医療における人工知能とは

機械学習は、医療データの処理に役立ち、医療従事者に重要な洞察を与え、医療成果や患者エクスペリエンスを向上させることができます。

Doctors and scientists looking at screens of Magnetic Resonance Imaging (MRI) 3 Tesla twin speed scanner

医療におけるAIの活用方法

医療における人工知能では、医療成果や患者エクスペリエンスの向上を図るため、医療データを検索し、洞察を明らかにするために機械学習モデルを使用します。 近年のコンピューター・サイエンスや情報科学の進歩により、人工知能(AI)は急速に現代の医療に欠かせないものとなってきています。 AIアルゴリズムおよびAIを活用したその他のアプリケーションが使用され、臨床現場や進行中の研究で医療従事者をサポートしています。

現在、医療現場における最も一般的なAIの役割は、臨床での意思決定支援と画像解析です。 臨床の意思決定支援ツールは、患者に関連する情報や研究への迅速なアクセスを可能にすることで、医療提供者が治療、投薬、メンタル・ヘルス、その他の患者に必要なものについて意思決定できるように支援します。 医用画像処理では、CTスキャン、X線、MRIなどの画像の解析にAIツールが利用され、人間の放射線技師が見逃す可能性がある病変やその他の所見を見つけることができます。

また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが多くの医療システムにもたらした課題に立ち向かうため、世界中の多くの医療機関ではAI対応の新しい技術の実地試験を開始しています。これには、患者のモニタリングを支援するためのアルゴリズムや新型コロナウイルス患者をスクリーニングするためのAI活用ツールなどがあります。

これらのテストの研究と結果は引き続き収集されており、医療でAIを活用するための全体的な基準はいまだ定義中です。 ただし、AIが臨床医や研究者、そして彼らが担当する患者にメリットをもたらす機会は着実に増えています。 現時点では、AIが、現代医療を形成し支えるデジタル・ヘルス・システムの中核となることに疑問の余地はありません。


医療におけるAIの適用

研究の迅速化や臨床医による適切な判断の支援など、AIが医療活動にプラスの影響をもたらす方法は多数あります。 以下にAIの使用例をご紹介します。

病気の検出と診断におけるAI

人間と違い、AIは眠る必要がありません。 機械学習モデルを使用すると、集中治療中の患者のバイタル・サインを監視して、特定の危険因子が増えた場合には臨床医に警告することができます。 心臓モニターなどの医療機器はバイタル・サインを監視できますが、AIはそういった機器からデータを収集し、敗血症などの複雑な疾患を見つけ出すことができます。 あるIBMのお客様は、重度の敗血症を75%の精度で検出する未熟児用の予測AIモデルを開発しました。

パーソナライズされた病気の治療

仮想AIアシスタンスの支援によって、精密医療(患者にあった最適な治療)への対応がより容易になる可能性があります。 AIモデルは好みを学習して保持できるため、患者に対して、カスタマイズ済みでリアルタイムの推奨をAIが24時間体制で提供できる可能性があります。 健康管理システムで患者の病歴や好み、個人的なニーズに基づいて質問に答えるAI活用の仮想アシスタントを、24時間体制で患者が利用できるように提供できます。人が変わるたびに情報を繰り返し伝える必要はありません。

医用画像処理のAI

医用画像処理ではAIがすでに大きな役割を果たしています。 調査によると 、人工ニューラル・ネットワークを採用したAIは、人間の放射線科医と同じくらい効果的に乳がんやその他の疾患の兆候を検出します。 また、AIは、臨床医が病気の疾患の初期徴候を発見する際に役立つだけでなく、患者の病歴から重要な部分を検出して関連する画像を提示します。そのため、臨床医は経過確認が必要な膨大な数の医療画像を管理しやすくなります。

臨床試験の効率化

臨床試験では、患者の転帰に医療コードを割り当て、関連データ・セットを更新するのに多くの時間が費やされます。 AIによって医療コードの検索がより迅速かつインテリジェントに行なわれるので、このプロセスは短縮できます。 最近、IBM Watson Healthのお客様2社ではAIを活用することで、医療コードの検索回数を 70%以上削減できることを突き止めました

医薬品開発の加速化

創薬は多くの場合、医薬品開発でも最も開発時間が長く、最もコストのかかる分野の一つです。 AIは、主に2つの方法( 適切な医薬品設計の開発 および 見込みのある新薬の組み合わせの発見)で新薬の開発コストを下げることができます。 AIを使えば、ライフサイエンス業界が直面しているビッグデータの課題の多くが克服される可能性があります。

 


医療におけるAIのメリット

情報に基づいた患者ケア

医療用AIを臨床医のワークフローに組み込むことで、治療方針を決定する際、医療提供者に貴重なコンテキストを提供できます。 トレーニングされた機械学習アルゴリズムは、患者がまだ診察室にいる間に、治療や処置に関する根拠に基づいた洞察を伴う有益な検索結果を臨床医に提供することで、調べるための時間を短縮することができます。

エラーの削減

AIが患者の安全性の向上に役立つという根拠があります。 AIが患者の安全性に与える影響を調査した53本の査読付き研究論文の最近のシステマティック・レビューでは、AIを活用した意思決定支援ツールがエラー検出や薬剤管理の改善に役立つ可能性があることがわかりました。

医療費の削減

AIが医療業界全体のコストを削減できる可能性がある方法は多数あります。 最も期待できるものとして、投薬ミスの削減、カスタマイズされた仮想健康管理支援、不正防止、より効率的な管理や臨床ワークフローの支援などが挙げられます。

医師と患者のつながりの強化

多くの患者は、通常の診療時間外に質問を思い付きます。 医療機関が診療時間外である場合、AIの支援によって、基本的な質問への回答や患者への情報の提供が可能なチャットボットを介した、24時間体制のサポートを提供できます。 また、AIは質問に優先順位を付け、詳細確認のために情報にフラグを立てて、さらに注意が必要な健康状態の変化を医療提供者に通知できることもあります。

コンテキストを活用した関連性の提示

ディープ・ラーニングの主なメリットに、AIアルゴリズムがコンテキストを活用して異なるタイプの情報を区別できることがあります。 例えば、カルテに、患者が現在服用している薬のリストと医療提供者が推奨する新しい薬のリストが含まれている場合、十分にトレーニングされたAIアルゴリズムが、自然言語処理を使用して患者の病歴にどの薬がふさわしいかを識別できます。


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