクションでは、いずれかの当事者が契約条件を履行しなかった場合に課せられる罰則が定義されます。ここには、エスカレーション手順、解決の時間枠、およびサービス・プロバイダーがSLAの条件(財務、サービス・クレジット、またはその他の条件)を満たさなかった場合に提供される補償が詳しく記載されています。アーンバックなどの償還条件もリストされています。

見直しと調整のプロセス

ベンダーの能力、ワークロード、顧客の要件は時間の経過とともに進化します。したがって、合意された条件とパフォーマンスの測定に使用されるKPIの見直しと改訂のための、確立されたプロセスとスケジュールが必要です。これにより、SLAにプロバイダーの製品またはサービスの最新の機能を組み込むことができ、現在の顧客のニーズに対応できます。

終了プロセスと条件

契約には、サービス契約の有効期限前にキャンセルできる状況と、そのような措置を取る場合に各当事者に求められる通知期間を概説したセクションを含める必要があります。

署名

契約は双方の権限のある利害関係者によって署名され、契約が有効である間は、関係者全員が契約の条件に拘束されます。

SLAメトリクスの決定

サービス・レベル目標(SLO)は、エラー率、要求の遅延、アップタイムなど、サービスの特定の側面に対するパフォーマンスのしきい値を設定するSLAの一部です。これらのパフォーマンス・メトリクスは、提供されるサービスの品質を評価し、SLAが満たされているかどうかを判断するために使用されます。

適切なメトリクスを監視することは、SLAを成功させるための重要な要素です。適切なデータがなければ、取り決めが組織にどのようなメリットをもたらしているかを把握するのは困難です。

一般的なSLAメトリクスには、次のようなものがあります。

可用性とアップタイム

これは、サービスが正しく機能し、利用可能である時間のことです。通常は、一定期間のパーセント、たとえば30日で99.5%(ダウンタイムは3.6時間)という形式で示されます。稼働時間の要件はビジネスの種類によって異なり、SLAにそれが反映されます。

たとえば、1カ月あたり3.6時間のダウンタイムは、世界中でビジネスを展開しているeコマース・プラットフォームにとっては長すぎる可能性があります。このような企業は、さらに高い可用性を保証する必要があり、それを反映したSLAを求めます。

エラー率

これは、生産またはサービスの障害と、予想されるパフォーマンス目標をITサービス・プロバイダーのサービス・レベルが下回る時間の割合を追跡する測定です。この契約には、納期の遅れ、機能またはアップデートのリリースの遅延、ヘルプデスクの不適切な対応、コーディング・エラー率、欠陥率、その他の技術的品質の測定などに関するSLOが含まれる場合があります。

応答時間

これにより、プロバイダーがクライアントの問題や要求をログに記録して応答するまでの許容時間が確定されます。

解決時間

これにより、プロバイダーによってログに記録された問題を解決するまでの許容時間が確定されます。

回復までの平均時間

これは、障害または停止後に、製品、サービス、またはシステムを回復するためにかかる平均時間です。

初回コール解決率

この測定は、サービス・デスクまたはチャットボットとの最初のやり取りでプロバイダーによって問題が解決された顧客の割合を示します。

放棄率

これは、カスタマー・サービス・プロバイダー、またはサービスに顧客サービス・コンポーネントが含まれる組織にとって重要なメトリクスです。これは、顧客がヘルプデスクから回答を受け取る前にカスタマー・サポートへの問い合わせを放棄した率です。

セキュリティー

プロバイダーのITセキュリティーへの取り組みを評価するために、未公開の脆弱性、ウイルス対策アップデート、ソフトウェア・パッチなど、さまざまなセキュリティー対策が測定される場合があります。

ビジネス成果

適切なKPIを使用することで、組織はプロバイダーのサービスや製品が広範なビジネス目標にどのように貢献しているかを判断できます。たとえば、デジタル・トランスフォーメーションを進めている企業が、「プロバイダーのクラウド・リソーシング・ツールは、クラウド・コンピューティングの支出を制御するのに役立っているか」と自問するとします。適切なKPIを追跡することは、その質問の答えを得るために役立ちます。

SLAのメリット

SLAは、サービス・プロバイダーと顧客の両方にメリットをもたらします。SLAは次のことに役立ちます。

サービス品質とカスタマー・エクスペリエンスの向上

SLAを作成する際、組織はその製品、サービス、プロセス、および関連するカスタマー・エクスペリエンスを綿密に調査して、良好な分野と改善できる分野を判断する機会が得られます。SLAは、パフォーマンスとカスタマー・エクスペリエンスの成功を測定するベンチマークとなる、明確なパフォーマンス目標を確立します。

コミュニケーションの促進

SLAは、すべての利害関係者の役割と責任、および問題のトラブルシューティングと紛争の処理のためのプロセスとチャネルを明確にします。これにより、混乱をなくし、社内外のクライアントとの明瞭なコミュニケーションが促進されます。

サービス継続性の向上

SLAは、サービスの可用性に関する期待を定義し、ダウンタイムのポリシーを設定し、障害復旧と災害復旧の手順を定めます。これらの対策は、中断や予期しないダウンタイムを最小限に抑え、技術的な問題やサービス停止を迅速に解決するのに役立ちます。満足のいくプロセスが確立されると、組織は自動化を活用して、サービスの一貫性を強化できます。

リスクを最小化

SLAプロセスは、リスク管理を事前対応的に行う機会を提供します。潜在的なリスクや脅威を事前に特定し、そのような問題を回避または軽減するための計画を策定することで、組織はサービス提供や対応時間を改善し、より強力な緊急時対応計画を策定し、全体的なリスク管理ストラテジーを強化することができます。

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