「スコープ3排出量は組織の直接の管理外ですが、組織は排出量をもたらす活動に影響を与えることができる可能性があります。組織はサプライヤーに影響を与えたり、慣例に基づいて契約するベンダーを選択したりできる可能性があります。」
— United States Environmental Protection Agency(EPA)
バリュー・チェーンにおけるサステナビリティー・パフォーマンスの向上は、スコープ3排出量の追跡と報告をはるかに超えています。排出量のパフォーマンスに加えて、バリュー・チェーン全体、特にサプライチェーン内のさまざまなESG指標のパフォーマンスの追跡と改善に取り組む組織が増えています。
これに関連して、組織は多くの場合、製品ライフサイクルにおける排出のホット・スポットを特定するために、高レベルのスコープ3排出インベントリーを使用し始めています。つまり、GHGプロトコルによれば、「ゆりかごから墓場まで」特定の製品の生産と使用に関連するすべての排出量を考慮の対象とします。しかし、これらのホット・スポットで排出量削減を推進するためには、実用的できめ細かなデータが必要であり、支出ベースのデータと計算方法から、活動別またはサプライヤー別のデータ入力と、より正確な計算方法に移行する必要があります。
World Economic Forum and Boston Consulting Groupによるレポート7では、組織がサプライチェーンにおける排出量に取り組むために使用できる次のフレームワークの概要が説明されています。
透明性の確保:バリュー・チェーンの排出ベースラインを構築し、サプライヤーとデータを交換し、スコープ1と2に関して野心的な目標を設定し、進捗を公開報告します。
CO2の最適化:サステナビリティーを目指して製品を再設計し、サステナビリティーのためのバリュー・チェーン/ソーシング戦略を設計します。
サプライヤーとの連携: 調達基準に排出メトリックを統合し、パフォーマンスを追跡します。サプライヤーと協力して排出量に対処します。
エコシステムの推進:ベスト・プラクティス、認証、権利擁護のためのセクターの取り組みに参加します。需要側のコミットメントを拡大するために「購入グループ」を拡大します。
組織を有効にする:低炭素ガバナンスを導入して内部インセンティブを調整し、組織の能力を強化します。
企業は、より詳細なパフォーマンス・データを取得したら、それを使用してサプライヤー・レベルの排出削減活動を通知することができます。このような対策を講じることで、環境への影響を削減するための目標達成に向けた進捗や、 ネットゼロ・エミッションなどの目標達成に向けた進捗を予測、計画、追跡することができます。