アプリケーション・サーバー(アプリ・サーバーまたはWebアプリケーション・サーバーとも呼ばれます)は、ビジネス・アプリケーションに使用されるソフトウェアをホストするサーバーの一種です。
アプリケーション・サーバーは、多くの現代の企業にとって重要なツールとなっており、チームがWebアプリケーションを構築および起動し、アプリケーションのパフォーマンスを最適化し、より快適なエンドユーザー・エクスペリエンスを可能にしています。
アプリケーション・サーバーは、ユーザー・インターフェースをバックエンド・データベースに含まれる重要な情報に接続することで、ソフトウェア・アプリケーションの開発において重要な役割を果たします。高性能アプリケーションのほとんどは、アプリケーション・ロジックの実行と効率および管理の改善をアプリケーション・サーバーに依存しています。
Webアプリケーション・サーバーの世界市場は過去30年間で大幅に成長しており、今後10年間も成長を続けると予想されています。インドの市場調査会社であるStraits Research社によると、市場規模は2020年には149億米ドルでしたが、2030年までに521.2億米ドルに達し、年平均成長率(CAGR)は13.34%になると予測されています。1
また、2014年まで世界中のどのサーバーよりも多くのWebサイトを動かしていたApacheなどの無料のオープンソース・プラットフォーム2や、IBMやOracle社のより複雑なエンタープライズ・グレードのソリューションなど、多様化が進んでいます。
アプリケーション・サーバーの市場は非常に幅広く多様であるため、企業はニーズに合ったものを選択する際にさまざまな要素を考慮する必要があります。最も重要な考慮事項は、構築したいアプリケーションの要求、利用可能なリソース、ビジネス・ニーズ、および好みのプログラミング言語です。
今日、アプリケーション・サーバーは多くのソフトウェア・アプリケーションの開発において重要な役割を果たし、ユーザー・インターフェースを、サーバー側アプリケーション・コードなどのバックエンド・データベースに含まれる重要な情報に接続します。
金融サービスや設備の監視アプリなどのビジネス・アプリケーションの場合、アプリケーション・コードには、アプリが設計された方法で機能できるようにするビジネス・ロジックが含まれています。
ビジネス・ロジックは、ビジネス・ルールに基づいてトランザクションや計算などの重要な操作をアプリケーションが実行できるようにするために適用されるロジックです。通常、計算タスクとそれらが実行される順序を定義します。
もっと広い意味で言えば、アプリケーション・サーバーは、アプリケーション開発の効率化、アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティーの向上、より統合された管理アプローチの実現に役立ちます。そのメリットのいくつかを詳しく見てみましょう。
アプリケーション・サーバーは、キャッシュや要求/応答(r/o)など、広く使用されている多くのアプリケーション機能の最適化に役立ち、アプリケーションの全体的な効率を向上させます。
アプリケーション・サーバーは、一般的なタスクを処理するための多くの組み込みサービスとコード・ライブラリーを提供することで、プログラマーがアプリケーションを簡単に構築できるようにし、市場投入までの時間を短縮します。
アプリケーション・サーバーは、単一のプラットフォームから幅広いビジネス・アプリケーションを構築および展開するために必要なツールとインターフェースを開発者に提供します。
アプリケーション・サーバーは同時リクエストを処理できるため、拡張性の高いビジネス・ソリューションであると考えられています。多くのアプリサーバーには負荷分散機能があり、コンピューティング・タスクを複数のノードに分散して、トラフィックが多い場合でも最高のパフォーマンスを確保できます。
アプリケーション・サーバーはアクセス管理システムに接続されていることが多く、企業は認可、認証、データ暗号化などの幅広いセキュリティー機能を使用して権限を制御できます。
ほとんどのアプリケーション・サーバーは非常に柔軟性が高く、複数のプログラミング言語をサポートできます。Webアプリケーション・サーバーでサポートされている一般的なプログラミング言語には、Java、ASP、.NET、PHPなどがあります。
最も基本的には、アプリケーション・サーバーは動的なWebアプリケーションが実行される機能とエコシステムを提供します。この機能の一部には、分散ネットワーク内のコンポーネントを接続するソフトウェアである、ミドルウェアと呼ばれるアプリケーションの部分のホスティングが含まれます。アプリケーション・サーバーとそれらがホストするミドルウェアは、当初は接続するように設計されていなかったプラットフォームを接続することで、アプリケーション開発を効率化し、開発サイクルを短縮するのに役立ちます。
アプリケーション・サーバーは、HTMLページ、画像、動画などの静的コンテンツを配信するサーバーであるWebサーバーと密接に連携します。多くの場合、Webサーバーは、WebページまたはWebブラウザーからハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)要求を受信し、ビジネス・ロジックを処理するためにアプリケーション・サーバーに転送します。拡張性を高めるために、アプリケーション・サーバーはマルチスレッドと呼ばれる機能を利用して、複数のクライアント要求を同時に処理します。
マルチスレッドは、トラフィック量が多いときにもアプリケーションのパフォーマンスを高く維持できるようにするプロセスです。サーバーの操作は、スレッドと呼ばれるルートに分割されます。マルチスレッドにより、サーバーは複数のスレッドを作成して実行し、リクエストを同時に処理できるようになります。
例えば、ユーザーがデータベースなどの外部リソースへのアクセスを必要とするリクエストを送信した場合、アプリケーション・サーバーは個別のスレッド(または操作)を使用してリクエストに応答し、一度に複数のクライアント・リクエストを処理できるようになります。ほとんどのWebサーバーはマルチスレッドをサポートしていないため、アプリケーション・サーバーは最新のWebアプリケーション開発をスケーラブルにする上で重要な役割を果たします。
Webアプリケーション開発は非常に複雑な環境であるため、すべての側面とプロセスを高度に監視できることが重要です。Javaや.NETなどのランタイム・エンジンからワークロードや個々のコンポーネントの応答性まで、監視はアプリケーション・サーバー機能の重要な部分です。ここでは、アプリケーション・サーバーの監視が機能性とハイパフォーマンスの確保に役立ついくつかの方法を紹介します。
問題解決:アプリケーション・サーバーの監視では、応答時間、CPUとメモリーの使用率、ネットワークのスループットなどの変化を検出して問題を特定し、アプリケーションの可用性が損なわれる前に修正できるようにします。
リソースの割り当て:アプリケーション監視により、開発者は構成をファイン・チューニングする機会を見つけ、最適なパフォーマンスを得るためにリソースの割り当てを調整することができます。
予測:継続的な監視により、アプリケーション・サーバーはトラフィック量が多いときに必要となる追加のリソース要件を予測し、中断を回避することができます。
アプリケーション・サーバーはWebサーバーと密接に関連しており、これら2つの用語は多くの場合同じ意味で使用されますが、技術的には、これは正しくありません。実際には、Webサーバーはアプリケーション・サーバーのサブセットです。ただし、テクノロジーの融合が進むにつれて、Webサーバーとアプリケーション・サーバーの違いはそれほど重要ではなくなってきています。
現在、多くのアプリケーション・サーバーは、HTTP とその一般的なバリエーションを主要な通信プロトコルとして使用して、Webサーバーの機能を活用しています(またその逆も同様です)。実際、多くのWebサーバー(および一部のアプリケーション・サーバー)は現在、Webアプリケーション・サーバーと呼ばれています。ここでは、ビジネスにとっての価値を評価する際に考慮する価値のある、2つの類似点と相違点をいくつか示します。
アプリケーション・サーバーのクライアントは通常、アプリケーション独自のユーザー・インターフェース(UI)か、Webブラウザーまたはモバイル・アプリケーションです。しかし、ほとんどのユーザーがWebブラウザーをアプリケーション・クライアントとして選択するようになったため、クライアントの期待が高まり、アプリケーションとWebサーバーの境界が曖昧になってきました。ほとんどのウェブ・サーバーは、ASP、JSP、PHP、perlなどの一般的なスクリプト言語のプラグインをサポートしており、これによりウェブ・サーバーはアプリケーション・サーバーと同じように動的なコンテンツを配信できます。
おそらく、Webサーバーとアプリケーション・サーバーの最も顕著な違いは、機能ではなく、提供されるコンテンツの種類にあります。WebサーバーはHTMLページ、ファイル、画像、ビデオなどの静的Webコンテンツを配信しますが、アプリケーション・サーバーは分析データ、トランザクション結果、ビジネス目的に関連するその他の情報などのより動的なコンテンツ用に構築されています。
ビジネスでは、企業はWebサーバーとアプリケーション・サーバーの両方を持つことができるため、必ずしもどちらかを選択する必要はありません。今日、コンテンツが豊富で要求の厳しいビジネス・アプリケーションのほとんどは、Webおよびアプリケーション・サーバー・テクノロジーを通じて配信される静的コンテンツと動的コンテンツの両方を備えた、この2つのハイブリッドです。
アプリケーション開発はデジタル・トランスフォーメーションの重要な要素となっているため、多くの企業がビジネス・アプリケーションの構築、開始、実行を支援するためにWebアプリケーション・サーバーを活用しています。ここでは、最も広く使用されている5つのアプリケーション・サーバーと、それらを企業にとって魅力的なものにしているコア機能を紹介します。
Apache Kafka HTTP Server(通称「Apache」)は、スマートフォンやモバイル・アプリケーション開発の需要がまだ10年ほど先だった1995年に初めてリリースされたオープン・ソースのWebアプリケーション・サーバーです。Apacheの多くの強みとしては、使いやすさ、簡単にインストールできるアドオン機能、カスタマイズ可能なコード、高いパフォーマンスなどがあります。
Apacheと同様に、NGINXは無料のオープンソースWebサーバーであり、使いやすさ、カスタマイズ性、高パフォーマンスなど、多くの同じ機能を備えています。ただし、NGINXは、オールインワンのロード・バランサー、リバース・プロキシー、Webサーバー、コンテンツ・キャッシュ、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)ゲートウェイとして機能するという点で他とは一線を画しています。例えば、NGINXには、人気の高いコンテナ・オーケストレーション・プラットフォームKubernetes用の接続スタックがあり、開発者はクラウドでアプリケーションを拡張、監視、管理できます。
ApacheやNGINXと同様に、Glassfishもオープンソースのアプリケーション・サーバーです。2006年にSun Microsystems社がリリースしたGlassfishは、Java Enterprise Edition(EE)専用のアプリケーション・サーバーであり、Java EEプラットフォームAPIを実装し、標準のJava EEサービスを提供します。Glassfishは、Javaサーブレット、Enterprise JavaBeans(EJB)などをサポートしています。また、Webサーバーとしても機能し、WebブラウザーからのHTTP要求に応じてコンテンツを配信します。Glassfishを使用すると、開発者は拡張性と効率性が高く、従来のテクノロジーとシームレスに連携するビジネス・アプリケーションを構築できます。
他のエンタープライズ・グレードのWebアプリケーション・サーバーと同様に、IBM WebSphereは、ビジネス・ロジックを強化し、顧客にさらなる価値を提供する多くの高性能アプリケーションを実現します。IBM WebSphereはアプリケーションの配信を高速化し、開発者がインフラストラクチャー管理ではなくコードとビジネス・ロジックに集中できるようにします。これらのメリットに加えて、WebSphereはパフォーマンスの向上、コストの削減、ビジネス・アプリケーションの価値実現までの時間の短縮にも役立ちます。WebSphereを使用すると、チームは従来のWebSphere資産を維持しながら、新しいクラウドネイティブ・アプリケーションを構築し、既存のアプリケーションをモダナイズすることができます。
WebSphereと同様、WebLogicはエンタープライズ・アプリケーションの開発用に作成されたプラットフォームです。このサーバーにより、Java EEとJakarta EEの頑健な実装が可能になり、オンプレミスとクラウドのエコシステムをサポートできます。Oracle WebLogicもKubernetesを念頭に置いて開発されました。WebLogic Kubernetes ToolKitは、サーバーがオンプレミスかクラウドかに関係なく、Kubernetes上でアプリケーションの実行を効率化するのに役立つオープンソース・ツールセットです。
IBM Cloud Infrastructure Centerは、IBM zSystemsおよびIBM LinuxONE上のプライベートクラウドのインフラストラクチャーを管理するためのOpenStack互換ソフトウェア・プラットフォームです。
企業のハイブリッドクラウドとAI戦略のために設計された、サーバー、ストレージ、ソフトウェアを紹介します。
ビジネスニーズに合ったクラウド・インフラストラクチャー・ソリューションを見つけ、必要に応じてリソースを柔軟に拡張します。
1. 「Application Server Market Size Share and Trends Analysis」 、Straits Research社、2022年9月18日
2.「The history of the Apache HTTP Server」、ブロク「Neterra Cloud」、2019年1月31日