SPSS Modeler ヒモトク

データ分析者達の教訓 #17- データ分析はチーム戦。個々がミス最小化の責任を持つ

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皆さんこんにちは。山下研一です。IBM Data&AIでデータサイエンスTech Salesをしています。

このリレー連載ブログはSPSS Modelerの実際のユーザーで第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。

 

今回インタビューをお願いしたデータ分析者は

大日本印刷(DNP)の福島様です。ユーザーとして長くおつきあいさせていただいているDNP様ですが、みなさんは企業としてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

私は以前ある通販会社さんから「カタログに掲載する商品の画像やスペックは全てDNPさんに管理してもらっているので商品知識で彼らに敵わない。さらに通販業に精通しているのでDMも委託している」とコメントされたことを思い出します。

なるほどDNP様が印刷以外の様々な領域で活躍をされ、データ活用の分野でも信頼が厚いのは深くお客様の業務に入り込んでいるからなのだと合点がいきました。以来DNP様が気にしていらっしゃるデータ分析技術を定期的にご教示いただいています。

福島 清志 様

大日本印刷株式会社

情報イノベーション事業部
DXセンター ハイブリッドマーケティング本部
メディアビジネス開発部 第2グループ

 

-日頃のデータ活用業務について教えてください

私は現在、取引先のビジネスにおけるデータ活用を最大限に引き出し、持続的な成長を支援するために様々な分析業務に取り組んでいます。

具体的な業務としては、様々な業種業態の取引先に対して以下のようなサービスを提供しています。

  • 客観的なデータ分析から現状を把握し、課題を抽出。その結果に基づいた確実性の高いマーケティング施策の立案・実施・検証
  • CRM活動のPDCAサイクルを実現し、適切なコミュニケーションプランの構築
  • MA(マーケティングオートメーション)運用支援
  • BI(ビジネスインテリジェンス)導入コンサル
  • ウェブログ解析による施策検証、Webページ改善
  • 需要予測モデルを活用した業務効率改善

など取引先のマーケティングコミュニケーション戦略全体を支え、「データを活用したコミュニケーション戦略のリーディングカンパニーといえばDNP」と言っていただけるように、日々の分析業務をビジネスに活かすことを意識しながら活動しています。

 

-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください

データの分析案件では、リスク分散のために複数名で作業を行うことを基本としています。複数名での分析作業を行う際には、事前に「利用するデータ」「抽出条件」「クラスターの定義」「計算式」「集計項目」などを共有し、認識を合わせることが不可欠です。

しかし、ある案件で複数名の担当者間で「抽出条件」が異なっていることが判明しました。その結果、大量の集計作業を行った後に手戻り作業が発生することとなりました。最初の認識合わせ不足により数日間の作業が無駄となったことは忘れられず、初期の要件定義は時間をかけて行うよう意識しています。

 

-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか

データ活用業務で学んだ最初の教訓は、事前の確認の重要性です。分析作業を開始する前に、利用するデータ、抽出条件、クラスターの定義、計算式などを確認することが不可欠です。また、他のチームメンバーが作成した分析プロセス(以降SPSS用語で「ストリーム」と呼びます)を流用する場合には、開始前に丁寧に確認するように心掛けています。意図がわからない集計がある場合には、担当者に確認を行います。

次に、ミスを事前に防ぐことも重要な教訓です。自分が作成したストリームで分析する際にはコメントを追加しています。これにより、ストリームを流用した場合のミスを最小限に抑える努力を重ねています。

しかし、ミスを完全に防ぐことは不可能です。そのため、ミスが発生した場合には迅速に対応する手順やプロセスを整備し、問題解決に取り組みます。ミスを反省材料として捉え、同じ過ちを繰り返さないようにするために、事後の振り返りや改善策の検討も行っています。

私たちの目標は、データ活用業務におけるミスを最小限に抑え、高品質な結果を提供することです。そのためには、個々の責任感とチームワークの強化が不可欠です。常に学び続け、経験から得た教訓を活かしながら、データ活用業務の質を向上させていきます。

 

-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください

DNPのデータを活用したコミュニケーション戦略において、AIの分野で取り組んでいる「需要予測」と「数理最適化」の技術を組み合わせたモデル作りは、成果の最大化、業務の効率化、正確性向上に大きな可能性を秘めています。 現在、多くの取引先が「勘と経験」に頼って業務を行っていますが、AIの導入により、これらの課題を解決する道が開けてきました。 私たちは、「勘と経験」をAIで置き換えるために、予測モデル作りにおいて「需要予測」と「数理最適化」の技術を組み合わせたビジネス活用に挑戦しています。

この新たなチャレンジは、ビジネスの競争力を高めるだけでなく、無駄をなくすサスティナブルな社会にも貢献するものです。 私たちの目標は、データを活用することで未来を切り拓くことです。 これからも、私たちは技術の進化と革新を追求し、データ活用の領域を広げていく決意です。

 

インタビューのお礼と感想

福島様、お話をいただきありがとうございます。

さて皆様、いかがでしたか?

SPSS Modelerのメリットを聞くと「チームで利用するのに向いている」という意見は非常に多いです。私たちもセールトークとして「過去に作成されたストリーム(分析プロセス)が資産になって組織で受け継がれていく」とよく説明もするのですが、それは同時に、誰かのミス(あるいは善意の書き換え)もまた引き継がれるということを示しています。重要なのは「ストリームを作る人がミスに敏感になり、利用する際にも疑い深くチェックする」なのだと理解しました。

チーム戦である以上、仲間と後続に気を配れという一見当たり前に思われる、その基本について改めて考えさせられました。

 

さて次回はKINTOテクノロジーズの西口様にお話を伺います。

 

→SPSS Modelerの詳細についてはこちら

→これまでのSPSS Modelerブログ連載のバックナンバーはこちらから

→SPSS Modelerノードリファレンス(機能解説)はこちらから

→ SPSS Modeler 逆引きストリーム集(データ加工)

 

 

 

 

山下 研一

日本アイ・ビー・エム株式会社

テクノロジー事業本部 watsonx事業部
Data & AI 第三テクニカルセールス

 

 

 

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