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「LIVEサービス」IBMのクラウド戦略コンサルティング

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IT技術の発展、そしてコロナ禍における急速なビジネス環境の変化を受けて、従来のようにビジネス戦略をITで実現するだけではなく、先進ITをビジネス戦略の立案・策定に積極的に活用することで変化の激しいビジネス環境に対応し、デジタル変革を推進しようとする動きが加速しています。

先進ITの代表例としては、AIやIoT、エッジコンピューティング、ブロックチェーンなどが挙げられますが、いずれの技術の活用においてもクラウド、それも複数のインフラを組み合わせたハイブリッドクラウドの活用が必要不可欠です。IBMの調査によると、97%の企業がなんらかの形で複数のクラウドを活用※1しており、平均的な企業が利用するクラウドの数は2020年には8だったものが2023年末には10まで増える※2と予想されています。

このようにハイブリッドクラウドがデジタル変革の主要な推進力となり、IT支出に占める割合も高まっていく一方で、その複雑性から期待通りに導入や活用が進まないとの声も聞かれます。ハイブリッドクラウドを効果的に使いこなし、デジタル変革を推進するためにはアーキテクチャー、運用、セキュリティー、コスト最適化、そして人材育成など様々な観点を横断的・包括的にカバーするクラウド戦略の策定と、優先度やビジネス状況に合わせた弾力的な推進・統制が重要になります。この記事では、IBMがご提供するクラウド戦略コンサルティングの概要、特にクラウド戦略策定と実行に関するサービスの概要と事例についてご紹介します。

※1IBVレポート「クラウドの 次なる飛躍 – トランスフォーメーションでビジネス価値を生み出すには
※2IBVレポート「ハイブリッドクラウド・プラットフォームの利点- 企業変革への指針・日本企業への提言

IBMが提供するクラウド戦略コンサルティング「LIVEサービス」

前述の通り、多くの企業がハイブリッドクラウドの導入・活用を目指しながらも現実的にはその歩み(ハイブリッドクラウド・ジャーニー)を期待通りに進めることができていません。その理由は、「策定したアーキテクチャーやロードマップが維持・管理できずに陳腐化してしまう」「各個別プロジェクトを進めるうちに全体の戦略から逸脱してしまう」など、多岐にわたります。
このようなお客様が直面している課題に対応するため、IBMではお客様に信頼いただけるパートナーとして、お客様とともにハイブリッドクラウド・ジャーニーを描き、歩み、そしてゴールを目指すためのクラウド戦略コンサルティングをご提供します。

クラウド戦略コンサルティングでは、お客様にフォーカスした「ハイタッチ」できる距離感での(お客様に寄り添う)サービスとして、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やハイブリッドクラウド・ジャーニー実現のための戦略やロードマップ、アーキテクチャーの策定に加えて、それらをただ適用するのではなく、アジャイル等でも重視されている、実際に遂行してみた経験・結果からのフィードバックを分析することにより、継続的な改善をおこない、戦略やロードマップ、アーキテクチャー自身を進化させていきます。これにより、戦略(DX戦略やクラウド戦略など)を実現するための個々の取り組みを、迷走・脱走することなく全体最適のルートで進むことを可能とし、戦略を実行した結果として得られる成果の最大化を実現します。

どのような戦略やアーキテクチャーも、策定が完了した時点で陳腐化が始まり、半年、一年といった時間の経過とともに有効性を失っていきます。そのため、戦略を実行するかたわらで発生する「ビジネス環境の変化」や「技術の変化」、戦略の元で実行された「個別プロジェクトから得た経験やフィードバック」を踏まえ、継続的に戦略やアーキテクチャー自体を進化・拡張していくことが重要です。
これにより、戦略を絵に描いた餅ではなく、活きたビジネス活動の一環として、その価値を維持・向上することが可能になります。

また、戦略実行のフェーズにおいては、適切にメンテナンスされた戦略が正しく実行されていること(各個別プロジェクトが戦略に則り実行されていること)を確認するための統制活動が欠かせません。
IBMでは、こういった戦略実行フェーズにおける、戦略やアーキテクチャー自体の維持・メンテナンスや実行プロジェクトの統制といったアドバイザリー活動を「LIVEサービス」と名付け、長期に渡りお客様と伴走し、その価値を追求します。

図表1:LIVEサービスの位置付け図表1:LIVEサービスの位置付け

「LIVEサービス」には2つの起点があります。1つ目はより上流の案件(戦略・計画策定案件)で策定した戦略の実行統制や、進化・拡張を行うために立ち上げるケース。もう1つは個別の開発・保守プロジェクトとして実施しているデリバリー活動の中での統制活動、標準策定やプラットフォーム構築など、他案件に横展開することで価値が高まる領域について訴求し、立ち上げるケースです。
いずれのケースにおいても、策定した戦略、もしくは既存の戦略を進化・拡張しながら、統制活動を実施することにより、ビジネス目的を見失わずにシステムの構築や拡張、ひいてはDXの実現を推進することが可能となります。

図表2:LIVEサービス2つの起点図表2:LIVEサービス2つの起点

戦略策定フェーズで策定された各種戦略において、この様な継続的な改善が必要なものには様々なものが挙げられます。
例えば、計画したモダナイゼーションのプログラムを推進しながら、その進捗や直面した課題、またビジネス上の優先度変化を受け、計画/ロードマップの見直しが必要となります。
策定したアーキテクチャーに関しても、それを適用したプロジェクトでのフィードバックを受けた改善や、適用先プロジェクトでの個別要件を考慮しつつ全体統制から逸脱しないカスタマイズの実施や、また新技術の成熟判断によるアーキテクチャーへの取り込みなど、常に進化させていく事で経年による技術的負債を軽減していく必要があります。
運用モデルに関しても、ビジネス戦略に沿ったポリシー更新、メトリクス分析などを通じたプロセス改善や体制の見直し、またアーキテクチャーの改善に沿った見直しや新しい自動化技術の取り込みなど、よりスムーズな業務遂行のため改善が必要となります。
クラウド活用の目的の一つに、最新技術の取り込みがありますが、近年の技術変革の速さにより、戦略や組織、プロセス、アーキテクチャーなどは、継続的改善が必須となっています。

図表3:モダナイゼーション・プログラムとLIVE体制図表3:モダナイゼーション・プログラムとLIVE体制

また、これら様々な継続的改善のためには、モダナイゼーション・プログラム全体を横断した常駐組織が必要となります。CoE(Center of Excellence)やCoC (Center of Competence)といった組織名称を用いられる事が多く、クラウド戦略を統括するクラウドCoC、アーキテクチャーを統括するアーキテクチャーCoEなどを設立します。現状分析、企画、遂行管理、結果分析、改善、全体への発信、牽引など担当分野における活動は多岐に渡ります。(図表3)

CoE/CoCと各モダナイゼーション・プロジェクトとの協業方法についても検討が重要です。例えばCoE/CoCメンバーが各モダナイゼーション・プロジェクトのメンバーとして参加し、戦略に沿った実装を推進していく積極的な協業方式があります。この方式は、効果検証フェーズの様に、プログラム初期の段階でプロジェクト内での検証事項が残っている状況で有効です。逆の方法として、各モダナイゼーション・プロジェクト側からメンバーを選定してワーキング・グループを作り、その中でCoE/CoCから情報連携をおこなうことで、プロジェクト側メンバーが主体となって全体の戦略やアーキテクチャー、運用方式に沿ってプロジェクトを実施していく協業方式があります。後者の方式は、ある程度の適用事例が確立し、要員の育成が進んだ段階で有効となります。また後者の方式においては、適切なマイルストンでのCoE/CoCによるウォークスルー&レビュー等によりガバナンス方法を検討する必要があります。
CoE/CoCでは各プロジェクトへ参加したメンバーやワーキング・グループのメンバー、またウォークスルーやレビューから良い点・悪い点含めたプロジェクト状況の把握と課題の識別をおこない、これらをフィードバックとして戦略やアーキテクチャーの改善を実施します。

この様に継続的に改善される戦略、計画やアーキテクチャー、運用フレームワークに沿ってプログラムとしてのモダナイゼーションを進めていきます。改善されたアーキテクチャーなどは、後続案件で改善版の適用を行うだけではなく、既にモダナイゼーションを適用、構築を行なった案件に対しても、適用時の効果を評価し、中長期含めた適用コストと対比検討をおこない、適用要否を決定します。

事例

これまで述べてきた様な、戦略、アーキテクチャーや運用モデルの継続的な適用と改善していく取り組みは既に始まっています。IBMが貢献してきた事例をいくつかご紹介します。

図表4:事例図表4:事例

おわりに

以上、クラウド戦略策定と実行に関するサービスの概要と事例についてご紹介してきました。より詳しい情報や関連するソリューションなどについては「クラウド戦略のコンサルティングとサービス」でも参照いただけます。
 

記事の著者

前田 幸一郎

前田 幸一郎
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
ハイブリッド・クラウド・トランスフォーメーション
技術理事/ハイブリッド・クラウド・トランスフォーメーションCTO

 

松本 龍幸

松本 龍幸
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
ハイブリッド・クラウド・トランスフォーメーション
アソシエイト・パートナー

 

中谷 純人

中谷 純人
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
ハイブリッド・クラウド・トランスフォーメーション
シニア・アーキテクト

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