トランザクション処理システム(TPS)とは

2024年3月28日

執筆者

Josh Schneider

Senior Writer

IBM Blog

Ian Smalley

Senior Editorial Strategist

トランザクション処理システム(TPS)とは

トランザクション処理システム(TPS)は、ビジネス・トランザクション中に顧客データとビジネス・データの両方の収集と取得を管理するために使用されるデータ管理情報処理ソフトウェアの一種です。

TPSは、高速かつ正確な実行環境を構築し、さまざまな形式の情報処理を通じてデータの可用性、セキュリティー、整合性を確保します。TPSは、コンピューター・システムの処理活動を迅速化し、ビジネス・インテリジェンス(BI)予測や高レベルの傾向分析のレポート作成を可能にするカスタマイズ機能と自動化機能も提供します。

最初のTPSであるSabreは、1960年代初頭にIBMによってアメリカン航空向けに開発されました。Sabreは、毎日最大83,000件のトランザクションを処理するように設計されており、2台のIBM 7090コンピューター上で実行されていました。航空会社制御プログラム(ACP)Transaction Processing Facility(TPF)などSabreの後継バージョンは、大手銀行、クレジット・カード会社、ホテル・チェーンに採用されました。最近では、あらゆる主要業界の企業が商取引の処理に最新のTPSソフトウェアを利用しています。

クレジット・カード・データの読み取り、領収書の印刷、現金支払いの管理などの活動に使用される販売店の販売時点管理(POS:Point of Sale)システムとは異なり、TPSは商取引を検証して完了するために必要なトランザクション・データを保存、送信、受信します。例えば、食料品店でコーヒー豆の袋をクレジット・カードで購入する顧客がPOSでカードをスワイプすると、TPSがカード情報を収集し、顧客の銀行と通信して購入を承認または拒否します。

オンライン販売業者も、オンライン・トランザクション処理(OLTP)システムと呼ばれるTPSを使用して、同様の購入を検証および完了します。この場合、OLTPは販売者のフルフィルメント・センターと通信して、製品の在庫状況を確認し、顧客の注文を履行するための出荷指示を出すこともあります。

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OLTPとOLAPの違い

オンライン・トランザクション処理システムを検討する場合、OLTPと同様のオンライン分析処理(OLAP)システムとの違いにぜひ注目してください。いずれもデータ処理に使用されますが、それぞれ異なる役割を果たします。

オンライン・トランザクション処理システム(OLTP)とは

OLTPは、オンライン・データベース・トランザクションを実行するために設計されています。この種のシステムは通常、サービス従業員(レジ係、銀行窓口係、航空会社の受付係)や顧客セルフサービス・ポータル(オンライン・バンキング、eコマース、ホテルや旅行の予約)向けに構築されます。

オンライン分析処理システム(OLAP)とは

逆に、オンライン分析処理(OLAP)システムは、複雑なデータ分析用に最適化されています。の種のシステムは、複雑なデータ・セットから有用なレポートやインサイトを生成するために使用され、通常はデータ・サイエンティストやビジネス・アナリストがビジネス・インテリジェンス(BI)やデータ・マイニングを促進し、全体的な意思決定を改善するために使用されます。

トランザクション処理システム(TPS)の機能

プロバイダーに関係なく、十分な能力を持つ機能を遂行します。

  1. システム・ランタイム機能:データの完全性、可用性、セキュリティーを維持しながらトランザクションを処理する目的に関連する基本的な機能。
  2. システム管理機能:TPSの設定、監視、管理などのシステム管理に関連する機能。
  3. アプリケーション開発機能:特定のビジネス・アプリケーションに適合させるため、最新のTPSには、データへのアクセス、コンピューター間の通信の実行、独自のユーザー・インターフェースの設計と管理を行うためのカスタマイズ機能が備わっています。

トランザクション処理システムの種類

トランザクション処理システム(TPS)とオンライン・トランザクション処理システム(OLTP)は、2つの主要な情報処理方法論に分類できます。企業のTPSの選択は、企業固有のビジネス・ニーズに応じて決まりますが、ハイブリッド・モデルを採用することもできます。

バッチ処理

バッチ・トランザクション処理方法では、一定期間にわたってトランザクションを収集し、スケジューリングされた間隔でそれらをすべて一度に処理します。バッチ処理は、給与トランザクションや一括データ更新などの大量のトランザクションを効率的に処理するための理想的な方法です。バッチ処理は複雑なデータ・セットを効率的に処理するように設計されていますが、応答時間には固有のレイテンシーが生じます。

リアルタイム処理

OLTPなどのTPSシステムでは、TPSが各トランザクションの発生時に処理するリアルタイム処理手法を使用します。これらのシステムは、POSの移行、オンライン購入、予約システムを可能にする即時対応を実現します。

トランザクション処理システムの4つのコンポーネント

トランザクション処理システム(TPS)はバッチ処理システムとリアルタイム・システムの両方において、4つの主要なコンポーネントに分割できます。

インプット

請求書、領収書、クーポン、発注書など他の種類の注文を含む任意の数のトランザクションを、TPSでインプットとして処理できます。理論的には、あらゆる種類の受注をインプット・データとみなすことができます。

アウトプット

TPSは、キャッシュフロー・レポートから領収書まで、用途に応じて様々なアウトプットを生成することができ、記録管理、データ分析、税務報告、その他の公的なビジネス目的に活用することができます。

処理システム

TPSの処理システムはうぼっち入力を読み取り、データの変更または更新を完了し、販売の確認や在庫レポートなどの有用なアウトプットを作成します。

ストレージ

ストレージは物理的なデータ・ストレージ・ハードウェアを指す場合もありますが、平均的なTPSは、入力データと出力データの両方を保管するための、簡単にナビゲートできるディレクトリー(通常は何らかの形式のデータベース)も作成します。

トランザクション処理システムの機能

トランザクション処理システム(TPS)の目標は、スムーズなビジネス取引を可能にすることです。このため、実行可能なTPSは次の重要な機能を備える必要があります。

  • 制御されたアクセス:堅牢なTPSはあらゆるビジネスの情報処理システムの重要なコンポーネントとして、許可されたユーザーと管理者のみが、制御された状態で安全にアクセスできるようにする必要があります。
  • 外部環境との接続:定義上、TPSはさまざまな外部システムとシームレスに接続し、顧客、加盟店、サプライヤー、場合によっては銀行や債権者との間で情報を配信・受信するように設計されています。
  • 迅速な応答時間:リアルタイムTPSの場合、迅速な応答時間は、顧客が迅速、簡単に取引できるようにしたいと考える企業にとって当たり前の条件と見なされます。
  • 柔軟性の欠如:TPSはさまざまな組織の要求に合わせてカスタマイズできますが、時間帯、場所、ユーザー、顧客などの変数に関係なくすべてのトランザクションが同様に処理されるように、堅牢で複製可能なエクスペリエンスを実現することもTPSには重要です。
  • 信頼性:安定性とセキュリティーは、質の高いTPSの重要な要素です。トランザクション・データはエラーなく保護され、ソース文書が定期的にバックアップされ、検証できるようにする必要があります。
  • システム間のデータ配信:企業のTPSは単独で動作しているわけではなく、販売処理システムや台帳システムなど、他の内部情報システムとデータや指示を配信できる必要があります。
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