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DIMM
公開日: 2024年3月21日
寄稿者: Josh Schneider、Ian Smalley
DIMM(Dual Inline Memory Module)は、デスクトップ、ノートPC、サーバーで使用される一般的なタイプのコンピューター・メモリー・モジュラー・ハードウェアであり、単一のプリント回路基板上の複数のランダム・アクセス・メモリー・チップ(RAM)で構成されています。
DIMMは、両面ピン接続でコンピューターのマザーボードに接続され、SIMM(シングル・インライン・メモリー・モジュール)など従来タイプのRAMデータ転送ハードウェアよりも本来は高速で効率的なネイティブ64ビット・データ・パスのスループットを可能にします。
DIMMにはさまざまな構成とフォーム・ファクターがあり、そのほとんどは一般的なDIMMスロットに適合するようにJEDEC(合同電子デバイス委員会)によって標準化されています。一般的に、パーソナルコンピューター(PC)には標準の133.35mm(5.25インチ)のDIMMが必要で、ノートPCにはより小型の67.6 mm(2.66インチ)のSO-DIMM(小型外形デュアル・インライン・メモリー・モジュール)が必要です。DIMMは、コンポーネントの物理的な寸法に加えて、さまざまなタイプのRAMでも使用できます。
最新のワークステーションではDIMMメモリー・チップがよく使われていますが、コンピューターに最適なDIMMの種類は、ハードウェアの物理的制約と対象とするアプリケーションによって異なります。
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基本的に、DIMMはRAMモジュールの一種であり、特定のタイプのピン・コネクターを使用し、複数のRAMチップをコンピューター・システムに追加し、消費電力を増やさずに中央処理装置(CPU)、データ転送、スループット速度を効率的に向上させます。コンピューター・システムでは、リアルタイムの作業の実行でいま使用しているデータを、RAMで一時的に保管しています。デジタル・ビデオのレンダリングやオンライン・ゲームなど、要求の厳しいアプリケーションでは、大量のRAMを必要とします。コンピューター・システムはRAMが不足していると、動作が遅くなったり、タイムアウトしたりします。
一般に、RAMなどの高速で高価な形式のデータ・ストレージは、メモリーと呼ばれ、安定した安価なストレージ・ハードウェアまたはコンポーネントはストレージと呼ばれます。コンピューターは、ほとんどのデータ、特にいま必要ではないアプリケーション・ファイルやドキュメント、メディアなどのデータを保持するためにストレージを使用しています。コンピューターは、メモリー、つまりRAMを使用して、刻々と変化する活動や機能に関連するまたは必要なデータやファイルにアクセスして管理します。
ほとんどのRAMは、データを保存するために定電力を必要とし、システムの電源が失われると保存されているデータがすべて失われるため、揮発性メモリーとされています。そのため、コンピューターは、ソリッド・ステート・ハードドライブなど、定電力を必要としない不揮発性のメモリーを長期保存に使用しています。
RAMには主に、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)とDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)の2つのタイプがあります。1960年代初頭に開発されたSRAM技術は、トランジスタを使ってデータを保存します。高速で効率的ですが、サイズが大きく高価です。しかし1968年に、IBMの研究者Robert Dennardは、1970年にIntel社によって開発された最初のDRAMチップとなるものを発明し、現代におけるコンピューティングの最も重要な進歩を達成しました。このイノベーションによりRAMの機能が大幅に向上し、この影響を私たちは現在でも感じることができます。SRAMタイプのメモリー・セルはいまもなお一部の用途に使用されており、DRAMチップには多くのサブカテゴリーもありますが、DRAMはRAMとほぼ同義になるほど主流となっています。
SIMM(シングル・インライン・メモリー・モジュール)と比較して、DIMM(デュアル・インライン・メモリー・モジュール)の主なイノベーションは、両面ピン・コネクターです。
SIMMでは、RAMチップ同士が短絡し、モジュールの片側にのみデータが通されます。ただし、DIMM RAMでは、モジュールの両側にあるコネクター・ピンを利用することで、2倍のデータレートのスループットを実現できます。
SIMMで使える最大データ・ストレージはクロック・サイクルあたり32ビットであるため、SIMMモジュールはペアで使用され、SIMMあたり5Vの電圧消費で標準の64ビット・データ・パス転送速度を実現します。SIMMでは4MB~64MBのデータ・ストレージが使えます。前述したように、SIMMには回路基板の片面のみにコネクターがあります。
コネクターの数を2倍にすることで、DIMMはSIMMの容量を効果的に2倍にでき、必要な電力はわずか3.3Vになります。DIMMにはSIMMスロットとの下位互換性がないため、このイノベーションにはコンピューターのマザーボード上に特殊なDIMMスロットが必要です。ただし、DIMM型メモリーは、エネルギー効率が高く、32MB~1GBのストレージの単一のDIMMユニットとして最新のコンピューター・システムの多くにメモリーを追加する際、最適なソリューションとなっています。
特徴的な両面ピン・コネクターに加え、最新ユニットは便利な特徴をいくつも備えていることが多く、DIMMは多種多様なコンピューティングに最適となっています。
システムのメモリー・アーキテクチャー内で、DIMMはメモリ・ランクと呼ばれる個々のDRAMチップを個別に管理します。最新のプロセッサーで使用する複数メモリー・ランクにおける複数の作業のインターリーブ・プロセスに対応するには、複数のランクへ同時アクセスできることが必要です。例えば、CPUがあるランクからデータを書き込みながら別のランクからデータを読み取り、作業が完了すると両方のDRAMチップを消去できるため、ボトルネックのない高速な処理が可能になります。
DIMMは、より高い転送速度を可能にするためにコンピューターの内部電気データとクロック信号のタイミングを厳密に制御するダブル・デート・レート(DDR)カテゴリーなど、年月を経てもメモリー・テクノロジーの進歩に多用途で対応できることが証明されています。DDR、DDR2、DDR4、DDR5規格をサポートするDIMMのバリエーションはすぐに入手可能です。さらに、不揮発性DIMM(NVDIMM)は特殊な不揮発性RAMのオプションもサポートしているため、電源がなくてもデータを保持でき、予期せぬシステム・クラッシュなどの災害復旧にすばやく対応できます。
また、DIMMは、データ転送で使用されるビットとは別に余分なビットを分割して、送信中に発生する可能性のある不正確さを検証して修正する、シングル・エラー訂正、ダブル・エラー検出(SECDEC)プロトコルなどのECC方式に対応しており、災害復旧に役立ちます。
DIMMは最新のコンピューティング・ハードウェアとともに進化し、さまざまなタイプのマザーボードに適合するように標準化されています。ラックマウント型サーバーの開発に伴い、DIMMボードは狭いスペースに収まるように小型化され、データセンターのフットプリントが削減され、携帯型のコンピューティングが可能となりました。一般的なフォーム・ファクターには、SO-DIMM(小型外形デュアル・インライン・メモリ・モジュール) やさらに小型のミニDIMMなどがあります。
RAMの種類に応じて、DIMM各種には独自のクロック周波数や速度、データ、アドレス、制御ラインを管理するためのバスがあります。そのため、DIMMはさまざまなデータ転送速度を提供して、特定のコンピューター・システム固有の要求を満たすことができます。
サイズや速度・容量のほかに、DIMMの種類は、DIMM自体の独自の機能的な特徴や、使用されるRAMチップの種類によっても区別されます。
SIMMと比較して、デュアル・チャネルDIMMアーキテクチャーにより、DIMM(デュアル・インライン・メモリー・モジュール)は従来モジュールの2倍の機能を実現します。
さらに、DIMMには現世代の多くのメリットがあり、DIMMは、2つ、4つ、6つ、または8つの個別のDIMMをサポートするDIMMスロットで設計された最新のコンピューティング・システムに最適なソリューションとなっています。DIMMバッファーはCPU信号を処理してメモリーの負荷を軽減し、デュアル・チャネル設計により、メモリー・モジュール全体にデータを分散して複数のリクエストの高速インターリーブを実行できます。特に要求の厳しいユースケースでは、トリプル・チャネルやクアッド・チャネルDIMMも利用できます。PCから要求の厳しいデータセンターまで、高度なDIMMソリューションが最先端のコンピューティングを可能にしています。
ランサムウェアの脅威を迅速に検知し、サイバー・レジリエンスとパフォーマンスおよび電力効率性を向上します。次世代FlashCoreモジュール4(FCM4)は、サイバー攻撃の発生時に回復力のあるデータ・ストレージを提供します。IBM Storage FlashSystemのAI対応サイバー脅威検知により、リアルタイムの脅威を迅速に特定して対応します。
ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)ソリューションは、高速でインテリジェントなネットワーク・ファブリックを使用してサーバーとストレージを接続します。高可用性、拡張性、実証済みのデータ・セキュリティーを備えているため、お客様は安心して戦略に集中できます。パフォーマンス、信頼性、効率を向上させるスマートなデータセンターをご活用いただけます。
データセンターとは、アプリケーションやサービスを構築、実行、提供するためのITインフラストラクチャーや、そのアプリケーションやサービスに関連するデータを保管、管理するためのITインフラストラクチャーを収容する、物理的な部屋、建物、または施設です。
メインフレームは、最高レベルのセキュリティーと信頼性を備え、毎日最大1兆件のWebトランザクションを処理するように設計されたデータ・サーバーです。
データ・ストレージとは、進行中または将来のオペレーションのためにデジタル情報を記録および保存する磁気、光学、または機械メディアのことを指します。
フラッシュ・ストレージは、データの書き込みや保管にフラッシュ・メモリー・チップを使用するソリッド・ステート・ストレージ・テクノロジーであり、1秒あたりの入出力操作(IOPS)で知られています。
ソリッドステート・ドライブ(SSD)は、半導体ベースのストレージ・デバイスで、通常はNANDフラッシュ・メモリーを使用して永続的なデータを保存します。ソリッドステート・テクノロジーは、高速フラッシュ・メモリーによってストレージを変革しています。
災害復旧(DR)は、破壊的な事象によって生じるデータ損失や業務の中断を予防または最低限に抑えるIT技術とベスト・プラクティスで構成されています。