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【セミナー抄録】たくさんのスプレッドシートでメタボになった予算管理をダイエットしよう!

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2022年11月15日(火)13:00-14:00に開催されたセミナー「たくさんのスプレッドシートでメタボになった予算管理をダイエットしよう!〜あれだけ苦労してきたレポート作成と分析に必要なデータ準備・加工をスモールスタートで実現〜」の抄録です。

 

はじめに

まず、ある物語をお聞きください。本日ご紹介する内容を端的に表しています。なお、物語の初めに電話がかかってきます。みなさんは、電話を受け取ったチームリーダーの立場で、聞いていただければと思います。

「IBMとの出会いは、チームのメンバーであるフレデリックが、予期せず長期の入院を余儀なくされたことを伝える、早朝の電話から始まりました。彼の不在は組織全体の悲劇となりました。私たちのチームは彼の数十年にわたる専門知識に大きく依存していて、彼は将来の戦略的な計画と予測を支援してくれていました。

同社は厳しい時期を経験していました。高価なERPの実装は、他のシステムに投資する資金が残っていなかったことを意味し、27の複雑なスプレッドシート上で予算プロセスを実行していました。それらが、どのように機能するかを知っていたのは、彼、フレデリックだけでしたが、突然いなくなりました。

私たちは次の予算プロセスのために最善を尽くして進め、そしてIBMにたどり着きました。スプレッドシートのない世界を初めて見ることができました。人々が共通のツールと共通のアプローチで団結できました。しかし、話はそれだけではありません。

スプレッドシートから離れることで、データ管理から得られる力を発見しました。マスターデータには無数の問題が見つかりましたが、それまでスプレッドシートの集計によって隠蔽されていました。何年もの間、幸いなことに、これらの問題に気づいていませんでしたが、今こそ取り組む時が来ました。問題は些細なことではありませんでした。実際、製品コストが大幅に誤って記載されているのを見つけ、製品を製造コストよりも安く販売していたことを発見しました。

多くの場合、リーダーが分析ツールの価値を理解するのは困難です。スプレッドシートは問題ないように見えますが、それらは誤った安心感に陥れます。ビジネスロジックがスプレッドシートのそれぞれの所有者に依存しているだけでなく、スプレッドシートの中に隠されている、無数の宝物を見逃します。新しい世界に辿り着いた今、わたしたちは彼が残したものに毎日感謝しています。」

いかがでしたでしょうか。この物語の内容を頭の片隅に置いて、本日のセミナーをお聞きください。さて、次に、予算策定業務の今日を知るために、IBMの調査レポート「CFOスタディ2021」を紐解きます。

レポートによると、CFOが考える今後23年の最優先課題は何かという問いに対して、多くの企業でCFO自身や経理部門が、イノベーションや顧客体験の強化などの前に、目下の業務にまだまだ改善の余地があると認識されています。これは、伝統的な経理タスクに追われ、経理部門による戦略的業務の有効性は低下傾向にあるという現実があります。また、経理業務の半分が帳簿作業に充てられているのが一因と考えられます。したがって、最優先課題として、経理業務の負荷をいかに軽減できるかということがポイントとなるわけです。(レポートの全体は、こちらからダウンロードの上確認できます。)

 

予算管理現場の課題と解決の方向性

私たちは急激な世の中の変化を体験しています。例えば、エネルギー価格の高騰、物流の問題、円安への為替変動など、予算編成をしたときとは異なる前提条件に置かれたときに、いかに素早く現状を把握して、状況を分析して、計画を迅速に立て直し、アクションを打つことができるかが、経営の舵取りにとって重要な鍵となっています。

しかし、現状は、予算編成を中心とした経営管理業務をする際にスプレッドシートを使って手作業で実施している企業が非常に多く、一度に数十から数百ものファイルが社内を行き交って、データの収集と集計および検証に時間が割かれ、必要なタイミングで最新の正しい情報を提供することが困難となっているという問題点を抱えています。

問題の根本的な原因となっているのは、やはりスプレッドシートを使った手作業による予算策定や予算管理に非常に時間がかかっているという点です。まず、データの集計や加工にかかる時間をいかに短縮させるかについては、システムにより自動化することで克服できます。

システム化によって、手作業によるオペレーションミスを防ぎ、正確なデータを作成することも可能になります。また、バージョン管理機能によって、より精度の高い最新データをユーザーに提供することが可能になります。計算式についても、属人化されがちなスプレッドシートから解放されることで効率的に維持管理が可能です。課題解決のステップ1として、予算管理や管理プロセスのシステム化によって効率化を図ることが重要です。

システム導入により効率化を実現したら、課題解決のステップ2として、そこにさらなるバリューを加えることができます。それは分析です。スプレッドシートで情報を提供していると、データの切り口ごとに、データを集計し直して、新たなスプレッドシートで提供しなければなりません。システム化により、ユーザーが自由に顧客別や商品別などの切り口を切り替えて、ユーザー自身で違う集計単位で利用することや、経費を5%削減できたら損益にどれくらい影響が出るだろうといったWhat-ifシミュレーションができるようになります。さらに、予算を非財務の現場の計画と連動したり、ローリングフォーキャストを組織に取り入れたりすることも可能になります。課題解決のステップ2は、予算編成・管理プロセスにおいて、質的な変革をもたらすDX化を実現するということなのです。

 

IBM Planning  Analytics with Watson

このシステム化、DX化のための製品が、IBM Planning Analytics with Watson(以下、Planning Analytics)です。この製品には、予算策定や予算管理に必要な機能がすべて含まれています。各種システムからデータを持ってきてテキストファイルなどを取り込む収集機能があります。そして、収集データを蓄積していくのが、多次元データベースであり、データを保持します。この中で、さまざまな計算式やデータ参照リンク、複雑な階層構造の設定、アクセス権などのセキュリティー設定を行います。

ユーザーは、WebブラウザーやExcelのインターフェースを介して、システムにアクセスしてデータを利用できます。計画値を入力したり、入力したデータをリアルタイムで集計したり、レポートやダッシュボードを利用したり、データを分析することが可能になります。なお、Planning Analyticsは、SaaSとオンプレミスの両方で提供しているので、希望に応じて選ぶことができます。

Planning Analyticsの特長を3つ挙げます。まず、インメモリー製品であることです。入力したデータはディスクに書き出すことなく、メモリーで高速に処理するため、リアルタイムでの集計やWhat-ifシミュレーションが可能になります。次に、データが多次元データベースでのデータの塊として保存され、複数の塊を連動させる仕組みになっているので、計算式の追加や修正の際にも影響範囲を特定しやすく、メンテナンスの負荷を軽減できます。3つ目がExcelとの親和性です。弊社はスプレッドシートを否定しているわけではありません。使い慣れたExcelからシステムにアクセスして、データの入力や分析、レポート作成に利用できます。レポートや分析結果をブラウザーでも他のユーザーに共有可能です。

 

業務活用イメージデモ

セミナーでは次のような内容をご紹介しました。

  • サンドボックス
    ユーザー自身の個人領域にてデータ入力や分析の試行が可能になります。
  • リアルタイムの集計
    システムに入力されたデータは即座に計算・集計が実施されます。そのためWhat-if分析なども思考を遮ることなく利用が可能です。表示している表のディメンション(軸項目)を組み替えても、即座に集計処理が実施されます。
  • What-if分析
    入力した値か他の値にどのような影響があるかをシミュレーションし、仮説を検証します。
    (例)もし商品Aの売上が10%UPしたら部署別損益にどのような影響があるのか?
  • データの切り口を変えるアドホックな分析
    ユーザー自身がドラッグ&ドロップのマウス操作で容易にデータの切り口を変えられます。

Planning Analyticsのデモは、こちらからご視聴いただけます。

 

予算管理の取り組み事例

予算管理現場におけるスプレッドシートの課題は、万国共通です。本日ご紹介するのは、国際的なチョコレートメーカーであるゴディバ様です。

導入当時の状況ですが、年間予算計画を、スプレッドシートを介して手作業で実施していました。担当者がグローバルに分散されていて、財務チーム(ベルギーとアジアの2か所)とエンドユーザー(20を超えるアカウントマネージャーと地域ディレクター)間で、人手を介しながら共同作業をしていました。メールやファイル共有ツールを使用して、スプレッドシートで年間予算計画を作成するのは手間であり、柔軟ではないと長らく認識していました。また、グローバル化による早い市場の流れに追いつくために、素早い予算計画と粒度の細かい経営情報分析が必要と感じていました。

プロジェクトは、年間予算計画の改善を目的としました。欧州・中東・アフリカ(EMEA)と北米の年間予算計画にターゲットを絞りました。スプレッドシートに代わるシステムを作ること、そしてデータ入力の労力の削減と簡素化をするものでした。年間予算計画は財務チーム(ベルギーとアジアの2か所)とエンドユーザー(欧州、北米、アジア)の共同作業です。担当者は各国に分散され、20を超えるキーアカウント・地域マネージャーと300を超える顧客と店舗の年間予算計画を管理できるようにしました。分析のため、顧客と製品を詳細なレベルに落とし込む必要があり、顧客市場、エリア、地域、顧客、製品(1600以上)の予算計画に盛り込めるようにしました。他の機能として、予算承認ワークフロー機能、年間フォーキャストを見られるようにする機能、そして反復して計画が可能になるバージョン管理の実装も行いました。

予算計画のワークフローを6フェーズに分けて説明します。

フェーズ1:
財務部門は、Planning Analyticsで構築されたプロセスを使用してベースライン(基準となる予算の基準値、按分されたもの)を作成します。

フェーズ2:
設定されたベースラインについて、必要に応じて価格設定を調整します。

フェーズ3:
フェーズ2が完了すると、アプリケーションはエンドユーザー(アカウントマネージャーと地域マネージャー)が利用できるようになります。

フェーズ4:
エンドユーザーは、顧客市場の年間予算計画設定に責任があります。エンドユーザーは彼らの顧客・店舗の数字のみを調整できます。なお、計画を反復するためにバージョン管理機能を利用します。結果を取得したら、バージョン管理機能で最終バージョンを送信します。

フェーズ5:
個々の年間予算計画がレビューのために送信され確定されます。

フェーズ6:
財務部門が計画を確定します。

どのようなシステムができあがったかをまとめます。欧州・中東・アメリカと北米にある300以上の顧客と店舗の年間予算計画を管理する、20人以上のユーザーが使用するシステムが完成しました。大事なことは、データが1箇所にある集中型アプリケーションとなり、各メンバーが1つのアプリケーションにアクセスして、そこで作業できることです。

顧客市場、エリア、地域、顧客、製品ごとのさまざまな切り口で、計画を立てる機能を実装し、1600以上の製品をさまざまな組み合わせで素早く計画できるようにしました。

ベースライン作成時のすべてのディメンション・データは、パラメータ化された仕組みで自動的にアップロードされ、財務チームの人為的ミスを回避することに成功しました。

計画プロセスにおいて、エンドユーザーのデータ入力を最小限に抑え、バージョン管理・ロック機能・承認ワークフローにより、エンドユーザーの人為的ミスを回避するとともに、計画の進捗状況が把握できるようになりました。その他、年間フォーキャスト機能、年間を通じての年間予算計画の柔軟な実績確認機能を実装できました。まとめますと、スプレッドシートのマイナス面を排除して、人為的なミスを排除し、素早い経営情報の把握と予算計画を実現しました。

 

簡単に取り組めるスモールスタート方法

Planning Analyticsは事前定義済みの業務パッケージではなく、ユーザー固有の業務に合わせた柔軟なシステム開発が可能なプラットフォームのため、業務利用開始までの開発期間が⻑いという印象を持たれることがありました。今回、収支管理をテーマにサンプルモデルによって、Planning Analyticsを小さく早く始められるスモールスタートパックをご提供します。ゼロから構築する必要もなく、短期開発での利用開始が期待できます。

このPlanning Analytics Digital Packは、基本パックとして、管理者兼開発者ユーザー3名、利用ユーザー2名の計5名分のライセンスがついています。それに、追加利用ユーザーとして最大45名分までご提供できるスモールスタート用のパッケージです。環境もお手頃のものをご提供します。なお、オプションの追加はなく、本番環境1インスタンスのご提供となり、カスマイズ要件に応じて構築費が必要となります。Planning Analytics料金体系については、こちらをご確認ください。

 

以上は、11月15日(火)13:00-14:00に開催されたセミナーの抄訳です。本内容に関するお問い合わせは、次のフォームにお気軽にご記入ください。

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