Db2 セットアップ・ウィザードを使用した Db2 pureScale Feature のインストール (AIX および Linux)

このタスクでは、 IBM® Db2 pureScale Featureをインストールするための Db2 セットアップ ・ウィザードについて説明します。 Db2 セットアップ ・ウィザードは、 db2setup コマンドによって呼び出される GUI インストーラーです。

始める前に

  • Db2 pureScale Feature インストール計画が作成されていることを確認します。 インストール計画を立てることにより、システムが前提条件を満たしていること、およびインストール前タスクが実行済みであることを確認するのに役立ちます。
  • 既存の Db2 pureScale インスタンスに現行ホストを追加する場合は、そのインスタンスに既に属しているホストからインスタンス拡張 (db2isetup または db2iupdt -add) を開始する必要があります。
  • Db2 セットアップ・ウィザードはグラフィカルなインストーラーです。 Db2 セットアップ・ウィザードを使用して Db2 製品をインストールするには、グラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) を表示するための X Window System (X11) が必要です。 ローカル・ワークステーションで GUI を表示するには、X Window System ソフトウェアのインストールと実行が必要になります。 DISPLAY 変数は、 Db2 製品のインストールに使用するワークステーションの IP アドレスに設定する必要があります (export DISPLAY=< ip-address>: 0.0)。 例えば、export DISPLAY=192.168.1.2:0.0 などとします。 詳しくは、この developerWorks® 記事 ( http://www.ibm.com/developerworks/community/blogs/paixperiences/entry/remotex11aix?lang=en) を参照してください。
  • ご使用の環境でユーザーを認証するために AIX® セキュリティー・ソフトウェアを使用していない場合は、 Db2 セットアップ ・ウィザードを開始する前に、必要な Db2 ユーザーを手動で作成する必要があります。 Db2 セットアップ・ウィザードでは、ユーザーを作成しません。
  • root としてログインしておきます。

このタスクについて

Db2 セットアップ・ウィザードのほとんどのフィールドとオプションに、デフォルト値があります。 いくつかのフィールドとオプションを入力するだけで済みます。 完全なリストについては、インストール・チェックリストを参照してください。

プロシージャー

  1. root としてログインします。
  2. Db2 インストール・イメージが使用可能であることを確認します。 Db2 データベース製品イメージをダウンロードした後、以下のようにして製品ファイルを解凍して untar します。
    1. gzip -d product.tar.gz コマンドを使用して、製品ファイルを解凍します。ここで、 product は、ダウンロードした製品の名前を表します。
    2. gnutar -xvf product.tar コマンドを使用して、製品ファイルを untar します。ここで、 product は、ダウンロードした製品の名前を表します。
    3. cd ./product コマンドを使用してディレクトリーを変更します。product は、ダウンロードした製品の名前を表します。
  3. ディスプレイがエクスポートされるようにします。 例えば、次のようになります。
    export DISPLAY=IP_Address:0.0
    IP_Address は、インストールを起動するために使用するワークステーションの IP アドレスを表します。
  4. Db2 インストール・イメージがあるディレクトリーから db2setup コマンドを実行して、Db2 セットアップ ・ウィザードを開始します。
    ./db2setup -l /tmp/db2setup.log -t /tmp/db2setup.trc
    -l-t は、Db2 のロギングとトレースを有効にするための推奨パラメーターです。 IBM Db2 セットアップ・ウィザードがオープンします。
    図1: Db2 セットアップ・ウィザードの「ようこそ」パネル
    Db2 セットアップ・ウィザードの「ようこそ」パネルの外観
    注: Db2 製品が既にインストールされている場合は、 「既存の製品を操作」 ボタンが表示されます。

    「新規インストール」をクリックすると「製品の選択」パネルが表示され、インストールできる製品が示されます。

  5. 製品の選択
    図2: 「製品の選択」パネル
    「製品の選択」パネル・ウィンドウの外観
    Db2 バージョン 11.1.0.0 Advanced Editions ( Db2 pureScale) 」をクリックします。

    「次へ」をクリックします。

  6. インストール構成
    図3: 「構成」パネル
    「構成」パネルの外観

    「標準」を選択した場合にインストールされるフィーチャーを確認するには、「フィーチャーの表示」をクリックします。 「フィーチャーの表示」ダイアログ・ボックスがオープンし、インストールされるフィーチャーが表示されます。 「フィーチャーの表示」ダイアログ・ボックスをクローズするには、「クローズ」をクリックします。 インストール操作のヘルプを呼び出すには、「ヘルプ」をクリックするか、F1 を押します。 「キャンセル」をクリックすれば、いつでもインストールを終了できます。

    このパネルを使用して、 Db2 pureScale インスタンスを作成します。

    • Db2 インスタンスを作成するには、 Db2 インスタンスの作成」を選択します。
    • Db2 セットアップ ・ウィザードで Db2 インスタンスを作成しない場合は、 Db2 インスタンスを作成しない」を選択します。 この場合も Db2 インストーラーはインストールを実行しますが、db2icrt または db2isetup コマンドを実行することにより、後の時点でインスタンスを作成できます。 また、インスタンス所有者、ssh、および fenced ユーザーのための必要なユーザーをホストに手動で作成する必要も生じます。

    以前の Db2 バージョンからアップグレードする場合は、 「インスタンスの作成」のチェック・マークを外します。

    ご使用条件を表示するには、「表示するにはここをクリック」をクリックします。 ソフトウェアライセンス契約を確認した後、IBMの条件に同意することを確認してください。

    「次へ」 をクリックして先に進みます。

  7. Db2 インスタンス所有者のユーザー情報の設定
    図4: 「インスタンス所有者」パネル
    「インスタンス所有者」パネルの外観。
    Db2 インストーラーがインスタンスの機能を実行したりユーザーのホーム・ディレクトリーにインスタンス情報を保管したりするのに使用するユーザー情報を指定します。 すべてのホストにユーザーとグループが新規作成されます。 インスタンスの名前はユーザー名と同じになります。 既存のユーザーを指定することもできます。 「既存ユーザー」を選択した場合、入力するユーザー名はすべてのホストに同じ UID と GID で存在しなければなりません。
    ホスト間でセキュア・シェル (SSH) ネットワーク・プロトコルを使用するには、SSH ユーザー名が必要です。 この名前が指定されていない場合、インスタンス所有者ユーザー ID が使用されます。

    「次へ」をクリックします。

    「次へ」をクリックします。
  8. fenced ユーザーのユーザー情報の設定
    図 5. 「fenced ユーザー」パネル
    「Fenced ユーザー」パネルの外観
    以下のように、新規ユーザーを作成するか既存ユーザーを使用します。
    • 新規 fenced ユーザーを作成するには、「新規ユーザー」を選択し、その fenced ユーザーに関する情報をフィールドに入力します。 Db2 pureScale 環境では、すべてのホストでユーザー・アカウントが作成されます。
    • 既存の fenced ユーザーを使用するには、「既存ユーザー」を選択します。 有効なユーザー名を入力するか、「...」をクリックして既存のユーザー名を選択します。 「既存ユーザー」を選択した場合、入力するユーザー名はすべてのホストに同じ UID と GID で存在しなければなりません。

    「次へ」をクリックします。

  9. 「クラスター・ファイル・システム」パネル
    図 6. 「クラスター・ファイル・システム」パネル
    「クラスター・ファイル・システム」パネルの外観
    このパネルを使用して、 Db2 pureScale Feature のインストールに必要な共有ディスク・パーティションを指定します。
    • データベース・データを置くための 1 パーティション (共有ディスク・パーティション装置)。 オプションとして、データ用のファイル・システム (「データ用の共有ディスク」) とログ用のファイル・システム (「ログ用の共有ディスク」) を別々に指定することもできます。
    • クラスター・リカバリー (Db2 クラスター・サービスのタイブレーカー) のための 1 パーティション。

    指定したパーティションが同じであってはなりません。 これらはロー・ディスクでなければならず、他のことに使用されてはなりません。

    「次へ」をクリックします。

  10. 「ホスト・リスト」パネル
    図 7. 「ホスト・リスト」パネル
    ホスト・リスト・パネルの外観
    インストール開始ホスト (IIH) がホスト・リストに自動的にロードされます。 Db2 pureScale 環境の一部として必要な他のホストを追加することができます。

    Db2 pureScale インスタンスのカスタム設定を指定することもできます。 詳しくは、次のステップを参照してください。

    リモート・ホストを追加するには、「追加」をクリックします。

    図 8. 「リモート・ホストを追加」
    「リモート・ホストの追加」ウィンドウのビュー
    リモート・ホスト名を入力し、「OK」をクリックします。 必要なリモート・ホストを追加した後、ホスト・リストの妥当性検査状況は、妥当性検査プロセスが実行されるまでは「保留中」になります。 「ホスト・リスト」 ページで 「拡張」 をクリックして、 Db2 pureScale インスタンス設定を変更することもできます。 さらに、ホストの状況に関係なく、この時点でセキュア・シェル検査が行われ、ホスト間でパスワードレス SSH が使用できることが確認されます。 追加するホストに root SSH アクセスをインストール、セットアップ、および構成しておく必要があります。
  11. 「拡張インスタンス設定」 ダイアログ。
    Db2 pureScale 環境に参加するすべてのホストを追加した後、 「拡張」をクリックしてデフォルトのインスタンス設定を変更できます。 必要に応じて、「インスタンス設定」ボックスのオプションを使用して、デフォルトのインスタンス設定を変更できます。

    以下のタブを表示できます。

    CF ポート
    図 9. 「拡張インスタンス設定 (Advanced Instance Settings)」-「 CF ポート」タブ
    「拡張インスタンス設定」-「CF ポート」タブのビュー
    CF では、サービス・ポートを指定する必要があります。 クラスター・キャッシング・ファシリティーを実行しているすべてのホストで同じポートが使用可能である必要があります。 可能なポート番号の範囲は 1024 から 65535 までです。
    インスタンス通信
    図 10. 「拡張インスタンス設定 (Advanced Instance Settings)」-「インスタンス通信」タブ
    「拡張インスタンス設定 (Advanced Instance Settings)」-「インスタンス通信 (Instance Communication)」タブのビュー
    この TCP/IP ポート番号は、Db2 インスタンスが着信 Db2 接続を listen するために使用されます。 ポート番号値は 1024 から 65535 の範囲にあり、すべてのホストで使用可能でなければなりません。
    論理メンバーおよび FCM ポート
    図 11. 「拡張インスタンス設定 (Advanced Instance Settings)」-「論理メンバーおよび FCM ポート」タブ
    「拡張インスタンス設定 (Advanced Instance Settings)」-「論理メンバーおよび FCM ポート (Logical members and FCM Ports)」タブのビュー
    各ホストに作成する論理メンバーの数を設定できます。 メンバーの最大数は 128 です。 同じ論理番号がすべてのホストに適用されます。 Db2 pureScale インスタンスが使用するポート番号がすべてのホストで空いていることを確認してください。 高速コミュニケーション・マネージャー (FCM) を使用するためには、3 つの必須ポートのポート範囲に加えて、論理メンバー・フィールドのための値が必要となります。 このポート範囲は、最大 130 個のホスト (128 個のメンバー + 2 個の CF) を指定できます。 デフォルトの FCM 開始ポートは 60000 です。このデフォルト開始ポートは 1024 から 65535 の範囲になければなりません。
    「OK」をクリックして「拡張」ダイアログをクローズします。
  12. 「ホスト・リスト」パネル - クラスター・キャッシング・ファシリティー
    図 12. 「ホスト・リスト」パネル - クラスター・キャッシング・ファシリティー
    ホスト・リスト・パネル-クラスター・キャッシング機能の外観。
    CFとして使用するホストを手動で選択することも、インストーラーに自動的に割り当てさせることもできます。 デフォルトでは、自動 CF 割り当てオプションが選択されています。 Db2 pureScale インスタンスを実行するには、少なくとも 1 つの CF が必要です。

    CFを手動で割り当てることを選択した場合は、どの CF が優先 1 次 CFとして機能するかを指定する必要があります。 オプションで、どの CF が優先 2 次 CFとして機能するかを指定することもできます。 これらの指定は、クラスター・マネージャーが 1 次 CF 役割で開始しようとする クラスター・キャッシング・ファシリティー を示します。

    また、ホストが CF とメンバーの両方として機能できることを指定するオプションを選択することもできます。

    CF を手動で割り当てて変更内容を元に戻す場合には、「CF の自動割り当て」をクリックしてデフォルト設定に復元します。

  13. 「ホスト・リスト」パネル-ホスト検証
    必要なすべてのホストを追加し、必要なすべての変更を加えた後、「ホストの妥当性検査」をクリックします。

    妥当性検査プロセスの一部として、インストール・ファイルのための使用可能ディスク・スペースがホストごとに検査されます。 ホストの妥当性検査後にさらに変更をホストに加えた場合、ホストを再び妥当性検査する必要があります。

    図 13. 「ホスト・リスト」パネル - ホストの妥当性検査
    ホスト・リスト・パネル-ホスト妥当性検査の外観

    リモート・ホストの妥当性検査でエラーを受け取った場合は、「ホスト・リスト」パネルで問題を修正するか、Db2 セットアップ・ウィザードのこれまでのいずれかのパネルに戻ってインストール設定を変更します。 「ホスト・リスト」 ページで 「拡張」 をクリックして、 Db2 pureScale インスタンス設定を変更することもできます。

    ホスト・エラーを解決できない場合は、「除去」ボタンでリストからホストを完全に削除できます。 その後で問題を修正し、初期デプロイメント後にインスタンスにホストを追加できます。

    「次へ」 をクリックして先に進みます。

  14. 「応答ファイルおよび要約」パネル
    図 14. 応答ファイルおよび「サマリー」パネル
    「応答ファイルと要約」パネルの外観
    Db2 セットアップ・ウィザードを使用して、以下のタスクを行えます。
    • 製品のインストールは行わないが、インストール設定を作成して応答ファイルに保存する。 この応答ファイルを使用することにより、この製品を後でインストールできます。 Db2 データベース製品はインストールされません。 Db2 セットアップ・ウィザードは、選択内容のみに基づいて応答ファイルを生成します。
    • 製品をインストールし、選択内容の記録として使用できる応答ファイルを作成して保存する。

    「応答ファイル名」フィールドで応答ファイルの名前と場所を変更できます。 この同じ応答ファイルを更新して、別のホスト・セットに使用することもできます。

    Db2 インストールを実行するために必要な選択、および応答ファイルを作成するために必要な選択は、すべて行いました。 「完了」をクリックする前に、このウィンドウにリストされるすべてのフィーチャーを再度確認します。 これらの設定のいずれかを変更するには、「戻る」をクリックして Db2 セットアップ・ウィザードのこれまでのページに戻り、選択内容を変更します。 「完了」をクリックすると、指定したすべてのホストでインストール・プロセスが起動します。

    完了」をクリックします。

結果

Db2 インストール・イメージは、 Db2 pureScale インスタンスの各ホストの DB2DIR/sd ディレクトリーにコピーされます。

インストール・ログ・ファイルのデフォルトの名前と場所は、以下のとおりです。
  • Db2 セットアップ・ログ・ファイル。 このファイルは、エラーを含むすべての Db2 インストール情報をキャプチャーします。 Db2 セットアップ・ログ・ファイル名は db2setup.log です。
  • Db2 エラー・ログ・ファイル。 このファイルは、Java™ によって返されるエラー出力 (例外やトラップ情報など) をキャプチャーします。 Db2 エラー・ログ・ファイル名は db2setup.err です。
デフォルトでは、これらのログ・ファイルは /tmp ディレクトリーにあります。 このデフォルトは、db2setup コマンド発行の際にオーバーライドされている場合があります。 Db2 インストーラーは、 Db2 セットアップ・ログ・ファイルのコピーを DB2DIR/install/logs/ ディレクトリーに保存し、その名前を db2install.historyに変更します。 この名前が既存の場合は、Db2 インストーラーは名前を db2install.history.xxxx (xxxx はこのマシンにインストールした数に応じて 0000 から 9999 になる) に変更します。

また、Db2 インストーラーは、ローカル・マシンの /tmp/db2log.xxxx ディレクトリー (xxxxxx はプロセス ID) および各リモート・ホストの /tmp/db2log ディレクトリーの下に、IIH をはじめとする各ホストに対するアクションを詳細に記録したログを生成します。

別の Db2 メンバーまたは CFを追加する場合は、既存の任意のメンバーまたは CFから db2isetup コマンドまたは db2iupdt -add コマンドを実行できます。 これらのコマンドは、ターゲット・ホストに対して Db2 インストールおよびインスタンス構成を実行します。

次の作業

以前の Db2 バージョンからのアップグレード中の場合は、トピック「 Db2 pureScale サーバーのアップグレード」に戻ってください。 それ以外の場合、新しい Db2 pureScale Feature のインストールについては、インストール後のタスクを実行するためのインストール計画を参照してください。