Db2 サーバーのアップグレード後タスク
Db2 サーバーをアップグレードした後、Db2 サーバーが最適なレベルで正しく稼働することを確認するために、いくつかのアップグレード後タスクを行う必要があります。
プロシージャー
ご使用の Db2 サーバーに該当する、以下のようなアップグレード後タスクを行ってください。
- アップグレードした各サーバーで db2licm -a < license file name> コマンドを実行して、 Db2 ライセンスを再適用します。
- Db2 サーバーのアップグレード前タスクで推奨されているように diaglevel データベース・マネージャー構成パラメーターを 3 以上に設定した場合は、アップグレード前に設定されていた値にこのパラメーターをリセットしてください。
- Db2 バージョン 11.1 より前のデータベースから行圧縮が有効になっている既存の表では、クラシック行圧縮が有効になります。 アダプティブ圧縮を使用する場合には、アップグレードを行った後にアダプティブ圧縮を有効にする必要があります。 詳しくは、 アダプティブ圧縮設定の調整を参照してください。
- ログ・スペース設定を復元します。 Db2 サーバーのアップグレード前タスクでログ・スペース設定を変更した場合は、 logsecond および logarchmeth1 データベース構成パラメーターをアップグレード前の値にリセットできます。
- Db2 サーバーのアップグレード前タスクでオプションで推奨されているように logindexbuild データベース構成パラメーターを変更した場合は、パラメーターをアップグレード前の値にリセットします。
- 外部ルーチンの既存のライブラリーがアップグレード前の元の場所に残っていることを確認します。必要に応じて、 Db2 サーバー構成および診断情報のバックアップで実行するバックアップからこれらのライブラリーをリストアします。
- アップグレードされたデータベースの増分バックアップを作成する場合は、フル・データベース・バックアップを実行します。 これは、増分バックアップの新しい開始点として機能します。
- アップグレード後にデータベースをアクティブ化 して、データベースと必要なすべてのデータベース・サービスを開始します。
- 自動ストレージ表スペースは、デフォルトで使用しているストレージ・グループから、メディアの属性値 (オーバーヘッド、デバイス読み取り速度、データ・タグ属性など) を継承します。 Db2 バージョン 10.1にアップグレードする場合、既存の表スペースの設定は保持され、ストレージ・グループの OVERHEAD および DEVICE READ RATE 属性は未定義に設定されます。 メディア属性は ALTER STOGROUP ステートメントを使って設定できます。 詳しくは、「 ストレージ・グループ属性」を参照してください。
- Db2 サーバーの動作の変更を管理します。 Db2 サーバーの動作に影響を与える可能性がある、新しいレジストリー変数、新しい構成パラメーター、およびレジストリー変数と構成パラメーターの新しいデフォルト値が Db2 バージョン 11.1 で導入されました。 さらに、データベースの物理設計の特性やセキュリティーにも変更が加えられており、これらの変更も影響を与える可能性があります。
- データベースのアップグレード中に特定のシステム・カタログ表で統計の自動収集が失敗した場合は、 それらのシステム・カタログ表の統計を更新します。
- UPGRADE DATABASE コマンドで REBINDALL オプションを使用しなかった場合は、アップグレードされたデータベース内のパッケージを再バインドして、パッケージを検証できます。 パッケージを再バインドすると、更新された統計や新しい索引情報も使用できるようになります。 この手順は省略してもかまいません。データベースをカタログ・ノードで始動すると、システム・タスク db2pkgrb が自動的に開始され、すべての無効なパッケージを再バインドするからです。 詳しくは、 アップグレードされたデータベースでのパッケージの再バインド を参照してください。
- REFRESH TABLE ステートメントを使用して、既存のマテリアライズ照会表のデータをリフレッシュします。 言語認識照合を使用する Unicode データベースのマテリアライズ照会表 (MQT) の場合、MQT 定義が LIKE 述部、または基本述部に関係するサブストリング関数に影響します。これらの MQT はリフレッシュする必要があります。
- Db2 Explain 表 をマイグレーションして、以前に収集した Explain 表情報を保持します。
- カスタマイズしたコード・ページ変換表を Db2 サポート・サービスから入手した場合は、それらの表のすべてのファイルを DB2OLD/conv から DB2DIR/convにコピーします。ここで、 DB2OLD は Db2 バージョン 10.1以前のコピーの場所であり、 DB2DIR は バージョン 11.1 コピーの場所です。 標準のコード・ページ変換表をコピーする必要はありません。
Windows オペレーティング・システム上の既存の Db2 バージョン 10.5 またはそれ以前のコピーをアップグレードした場合、 Db2 サーバーのアップグレード前タスクの一部としてバックアップしたカスタマイズ済みコード・ページ変換表を DB2PATH\conv ディレクトリーにリストアすることができます。ここで、 DB2PATH は Db2 バージョン 11.1 コピーの場所です。
- 新規 EVMON_UPGRADE_TABLES プロシージャーを使用して、表および未フォーマット (UE) イベント表に書き込むイベント・モニターの既存のターゲット表をアップグレードします。 詳しくは、 リリース間でのイベント・モニター・データの保存。 を参照してください。
- Db2 サーバーのアップグレード が正常に行われたことを確認します。 アプリケーションとツールをテストすることにより、Db2 サーバーが正しく動作していることを確認してください。 詳しくは、 Db2 サーバーのアップグレードの検証 を参照してください。
- Db2 サーバーのアップグレードの完了後にデータベースをバックアップ します。
- リカバリー可能データベースの場合、 Db2 はアクティブ・ログ・パス内のログ・ファイルの名前を .MIG 拡張子に変更しなくなりました。 旧リリースのログ・ファイルは、現行リリースのログ・ファイルと同じように処理され、Db2 の通常のログ・ファイル管理が実施されます。 バージョン 9.7からアップグレードした場合、元のアクティブ・ログ・パスにあるログ・ファイルのログ・アーカイブは行われません。 それらのログ・ファイルは手動で管理する必要があります。 db2cklog ユーティリティーを使用して、バージョン 11.1 より前のリリースのアクティブ・ログ・パスにあるログ・ファイルを判別できます。 必要であれば、このユーティリティーを手動のログ・ファイル管理に活用できます。
- まだこれを行っていない場合は、新規 LSN フォーマットをサポートするために、SQL レプリケーションをマイグレーションする必要があります。
- インスタンスのアップグレード中に、 db2iupgrade ユーティリティーは、インスタンス・ホームの下に古い sqllib ディレクトリーを sqllib_<old db2 version>という名前で作成します。 アップグレードが正常に完了したら、このディレクトリーを手動で削除する必要があります。
次の作業
Db2 データベース製品またはアドオン・フィーチャーに適用する以下のアップグレード後タスクを実行します。
- 既存の Db2 バージョン 10.5 以前のコピーをアップグレードした場合は、データベース・ログ・ディレクトリーが変更されています。 db2diag.log ファイルで、新規ログ・ディレクトリーの詳細を記載するエントリーを確認してください。 ユーザー定義のログ・ディレクトリー (例えば、/usr/logpath) が使用されている場合は、アップグレード後のログ・ファイルの場所は /usr/logpath/NODE0000/LOGSTREAM0000 になります。 デフォルト・データベース・ディレクトリー (例えば、/home/db2user/db2inst/NODE0000/SQL00001/SQLOGDIR が使用されている場合は、アップグレード後のログ・ファイルの場所は /home/db2user/db2inst/NODE0000/SQL00001/LOGSTREAM0000 になります。
- 高可用性災害時リカバリー (HADR) を実行している Db2 サーバーをアップグレードした場合、 Db2 バージョン 11.1 へのアップグレード中に、データベースの役割が 1 次から標準に変更されていれば、 HADR を再初期化します。
- オプションの手順として、バージョンをアップグレードした後の統計更新に関する戦略を検討してください。 新しいバージョンでは、SQL 最適化機能、データ統計、またはその両方が新しくなっていることがあります。 新しい機能を十分に活用するために、どのように統計を更新するか戦略を検討してください。 単純に自動統計収集を利用するのも 1 つの戦略です。 明示的な RUNSTATs 呼び出しは別の呼び出しです。 いずれにせよ、この手順はあくまでもオプションです。 現在のパフォーマンスとアクセス・プランがニーズを満たすものであれば、この手順は省略してかまいません。
- 一般に、バージョンのアップグレードによって、すべての表と索引の再編成が必要になることはありません。 ただし、新しく導入された機能を十分に活用するために再編成が必要になることもあります。 例えば、新しい圧縮機能を十分に活用するために再編成が必要になる、といったケースが考えられます。 再編成に関する注意点があれば、関連する新機能の資料にその点が記載されます。
この時点で、データベースのバックアップ、統計の更新などの保守アクティビティーをすべて再開します。 また、不要になった Db2 バージョン 10.5 以前のコピーもすべて削除する必要があります。