Db2 pureScale サーバーのアップグレード

Linux® および UNIX で Db2 pureScale サーバーを Db2 バージョン 11.1 にアップグレードするには、新しい バージョン 11.1 コピーをインストールしてから、既存のインスタンスおよびデータベースをこの新しいコピーに手動でアップグレードする必要があります。

始める前に

プロシージャー

Db2 バージョン 11.1 pureScale サーバーにアップグレードするには、以下のようにします。

  1. インスタンス所有者として Db2 サーバーにログオンします。
  2. すべてのメンバー・ノードで、すべてのアプリケーションおよびユーザーを切断します。 LIST APPLICATIONS コマンドを発行して、現行のインスタンスのすべてのデータベース接続のリストを取得します。 すべてのアプリケーションが切断されたら、このコマンドにより、以下のメッセージが戻されます。
       db2 list applications
         SQL1611W No data was returned by the Database System Monitor.
         SQLSTATE=00000
    FORCE APPLICATION コマンドを使用して、すべてのアプリケーションとユーザーを切断します。
       db2 force application all
  3. コマンド行プロセッサーを実行していた各セッションで以下のコマンドを入力して、 すべてのコマンド行プロセッサー・セッションを停止します。
       db2 terminate
  4. すべてのアプリケーションとユーザーが切断され、 すべてのコマンド行プロセッサー・セッションが停止されたら、データベース・マネージャー・インスタンスを停止します。
       db2stop
    注: db2stop コマンドがアクションを完了するために必要な時間は、クラスター内のクラスター・キャッシング・ファシリティー (CF) とメンバーの数 (最大 10 分) によって異なります。
  5. db2stop コマンドが正常に実行されず、新しい着信接続が原因でデータベース・マネージャー・インスタンスのタイムアウトの停止に失敗した場合は、次のコマンドを実行して、すべてのユーザー接続を切断し、データベース・マネージャー・インスタンスを停止します。
       db2stop force
    db2stop force コマンドが正常に完了したことを確認します。
  6. 任意のノードで db2stop instance on <hostname> コマンドを発行して、メンバーおよびクラスター・キャッシング・ファシリティー (CF) のすべてのインスタンス・プロセスを任意の順序で 停止します。ここで、 hostname はクラスター内の各メンバーまたは CF の名前です。
  7. 以下のステップを実行して、 Db2 バージョン 11.1 をインストールします。
    1. Root ユーザー権限で Db2 サーバーにログオンします。
    2. Db2 バージョン 11.1 のインストール・パス から以下のコマンドを発行して、すべてのメンバーおよびクラスター・キャッシング・ファシリティー (CF) でクラスター管理ソフトウェアを保守モードにします。 このコマンドは、すべてのホストでピア・ドメイン・サービスを停止し、システムの保守中にサービスが再始動しないようにします。
      以下のコマンドは、クラスター内のメンバーまたは CF のいずれか 1 つで一度だけ発行することができます。
      OLD_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cm -enter -maintenance -all
      ここで、 OLD_DB2_INSTALL_DIRpre-Db2 バージョン 11.1 インストール・パスです。
      例えば、 Db2 バージョン 10.5 から Db2 バージョン 11.1にアップグレードする場合、デフォルトの OLD_DB2_INSTALL_DIR/opt/IBM/db2/V10.5と指定されます。
    3. Db2 バージョン 11.1 より前のインストール・パスから以下のコマンドを発行して、すべてのメンバーおよび CF でクラスター・ファイル・システムを保守モードにします。 このコマンドは、システム保守中に、すべてのホストによるクラスター・ファイル・システム (IBM® Spectrum Scale) へのアクセスを停止します。
      以下のコマンドは、クラスター内のメンバーまたは CF のいずれか 1 つで一度だけ発行することができます。
      OLD_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cfs -enter -maintenance -all

      上記のコマンドが、 IBM Spectrum Scale モジュールをアンロードできないことを示す警告を返した場合は、次のステップに進む前にリブートが必要です。

    4. Db2 セットアップ・ウィザードを使用して Db2 バージョン 11.1 をインストールします。 db2setup コマンドを実行し、「ようこそ」パネルで「新規インストール」オプションを選択します。 Db2 バージョン 11.1.0.0 Advanced Editions with Db2 pureScale を選択し、 「次へ」 をクリックして Db2 バージョン 11.1の新規コピーをインストールします。
      db2setup -l /tmp/db2setup.log -t /tmp/db2setup.trc
      「構成」 パネルで、 「インスタンスの作成」のチェック・マークを外します。 Db2 インストーラーは引き続きインストールを実行しますが、後で db2icrt コマンドまたは db2isetup コマンドを実行してインスタンスを作成することができます。 Db2 セットアップ・ウィザードは、1 つのメンバーから Db2 pureScale Feature のインストールを開始し、複数のメンバーにまたがる Db2 pureScale 環境 を正常にセットアップするための明確なフローを提供します。 クラスター管理ソフトウェアおよびクラスター・ファイル・システム・ソフトウェアも、 11.1 要件を満たすようにインストール時にアップグレードされます。 詳しくは、 Db2 バージョン 11.1のインストールを参照してください。
    5. 以下の手順を使用して、 IBM Spectrum Scaleクラスターが最小リリース・レベルであることを確認します。
      1. 次の例のように mmlsconfig コマンドを使用することによって、usePersistentReserve 属性が YES に設定されているかどうか、および最低リリース・レベルを確認します。
        root@XXX:/> /usr/lpp/mmfs/bin/mmlsconfig minReleaseLevel,usePersistentReserve
        minReleaseLevel 3.4.0.7
        usePersistentReserve yes
        minReleaseLevel 値が 3.5 以上の場合、または usePersistentReserveNOに設定されている場合は、 ステップ fに進みます。
      2. 以下の例のように、 mmchconfig コマンドを使用して、 IBM Spectrum Scale 構成情報を、ご使用の IBM Spectrum Scale レベルでサポートされる最新のフォーマットに更新します。
        /usr/lpp/mmfs/bin/mmchconfig release=LATEST
        Verifying that all nodes in the cluster are up-to-date ...
        Verifying GPFS is stopped on all nodes ...
        mmchconfig: Command successfully completed
        mmchconfig: Propagating the cluster configuration data to all
         affected nodes.  This is an asynchronous process.
      3. mmlsconfig コマンドを再発行して、リリース・レベルが更新されたことを確認します。
        /usr/lpp/mmfs/bin/mmlsconfig minReleaseLevel
        minReleaseLevel 3.5.0.7
    6. root ユーザーとしてpre-Db2 バージョン 11.1 のインストール・パスから以下のコマンドを発行して、クラスター管理ソフトウェアの保守モードを解除します。 以下のコマンドは、クラスター内のメンバーまたは CF のいずれか 1 つで一度だけ発行することができます。
      OLD_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cm -exit -maintenance -all
      注: 古い Db2 インストール・パスが Db2 バージョン 10.1の場合、以下のコマンドを発行して、クラスター管理ソフトウェアの保守モードを解除する必要があります。
      OLD_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cm -exit -maintenance 
    7. 以下の例に示すように lssam コマンドを発行して、すべての db2mnt リソース・グループがオンラインであることを確認します。
      lssam -s "Name like '%db2mnt%rg'"
      Online IBM.ResourceGroup:db2mnt-db2sd-rg Nominal=Online
              '- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs
                      |- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs:XXX
                      '- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs:YYY
      以下の例のように、いずれかのグループが Unknownとして報告された場合は、 7.b および 7.fで説明されているように、保守モードに再入して終了します。
      lssam -s "Name like '%db2mnt%rg'"
      Unknown IBM.ResourceGroup:db2mnt-db2sd-rg Control=MemberInProblemState Nominal=Online
              '- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs  Control=MemberInProblemState
                      |- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs:XXX
                      '- Online IBM.Application:db2mnt-db2sd-rs:YYY
      注: このシナリオでは、ステップ b と f のみを繰り返す必要があります。ステップ c、d、および e を繰り返す必要はありません。
    8. root ユーザーとして、 pre-Db2 バージョン 11.1 インストール・パスから以下のコマンドを発行して、クラスター・ファイル・システム・ソフトウェアの保守モードを解除します。
      OLD_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cfs -exit -maintenance -all
    9. root ユーザーとして、 Db2 バージョン 11.1 インストール・パスから以下のコマンドを発行して、クラスター・ファイル・システムへの変更をコミットします。 以下のコマンドは、クラスター内のメンバーまたは CF のいずれか 1 つで一度だけ発行することができます。
      NEW_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cfs -commit
      ここで、 NEW_DB2_INSTALL_DIRDb2 バージョン 11.1 インストール・パスです。 例えば、 Db2 バージョン 10.5 から Db2 バージョン 11.1にアップグレードする場合、 NEW_DB2_INSTALL_DIR/opt/IBM/db2/V11.1と指定されます。
    10. root ユーザーとして、 Db2 バージョン 11.1 のインストール・パスから以下のコマンドを発行して、クラスター管理ソフトウェアに対する変更をコミットします。 以下のコマンドは、クラスター内のメンバーまたは CF のいずれか 1 つで一度だけ発行することができます。
      NEW_DB2_INSTALL_DIR/bin/db2cluster -cm -commit
      ここで、 NEW_DB2_INSTALL_DIRDb2 バージョン 11.1 インストール・パスです。
    11. インスタンス所有者としてdb2start instance on <hostname> コマンド 任意のノード上で、ホスト名はクラスター内の各メンバーまたは CF の名前です。 を発行して、クラスター管理ソフトウェアおよびクラスター・ファイル・システム・ソフトウェアの更新済みリソースを使用して、すべてのメンバーおよび CF 上の Db2 インスタンス・プロセスを任意の順序で再始動します。
  8. アップグレード元の Db2 コピーにインストールされているすべての Db2 アドオン製品をインストールします。
  9. Db2 pureScale インスタンスをアップグレードします。 Db2 pureScale インスタンスのアップグレードを参照してください。
  10. データベースをアップグレードします。
    データベースのアップグレードを参照してください。

次の作業

Db2 サーバーをアップグレードした後、診断エラー・レベルのリセット、ログ・スペース・サイズの調整、パッケージの再バインドなど、推奨されている Db2 サーバーのアップグレード後タスク を実行します。 さらに、Db2 サーバーのアップグレードが正常に実行されたかどうかを確認してください。