IBMストレージ米国開発拠点ツアー・レポート

フラッシュ・ストレージと物理磁気テープの最新技術動向

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ストレージ米国開発拠点ツアー・レポート第3弾は、3日目にツーソンで行われたストレージ関連のセッションから「FlashSystemとStorwizeの最新技術動向」と「物理磁気テープ・ストレージの最新技術動向」の2つのセッションのサマリーをお伝えします。

FlashCoreで長寿命を実現したオールフラッシュ・ストレージ

フラッシュ・ストレージはあらゆる用途に使われるようになりました。年に一度程度しか読み込まないデータには、まだHDDが使われていますが、継続的に使用されるデータ用のプライマリー・ストレージは全てオールフラッシュ・ストレージにするというのが、現在の市場のトレンドです。また、AIのパイプラインの分析フェーズにもオールフラッシュ・ストレージが利用されています。

すでにコモディティー製品になったと思われるオールフラッシュ・ストレージですが、全てが同じではありません。Vincent Hsu(Vice President, IBM Fellow, CTO for Storage and SDE, IBM Systems)は「普遍性を求めている場合にはどれも同じに見えるかもしれませんが、パフォーマンスの安定性と信頼性を求める場合には異なります」と語ります。

多くのオールフラッシュ・ストレージは書き込みデータの容量が増えてくると、不要になったメモリー領域を解放するガベージコレクションによる問題が出てきます。「SSDによってはHDDよりパフォーマンスが低下することもあります」とVincent Hsuは指摘します。データを書き込む度にガベージコレクションを行うSSDではレスポンスタイムがミリ単位となることがあるからです。

IBMは2013年に低遅延のメモリーストレージを開発してきたテキサスメモリー社を買収しました。同社はハードウェアのみの実装で一貫して100マイクロ秒のレスポンスタイムを保証し、ミッションクリティカルな分野で利用されてきました。「IBMではこのテクノロジーをオールフラッシュ・ストレージに採用しています」(Vincent Hsu)。

このオールフラッシュ・ストレージには、FlashSystem 9100とStorwize V7000がありますが、いずれも膨大な量のデータを管理できるSpectrum Virtualizeがコアになり、NVMe技術を採用したハードウェアと組み合わせたアプライアンス製品として提供されています。そのためストレージとしての主な機能は全く同じだと言えます。

※2020年2月12日にIBMフラッシュ・ストレージの最新モデルが発表されました。FlashSystem 9100の後継機はFlashSystem 9200、Storwize V7000の後継機はFlashSystem 7200です。

「このフラッシュ・ストレージのベースとなっているのがFlashCoreテクノロジーです。AIを使ってNAND型フラッシュ・メモリーの健全性を予測するHealth Binning機能を採用し、メモリーの寿命による問題に対して予防的な措置を取っています」とVincent HsuはIBMのフラッシュ・ストレージの特徴を語り、FlashCoreテクノロジーを採用したフラッシュ・モジュールが長寿命であることを強調しました。

また、ハードウェアによるデータ圧縮アルゴリズムを採用することで、I/Oパフォーマンスの劣化のない、大容量のストレージであることも大きな特徴です。「FlashCoreモジュールを搭載したFlashSystem 9100では、2Uサイズの筐体で最大378TBの有効容量を提供し、これまでのラック数の半分以下の6Uサイズで1PBのデータを保存でき、180万IOPSのパフォーマンスを実現しています」(Vincent Hsu)。

一方、システムレベルでもFlashCopyテクノロジーとメトロ・ミラー機能を組み合わせたHyperSwap構成によって高可用性を実現できます。「HyperSwapでは2つのシステムがアクティブ・アクティブで、片方が停止すると自動的にフェイルオーバーして運用を継続させることができ、さらにクラウド上でも稼働可能なSpectrum Virtualizeによって、オンプレミスとクラウド間でのデータ共有や災害対策構成が可能になります」とVincent Hsuは話しました。

 

全てのポートフォリオに対応するIBMのテープ・ストレージ

現在、IBMのテープ・ストレージ製品として、エントリーのTS2900、ミッドレンジのTS4300、エンタープライズのTS4500が提供され、業界スタンダードのLTOテープ・ドライブと、IBM独自のエンタープライズ・テープ・ドライブが提供されています。

テープ・ストレージの主な開発拠点はツーソンと東京であり、チューリッヒでは330TBカートリッジや量子コンピューティングへの対応や暗号化など将来を見据えたテープ・テクノロジーを研究し、サンノゼではテープヘッドの開発製造を行い、メキシコとシンガポールにも製造拠点を展開しています。

IBMのテープ・ストレージの特徴は、幅広いポートフォリオを持ち、オープンシステム環境でさまざまなOSをサポートしていることです。「リクエストベースでcentOSもサポートし、Linux on  Zだけでなく、zSELSやzRHELにも対応が可能です。今後発表される新しいテープ製品にも対応していきます」(Mark Hill)。

Mark Hillは、主なテープ管理ソフトウェアとしてSpectrum Scaleと連動して階層管理を実現するSpectrum Archive Enterprise Edition(LTFS)、階層管理とバックアップに対応しているSpectrum Protect(TSM) 、大規模アーカイブ環境を実現するHPSS (High Performance Storage System)などを挙げ、それぞれの特徴と今後のロードマップを解説し、高速ストレージからテープまでの階層管理を実装するSpectrum Archiveの公開事例として、Fries Film Archief、Pixit Media、アムステルダム大学医学部の取り組みを紹介しました。

その後、参加者はTS4500の実機も見学しました。TS4500テープ・ライブラリーはシングルライブラリーとして350PBの保管ができ、フレームは最大18台まで接続が可能で、4世代のLTOドライブをサポートしています。データの読み込みを検証するAutomatic Media Vertification、ユーザー志向のデザインを実現するREST APIでドライブとライブラリーの統計情報が取得できます。

また、Mark HillはIBM独自のエンタープライズ・テープ・ドライブと業界スタンダードのLTOテープ・ドライブとの違いを解説し、より多くの機能が搭載されていることを強調しました。最新モデルのTS1160はカートリッジ1本あたり20TBの容量があり、ファイバーチャネルやイーサネット接続に対応しています。最後にMark Hillは「IBMは今後ともテープ・ストレージにフォーカスし、全てのポートフォリオに対して投資を続けていきます」と語りました。

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