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アイコと学ぶ! 中高生向けIoT授業レポート(from「IBM Way Day」)

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年に数回、「学び(ラーニング)」の重要性について理解を深め、自分たちで学びの実践の場を共創していこうというIBM社内ラーニング・イベントが「IBM Way Day」です。

先日の土曜、11月30日に、第10回目となるIBM Way Dayが開催されました。今回の特徴は「社員だけではなくラーニングの輪を家族にも拡げていこう」という趣旨のもと、テクノロジーや社会の動向を学べるセッションが、社員だけではなくご家族向けに多数用意されていたこと。

今回の記事では、社員の家族の中高生を対象とした「キミのアイディアで社会が変わる? あらゆるモノがインターネットにつながる、IoTって?」というセッション(授業)の模様をお伝えします。

 

授業は大きく3つのパートから構成されています。

第1のパートでは、IoTの概要をバーチャルキャラの「アイコ」と一緒に学びます。第2のパートでは、IBM Cloudとセンサーを使い、マニュアルに沿ってチームでIoTアプリを作ります。そして第3パートでは、暮らしや社会を変えるIoTのアイディアをチームで考え発表します。

それでは、一緒に授業を見学してみましょう。

 

■ アイコと一緒にIoTを学ぼう

この日、普段はビジネスに使われているミーティングルームは、教室へとその姿を変えていました。

出席者は中学一年生から高校三年生までの7名で、最初はみなさん少々緊張気味な様子。そんな彼らの雰囲気を和らげたのがバーチャルキャラのアイコです。

そしてアイコと絶妙な掛け合いを見せるのが、本日の先生役であるNPO法人企業教育研究会の和田さんと、IBM GBS部門の野々山さんです。

 

 

教室にある物と言えば、それはやっぱり「黒板消し」ですよね。生徒が黒板消しを振ると、アイコが手を振り返します。次に登場したのは、なぜか「筒」。筒につけられたポンプを引いたり押したりすると、画面にクイズが登場しました。

…と、こんな感じで小道具を使った「IoTクイズ」を通じて、少しずつ「IoTとは何か」を生徒の皆さんに学んでいただきました。

IoTとは、センサーなどを通じてモノから得た情報を、インターネットを通じてクラウド上のコンピュータに送り(入力)、コンピュータが返してきた出力を元になんらかのアクションを実施する仕組み

 

それではなぜ、ここ数年でIoTがここまで普及し、日常的に耳にする言葉となったのでしょうか?

  1. データを感知して数値化するセンサーが安価になったから
  2. インターネットの通信スピートも、クラウド上のコンピューターの処理スピードが速くなったから
  3. アプリ(プログラム)が簡単に初心者でも作れるようになったから

先ほどの黒板消しの場合は、内部に取り付けられていた「加速度センサー」が場所の変化をインターネットを通じてIBM Cloudに入力し、それを処理した出力がアイコに手を振り替えさせていました。巻物も同様に、ポンプが気圧の変化を数値化して入力し、適切な値になった際に画面にクイズを正しく表示するよう命令が出力されていました。

このように、IoTが普及したのには上記の1と2が大きな役割を果たしています。

でも同じくらい大きな役割を果たしているのが、3の「アプリ作成が簡単になった」ということです。

 

それではここからは、そのアプリ作りを皆さんに実際にやってもらいましょう。

 

■ IBM Cloudとセンサーを使いIoTアプリを作ってみよう

ここで生徒の皆さんには3つのグループに分かれてもらいました。そしてそれぞれのグループに手渡されたマニュアルを見ながら、Windowsタブレット端末を使ってアプリを作っていきます。

プログラミングに使用するのは、Node-REDという名前のビジュアル・プログラミング言語。作業の中心は、指先で画面をタッチして、オブジェクトと呼ばれるボックスを順番通りに並べていく作業です。

 

各グループには、以下のアプリを作ってもらいました。

グループ1 周辺の気圧の変化に応じて画面の色とメッセージが変化するアプリ

グループ2 周辺の明るさによって画面が変化するアプリ

グループ3 表面が一定温度を超えるものに近づいたらメールを送信するアプリ

 

グループ1は、女子生徒2名で楽しげに進め、無事、予定時間通りにアプリを完成させていました。

グループ2は、すごいスピードで作業を終了していました。聞けば、メンバーの1人は学校でプログラミングを経験したことがあるそうです。

そしてグループ3は、なぜかうまくメールが送られません…。先生役の和田さんがいろいろと原因を調べていましたが、どうやらプログラミングの問題ではなく、メール送信システム自体に障害が発生していたとのことでした。残念。

 

■ IoTで暮らしが変わる、社会を変える?! アイディアを考えてみよう

最後のパートでは、IoTをもっと上手に活用して、人々の暮らしを変えられるかを考えるアイデアを考えていきます。

来年、日本に登場予定の「5G」と呼ばれる超高速通信規格が拡がれば、IoTの可能性はこれまで以上に拡がることでしょう。

 

そこで必要となるのは、これまでの常識にとらわれない新たな発想です。

ここで、IoTの新たな可能性を考えるために「アイデアシート」と「センサー一覧」、そして「モノカード/出力カード」の3つの発想力強化道具が各グループに配られました。

 

色々な人たちのさまざまな状況を想像し、センサーとカードを組み合わせて「こんなのあったら助かるんじゃないだろうか」や「こういうサービスを求めているんじゃないだろうか」と想像力を膨らませていきます。

ロッカールーム、布団の中、原発からの復興作業現場…。省電力や体温維持、作業の安全…。

グループ内でアイデアが活発に議論されました。その後、各グループが1つずつそのアイデアを発表していきました。

 

発表の後、IBMの野々山さんが、アメリカの大規模農場での水やり作業や、日本の大規模太陽光発電所の管理や修理にIoTが用いられている事例を紹介していました。

そしてIBM社内でも、さまざまな専門知識を持った社員や仲間が集まり、それぞれの力を集結して「世の中をもっと便利にするために」「お客さまにもっと喜んでもらうために」と、日々努力しているという話を伝え、自宅でも親にIBMでの仕事のことを聞き意見交換してみようというメッセージで、授業は終了しました。

 

きっと今後は、今日の授業を元に、学校や自宅でもIoTの活用アイデアがふっと浮かぶことがあるのではないでしょうか。

そのときは、ぜひ友だちやIBM社員のご両親に伝えて、一緒にアイデアを膨らませてみてください。


 

授業終了後、参加者の一人に「率直な感想を聞かせて欲しい」と3分ほどお時間をいただきました。

記事の最後にそこで彼女が伝えてくれた言葉を紹介します。

 

— IoTの授業はどうでしたか?

「IoTなんて興味なかったし、プログラミングもまったく経験したことがなかったから、誘われても正直あんまり気乗りしていなかったんだけど、今日自分で作ってみたらおもしろくなりました。」

— どんなところがおもしろかったですか?

「ちょっとプログラムを変更するだけで、目に見える結果が変わるのとか。それから自分以外の人たちのアイデアをいろいろ聞けたのがよかったです。」

— 学校の友だちや家族になんて言いますか?

「友だちにも勧めてみたいと思います。それから、普段のお父さんの仕事の中身が少しわかったような気がして、ちょっと嬉しくなりました。」

 

参考記事: 自然とテクノロジーでオフィスを公園に! | parkERs南青山新オフィス内覧会レポート

参考記事: [事例] IoTで高齢者ケアを変革するKarantis360社

参考記事: 5G時代に企業が成功を収めるために – マルチクラウド、AI、IoT

 

(TEXT: 八木橋パチ)

 

 

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お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

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