ネットワーク運用センター (NOC)は、 一元化された拠点として 、コンピューター、 電気通信 、または衛星ネットワークシステムによって24時間365日監視および管理されています。 それは、ネットワークの障害と故障に対する防御対策の最前線です。
電気通信、金融サービス、製造業、およびエネルギー部門などの業界は、24時間体制で稼働しているため、高い信頼性において、常時 接続している必要があります。 この24時間365日のグローバルな運用という現代の状況では、その維持のために、 ネットワークの絶え間ない監視が求められます。 それにより、さまざまなネットワーク・サービスが、従来の ITサービスの範囲内で管理することが困難になる可能性があります。 NOC はそのモニタリングを企業のため行い、マルウェアの特定、およびユーザー数とウェブサイトのトラフィック量に対する管理などの、 ネットワーク・パフォーマンスに影響を及ぼす可能性のある問題に迅速に対処します。 さらに、更新とメンテナンスを実行して ネットワーク・パフォーマンスを改善することにより、ネットワークを最適化しようとします。
NOC チーム が舞台裏で運用をしている中で、 エンド・ユーザー がその作業に全く気付かないことが理想的です。 NOC が適切に機能している場合は、長時間の ダウンタイム、マルウェア感染、またはネットワーク 機能の低下のような問題は生じないため、 エンド・ユーザー はシームレスで継続的な接続を体験することになります。
NOC は企業に直接的に協力して、サーバー、データベース、 ファイヤーウォール、デバイス、および関連する社外サービスを含めた複雑なネットワーク環境を監視します。 ITインフラストラクチャー は、企業のニーズに従ってオンプレミスやクラウド・ベースのプロバイダーを使用して配置されている場合があります。
NOC による通常の運用は、階層型となっています。 インシデントは1から3に分類され、1はインフラストラクチャーのデバイスからのアラート評価といった最も低いレベルであり、3はランサムウェア攻撃またはネットワーク 障害などの最も深刻なインシデントになります。 問題を適時に解決できない場合、技術者はさらに経験豊富な技術者に問題を移行させます。 次にNOC エンジニア は、発生している問題のトラブルシューティングを行い、ネットワークの ダウンタイム と 接続性 の問題を今後回避するための方法を調べます。
企業の中には、 NOC を社内で運用することを選択し、インフラストラクチャーおよび運用ハブを、 データ・センター内にあることの多いオンプレミスに配置している場合もあります。 しかしその他の企業では、この作業はネットワークとインフラストラクチャーのモニタリングおよび管理を専門とする第三者にアウトソーシングされています。
NOC は ネットワーク・システム を監視することで、データ・ストレージの管理、ソフトウェアの更新、および 接続性の確保を行います。 NOC は、以下の業務および運用などを行います:
社内に配置されている、または第三者の取引先を介して契約が交わされているのかを問わず、 NOC は企業に多くの利点を提供します。
社内 向けNOC にはかなりのリソースが必要となりますが、一部の企業テックまたは通信業者にとっては、その投資を行う価値があります。 そのような企業は、ネットワーク運用に対するコントロールを高いレベルで維持するために、自社ネットワークを社内で管理することを優先しています。
その他の企業、政府機関、または大学は、スタッフに対して、必要とされる膨大なリソースを割り振ることおよび社内チームを管理することは、望まないかもしれません。 そのような企業にとっては、 NOCをアウトソーシングし、熟練した専門家と信頼できるベンダーが作業を管理することは、費用対効果を高め、作業量を削減することになります。 そのような企業の場合、第三者 NOC が高品質で標準化されたネットワークの管理を提供し、社内チームの配置、管理、および資金調達の必要はありません。 NOCは会社の既存の労働力の延長として機能するため、 NOC によって会社の主要な技術スタッフは、中核業務に集中できるようになります。
NOC と セキュリティー運用センター (SOC)は、いずれも基幹業務の機能を果たしますが、 ネットワーク運営センター、 セキュリティー運営センター、およびヘルプ・デスクには、目的において大きな違いがあります。 問題発生時には、3つのすべての役割が支援を提供しますが、 ヘルプ・デスク は多くの場合、 エンド・ユーザーにより重きを置いています。 それぞれの違いを見ていきましょう。
上述のように NOC は、ネットワークの 稼働時間 の確認および問題の迅速な特定を行うために、 ネットワーク管理 に焦点を当てています。 そして通常、シームレスな体験を確保するために、舞台裏で作業しています。
SOC も舞台裏で作業しますが、ネットワークおよび 情報セキュリティーに焦点を当て、 脅威分析 の実行、およびお客様のネットワークへの攻撃に対するモニタリングを行っています。 SOC は、異常を検知し、発生した場合にサイバー攻撃を軽減するように訓練されています。 NOCが24時間365日のネットワーク接続性を確保することを使命としている 一方で、 SOC は脅威を評価して、24時間365日のネットワークを最終的には中断する可能性のある攻撃に対し、保護を構築しています。
ヘルプ・デスク は、3つの役割の中でも、ネットワークに関する問題の特定を行っています。 ただし、 ヘルプ・デスク は、ネットワークの 接続性に中断が生じている内勤者、または設備の接続性に問題のあるフィールド技術者などの、主に エンド・ユーザーとやり取りを行います。 NOC は エンド・ユーザーとやり取りをすることがほとんどない代わりに、 マネージド・ サービス・ プロバイダー や会社の社内ITチームと直接協力します。
いずれのチームも単独で作業は行いません。 NOC は、 ヘルプ・デスクをサポートするために電話応対もできます。 たとえば、お客様のサービス担当者がネットワークにログインする際に問題がある場合は、まず最初の問い合わせをヘルプ・デスクに行い、そこで解決しない場合に、 NOCにエスカレートされることになります。
5G、エッジ・コンピューティング、モノのインターネット(IoT)により、 通信会社 のネットワーク・サービスへの需要は次第に高まっています。 数百万ものエンドポイントを持つネットワークにより、システムの監視および インシデント管理 が困難になる場合があります。
Ericsson社 (IBM外部へのリンク)は、2024年までに 、モバイルの拡張されたブロードバンド向けの5G登録数が15憶、およびグローバルなセルラーIoTの接続数が41憶になると予測しています。 使用量およびネットワークに接続されているデバイスの数は膨大となり、人間の能力ですべてのインシデントに対応することが困難になっています。 数百万もの着信アラームにトラブルシューティング を行うことは、応答時間の遅れおよびエンジニアへの負担をもたらす連鎖的な問題につながる可能性があります。
これらの新しい製品の複雑性に対処するために、人工知能(AI)および 自動化 は、ネットワーク運営において着信データを迅速に分析し、数百万ものエンドポイント全体の問題が生じると同時に修正することを可能にしています。 さらに、AIの高度な分析および機械学習機能によって、 NOC の運営を事後対応型から事前対応型にシフト可能となっています。
この方法でAIを使用することは、 ネットワークの可観測性と呼ばれます。 それによって、 トラブルシューティング や容量プランニングなどの低いレベルの多くの意思決定活動が、エンジニアからネットワークの可観測性ツールにシフトします。問題解決は、ネットワークの可観測性ツールで行われることになります。 その結果、エンジニアの機械的な手順で行うタスクが減り、上層に エスカレート する一般的な問題の数が削減されることにより、より大きな問題およびネットワークの最適化に焦点を当てる時間が創出されます。
1つの例として、通信 サービス・プロバイダー (CSP)が AI技術 を使用している方法が挙げられます。 AIは、単にデバイスごとに分析するのではなく、 ネットワーク・システム がどのように全体的に機能しているのかに関する、より深い洞察を提供します。 これらのツールは、CSPを、お客様に影響を及ぼす前に問題が修正されるような、より自動化されたネットワーク運用に移行しています。
ブラジルで400万人以上の加入者を持つ Nextel社 は、 稼働時間 を維持して 停電を最小限に抑えるために、ネットワーク運営技術の改善方法を探していました。 サービス時間は特に課題であり、ネットワークのインシデントへの対応に平均30分かかっていました。 Nextel社は、応答運営を事後対応から事前対応にシフトして、さらに応答を予測することで、ユーザーの期待に応え、 ダウンタイムを短縮する方法を探りました。
Nextel社は、IBM Netcool Operations Insightを使用して、2万5,000以上の要素を持つネットワークをモニターします。 予測の的確性を高めるために、同社はIBM Watsonのコグニティブ技術を組み込み、 ネットワーク・パフォーマンス に関するさらに深い洞察を得て、問題のある領域を特定しました。
このAI技術を使用することにより、Nextel社では、ネットワーク・インシデントに対する応答時間が83%短縮され、30分から5分になりました。 さらに重要なことにNextel社は、 24時間365日のモバイルの 接続性によって、顧客に対するサービスの改善を実現できました。