Db2 サーバーのアップグレードに関するベスト・プラクティス

Db2 サーバーのアップグレードを計画する際は、さまざまなベスト・プラクティスを考慮する必要があります。 アップグレードを開始する前に、これらのベスト・プラクティスを検討してください。

Db2 データベース製品の既存の機能の変更点について検討する

Db2 バージョン 11.1 で導入された既存の機能の変更は、アプリケーション、スクリプト、保守プロセス、および Db2 サーバーのアップグレード・プロセスに関連するその他の側面に影響を与える可能性があります。

Db2 バージョン 11.1 より前のリリースで導入された既存の機能の変更も影響を与える可能性があります。 アップグレード作業の前に、これらの変更点を検討し、対応方法に関する計画を策定してください。

テスト環境でアップグレードすれば、起こり得る問題を確認し、環境に対する影響を評価し、解決策を見つけ出すことができます。

Db2 データベース製品のアップグレード前にハードウェアとオペレーティング・システムをアップグレードする

サポートされる UNIX、 Linux® 、および Windows オペレーティング・システムは、 Db2 バージョン 11.1で変更されました。 ご使用のオペレーティング・システムのバージョンがサポートされているかどうか、および Db2 バージョン 11.1をインストールする前にオペレーティング・システムをアップグレードする必要があるかどうかを判別するには、 Db2 データベース製品のインストール要件 を確認してください。 オペレーティング・システムのバージョンを新しくするのに伴って、新しいハードウェア要件が加わることもあります。

ハードウェアとオペレーティング・システムのアップグレードを Db2 データベース製品のアップグレードとは別に行うと、アップグレードの問題が発生した場合に問題判別が単純になります。 Db2 データベース製品のアップグレード前にソフトウェアまたはハードウェアをアップグレードした場合は、Db2 データベース製品のアップグレードを試みる前に、システムが正常に作動していることを確認してください。

SUSE Linux Enterprise Server 10 上に Db2 バージョン 9.7 コピーがある場合は、まず Db2 バージョン 9.7 フィックスパック 2 以降を適用してから、オペレーティング・システムを SUSE Linux Enterprise Server 11 にアップグレードしてください。

Db2 サーバーのパフォーマンスのベンチマーク・テスト

Db2 サーバーをアップグレードする前に、いくつかのパフォーマンス・テストを実行してください。 db2batch ベンチマーク・ツールは、照会実行の経過時間と CPU 時間のデータを収集するときに役立ちます。 このツールを使用して、パフォーマンス・テストを実施できます。 テストを実行した環境条件を正確に記録してください。

また、それぞれのテスト照会ごとの db2expln コマンド出力の記録を保存しておき、 アップグレード前後の結果を比較してください。 このことは、生じる可能性のある性能低下を識別し修正するのに役立ちます。

アップグレードのリカバリー計画の作成または選択
リカバリー可能データベースでは、データベースのアップグレードをリカバリー可能な操作として実行できます。 使用環境やアップグレード作業時間枠によっては、このリカバリー機能を利用して、アップグレード全体にかかる時間を短縮し、ダウン時間を最小化することができます。 このリカバリー機能によって、データベースのアップグレードの前後にオフライン・データベース・バックアップを取得する必要があるかどうかも左右されます。 Db2 サーバーのアップグレードによるリカバリー を参照して、この機能が環境内のデータベースに適用可能かどうかを確認してください。 リカバリー計画では、以下の 2 つのシナリオを検討する必要があります。
  • アップグレードの取り消し、または Db2 バージョン 11.1 からバージョン 11.1 より前のリリースへのフォールバック。
  • バージョン 11.1の特定時点へのデータベース・アップグレードのリカバリー。
逆アップグレード計画の作成

Db2 バージョン 11.1 からDb2 バージョン 11.1 より前のリリースへのアップグレードまたはフォールバックを行うユーティリティーはありません。 Db2 サーバーのアップグレードの取り消し を参照して、データベースのアップグレードを元に戻すために必要なすべてのステップを確認してください。

アップグレード前タスクの実行

Db2 サーバーのアップグレード前タスク のトピックで概要が説明されているいくつかのアップグレード前タスク ( Db2 構成パラメーター設定のバックアップ、表スペースとログ・ファイル用の十分なディスク・フリー・スペースの確保、データベースのアップグレード準備の確認など) を実行する必要があります。

Db2 サーバーかクライアントのどちらをまずアップグレードするかを決定する

データ・サーバー・クライアントをアップグレードする前に、Db2 サーバーをアップグレードすることは、Db2 データベース製品の新しい機能のサポート、ネットワーク・プロトコル、接続などに関しての既知の制約事項や制限を避けるための従来の方法です。 これらの制約事項や制限は、DB2 Connect には関係ありません。

データ・サーバー・クライアントをアップグレードするには、まずリリース間の非互換性を管理することが必要です。 ソフトウェア要件のためにクライアントをアップグレードする必要がある場合、ソフトウェアが Db2 サーバー上で実行している Db2 データベース製品のバージョンをサポートしていることを確認してください。 この場合、ソフトウェアはリリース間の非互換性を管理します。 非互換性について詳しくは、 Db2 バージョン 11.1 資料の クライアントをアップグレードするためのベスト・プラクティス を参照してください。

データベース・アプリケーションとルーチンをアップグレードする

Db2 サーバーをアップグレードする場合、64 ビット・インスタンス、SQL ストアード・プロシージャー、Java™ 仮想マシン (JVM)、および開発ソフトウェアの変更をサポートするために、データベース・アプリケーションおよびルーチンのアップグレードも必要になることがあります。

データベース・アプリケーションのアップグレードやルーチンのアップグレードに影響を与える要因を検討し、データベース・アプリケーションとルーチンに対して必要な変更を行って、アップグレード後にそれらが確実に実行されるようにしてください。 データベース・アプリケーションのアップグレードまたはルーチンのアップグレードに影響を与える可能性のある要因について詳しくは、 データベース・アプリケーションのアップグレードに関する重要事項 および ルーチンのアップグレードに関する重要事項 を参照してください。

テスト環境へのアップグレードでは、 Db2 バージョン 11.1 でデータベース・アプリケーションおよびルーチンが正常に実行されることをテストおよび検証して、それらをアップグレードする必要があるかどうかを調べることができます。 実稼働環境をアップグレードする前に、データベース・アプリケーションおよびルーチンをアップグレードできます。

Db2 高可用性災害時リカバリー (HADR) 環境のアップグレード

単一パーティションの ESE Db2 バージョン 10.5 フィックスパック 7 以降の 1 次およびスタンバイ・データベースを Db2 バージョン 11.1 にアップグレードすることがサポートされるようになりました。データベース役割を変更する必要はなく、HADR を再初期化する必要もありません。 詳しくは、 HADR 環境での Db2 サーバーのアップグレード (スタンバイ再初期設定なし)を参照してください。

10.5 フィックスパックがサポートされているレベルである場合、 pureScale® Db2 バージョン 10.5 1 次データベースおよびスタンバイ・データベースをバージョン 11.1 にアップグレードすることはサポートされていますが、HADR を再初期化する必要はありません。 サポートされる 10.5 フィックスパック・レベルについては、FAQ 技術情報「http://www-01.ibm.com/support/docview.wss?uid=swg21298716」を参照してください。 詳しくは、 HADR pureScale 環境での Db2 サーバーのアップグレード (スタンバイ再初期設定なし)を参照してください。

Db2 バージョン 9.7バージョン 10.1 または バージョン 10.5 フィックスパック 6 以前の 1 次データベースを バージョン 11.1 にアップグレードすると、データベースの役割が 1 次から標準に変更されます。 Db2 バージョン 9.7バージョン 10.1 または バージョン 10.5 フィックスパック 6 以前のスタンバイ・データベースはロールフォワード・ペンディング状態であるため、これらのデータベースの バージョン 11.1 へのアップグレードはサポートされません。 詳しくは、 HADR 環境での Db2 サーバーのアップグレードを参照してください。

SQL レプリケーション環境のマイグレーション

データベース・サーバーをアップグレードした後、オプションで、SQL レプリケーション環境をマイグレーションすることができます。

Db2 Spatial Extender のアップグレード

Db2 Spatial Extender がインストールされていて、Spatially 対応データベースを Db2 バージョン 11.1にアップグレードした場合は、 Db2 Spatial Extenderに固有のアップグレードの詳細について Db2 Spatial Extender 10.5 へのアップグレード を参照してください。

Microsoft Cluster Server 環境のアップグレード

Microsoft Cluster Server (MSCS) 環境では、 Db2 バージョン 11.1 を新規コピーとしてインストールしてから、 db2iupgrade コマンドを実行して MSCS インスタンスをアップグレードします。 詳しくは、 Microsoft Cluster Server 環境での Db2 サーバーのアップグレード を参照してください。

Query Patroller からワークロード・マネージャーへのアップグレード

Query Patroller は廃止されました。 マイグレーション方法について詳しくは、 SQL レプリケーション・バージョン 10.5へのマイグレーション を参照してください。