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ジェネレーションZの本音を探る

ジェネレーションZの消費者は、価値、選択肢、品質において小売業に対し、期待感を抱いており、彼らの期待に応えることができるのが、テクノロジーだ。

ジェネレーションZは、意外性に満ちている。彼らは、優れた価値や充実した品揃え、高い品質、利便性、入手しやすさなど、親世代と同様に、小売の基本要件の達成を求めてくる。しかし同時に、デジタル・ネイティブとして、そうした基本要件の達成の方法として、世代特有の期待も抱いている。例えば、ジェネレーションZにとってテクノロジーは重要ではあるが、それは価値を付加し、ショッピング体験を向上させるものに限られる。また、ショッピング体験そのものには、自分のためだけにパーソナライズされたものを期待している。ブランドは、ただちに行動を起こせなければ、この新たな経済勢力を取り込み損ねる可能性がある。調査対象のジェネレーションZのうち、すでにブランドと強いつながりを持っていると回答した割合は全体で36%、19~21歳の年齢層に限ればもう少し高く、46%である。このことからも、まだ大きな潜在的な機会があることが分かるものの、新世代の獲得に向けた時間はそう多くは残されていない。

ジェネレーションZの消費者は要求水準が高く、独自の価値観を持っている

ジェネレーションZは、年齢こそ若いが、重要な経済勢力であることは間違いない。1995年以降に生まれたこの世代は、2020年には25億6,000万人を超えると推定される。ジェネレーションZは、現実の生活とバーチャルな生活との境界線が曖昧な、流動的なデジタル世界の中で育ってきている。情報やデジタル・リソースに24時間365日アクセス可能なことが、彼らの豊かな教養や知識、そしてどの商品やサービスを選ぶべきか、どのブランドを支持するべきかを自ら判断できる自立性を培った。デジタルが一体化された企業全体において、さまざまなブランドとシームレスに関わり合いを持てることを、ジェネレーションZは期待している。また彼らは、積極的に自らの意見を共有し、ブランドとコラボレーションや共創することを望み、その過程でブランドが自分たちのニーズに迅速に対応してくれることを期待している。実用性を重視し、根拠のない誇大広告を嫌うジェネレーションZは、ブランドに対して透明性と信頼性、確実性と共感性を求めている。小売企業や消費財企業は、この独特で強い感性を持った消費者世代へ訴求するにあたり、まずは信頼性に富む環境を築く必要がある。ショッピングの際にジェネレーションZが何を求め、ブランドはそれに対してどう応えればよいのか。その答えを探るため、IBM Institute for Business Valueでは、16カ国のジェネレーションZの若者1万5,600人を対象に調査を実施した。この調査結果は、全米小売業協会(NRF)と共同で3部構成のレポートとしてまとめられている。第1回目と2回目のレポートでは、ジェネレーションZの明確な特徴と、ブランドとの関わりにおいて彼らが重視していることについて論じた。そして第3回目となる本レポートでは、ジェネレーションZの購買習慣や価値観のほか、ブランドが対応すべき次のニーズについて考察する。

•小売の基本要件に対する一貫したサービス。ジェネレーションZはショッピングに際し、在庫情報の正確性や価格に対する値打ち、充実した品揃えを期待している。

•価値と利便性を実現するテクノロジー。ジェネレーションZはイノベーションの良さを認めてはいるが、それは複雑性から生じるストレスをなくし、彼らなりのやり方に合ったブランド体験を手助けしてくれる場合に限る。

•自分に合わせたショッピング体験。ジェネレーションZは個人のニーズに合わせてカスタマイズされた、自分だけの体験価値を享受したり、共創できることを望んでいる。

ジェネレーションZの消費者は、小売の基本要件への高い期待を抱く

前の世代と同様、ジェネレーションZも小売の基本要件が確実かつ一貫して満たされていることを何よりも重視している。この傾向は、彼らがショッピングをする際のチャネル選定の基準として顕著に表れている。調査対象のジェネレーションZの半数以上が、購入先を選ぶ際の最優先事項として、商品の品揃え、入手しやすさ、利便性、および価値を挙げている。ジェネレーションZは、デジタル・ネイティブではあるが、買い物をするのは実店舗が最も多い。買い物を通常どのような方法で行うかとの問いに対し、全世界の調査対象者の98%が、ときどき、またはほぼ常に、実店舗で購入すると述べている。実際、ほぼ常に実店舗で購入すると回答したジェネレーションZの割合は、ほぼ常にオンラインで購入すると回答したジェネレーションZの3倍あった。しかし一方で、そうしたショッピング体験自体に対する要求レベルは、ジェネレーションZのほうが前の世代と比べて格段に厳しくなっている。ジェネレーションZは、実店舗での購入か、アプリやウェブサイトを利用しての購入かにかかわらず、終始信頼性と一貫性を求めている。


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著者について

Karl Haller

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, Global Leader for the IBM Consulting Consumer Center of Competency


Jane Cheung

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, Global Consumer Industry Research Leader, IBM Institute for Business Value


Simon Glass

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, Global Retail Leader


Christopher K. Wong

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, Vice President of Strategy and Ecosystem, IBM Global Consumer Industry

発行日 2019年5月1日

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