銀行業界のモダナイズに伴い、顧客は、洗練された迅速なデジタル・サービスが銀行体験の中核となることへの期待を強めています。さらに、オープン・バンキングの取り組みが広がってきたことにより、銀行は第三者プロバイダーと協力して顧客に新しいサービスを提供することが不可避となっています。これは機会とも言えるでしょう。
Société Générale Maroc社(Société Générale社)は、中核的な銀行アプリケーションを中心に一連のモノリシック・アプリケーションを構築していました。これら旧来の補助的システムは長年にわたって信頼性が実証されていましたが、需要の増加に伴い、その性能の低さのおかげで顧客体験に影響が出始めていました。補助的システムを支えるメッセージング・インフラストラクチャーとエンタープライズ・サービス・バス(ESB)により、新しいデジタル・サービスの追加や外部パートナーとのデータ共有は複雑化していたのです。さらに、同行には性能の問題を効果的に診断するためのオブザーバビリティーも欠けていました。
ベスト・プラクティスに従い、高品質なデジタルカスタマー・サービスを通じて新規顧客を獲得するため、Société Générale社はITアーキテクチャーを、マイクロサービス・ベースによるAPIファーストのアプローチを通じてモダナイズすることを決定しました。Société Générale社の広報担当者は次のように述べます。「イノベーションは常に当社の中核となる価値観の1つでしたが、モノリシック・アプリケーションとレガシー・ミドルウェアに足止めされていました。私たちは、クラウドネイティブのマイクロサービスへの移行に、適応性を高める機会を見出したのです」
モノリシック・アーキテクチャーからマイクロサービス・アーキテクチャーへの移行を実現するため、Société GénéraleはIBMプラチナ・ビジネス・パートナーであるPower Maroc社(PowerM社)にサポートを依頼しました。Société Généraleの広報担当者は述べます。「PowerM社は、モロッコの銀行業界において、顧客から高い評価を得ていたため、私たちの目に留まりました。IBMのソリューションに関する深い専門知識を持つ同社なら、この困難なプロジェクトを導いてくれると信じました」
PowerM社は、IBM Expert Labsと協力して、銀行のアプリケーションの徹底的な分析を行いました。その結果、Société Générale社がマイクロサービス・インフラストラクチャーに移行する前に、本番環境に影響を与えている根本的な性能問題を解決する必要があることが明らかになりました。また、セキュリティを強化する必要もありました。
最初のステップとして、PowerM社は銀行の既存のIBM® GuardiumおよびIBM® MQシステムを更新しました。Guardiumは機密に属する顧客データのセキュリティ確保に役立ちます。これは、Société Générale社外部サービス・プロバイダーとの関係を拡大する上で特に重要になります。最新バージョンのIBM MQによって提供される可用性の高いアプリケーション間のメッセージングにより、銀行はビジネスのピーク時でも高い信頼性と高性能を確保できるようになります。同行は現在、 IBM® Instanaソフトウェアの導入を進めており、これによりITチームはインフラストラクチャー全体についての洞察を得ることができ、問題解決を自動化して、性能の問題解決にも役立てられるようになります。
Société Généraleは、この性能、セキュリティー、オブザーバビリティーの強固な基盤を基に、PowerM社と連携してIBM Cloud Pak for IntegrationとIBM Cloud Pak for Applicationsの導入に取り組み、モダナイゼーションを進めています。また同行は、Red Hat OpenShiftプラットフォーム上に構築されたPowerM社独自のコンテナ化プラットフォームであるrKubeの導入も進めており、これによりサービス統合が強化され、イノベーションが大規模に促進される予定です。
PowerM社とIBMのサポートにより、Société Générale社は技術的負債を削減し、性能の問題を解決しました。これらの改善は、顧客が信頼性の高いデジタル・サービスを利用できるようになる一方、その背後では銀行がマイクロサービス・アーキテクチャに移行するために役立ちます。
トランスフォーメーションが続く中、同行はイノベーションの加速と顧客エンゲージメントの向上を期待しています。IBM Cloud Pakソリューションによって促進される統合は、Société Générale社が新しいAPIを導入して、第三者とのコミュニケーションにおける摩擦を減らせるようになるために役立ちます。この統合により、Société Générale社は新しいデジタル・サービスをよりダイナミックに開発できるようになります。
既存の機能を再構築することで、マイクロサービスをバックグラウンドのコンテナで実行できるようになり、ソフトウェア開発の迅速化と効率化が約束されます。同行は、新しいアプリケーションをそれぞれ個別のエンティティーとして構築するのではなく、共有マイクロサービスからアプリケーションを組み立てることができるようになりました。この方法により、セキュリティーの確保とソフトウェアを最新の状態に保つことが容易になります。新しいテクノロジーを追加する場合でも、Instanaを使用してオブザーバビリティーを向上させ、問題解決を迅速化することでIT管理を簡素化できることが期待されます。
Power Maroc社のCTO(最高技術責任者)であるWalid Largou氏は次のように述べています。「Société Générale社のモダナイゼーションへの取り組みをサポートするために、私たちは常により広いビジネス・コンテキストにおけるソリューションを検討しています。重要なのは、個々の技術的問題を解決することだけではなく、私たちが得られるビジネス・チャンスを一歩下がって検討することです。私たちは、引き続きIBMとの提携を通じて、成功に向けた適切なアーキテクチャーをSociété Générale社に提供できることを楽しみにしています」
こうした現在進行中のモダナイゼーションの取り組みを通じて、Société Générale社の顧客は、新しくより優れた銀行取引方法というメリットを得られることになります。PowerM社およびIBMと連携して導入を進めている将来を見据えたマイクロサービス・アーキテクチャーにより、同行は顧客のニーズにより効率的に応えられます。また、業界の変化を予測し、革新的なデジタル・サービスを大規模に導入できるようになります。
Société Générale Maroc社のCIO兼COOであるAdil El Kourri氏は、次のように結論付けています。「持続可能なシステムを構築するには、脆弱な構造への依存を避け、インフラストラクチャーとプラットフォームの基盤を強化することが不可欠です。レジリエンスとモジュール性を備えたIBM Cloud Pakは、この変革の基盤となり、セキュリティーの強化やパフォーマンスの最適化、そして特に人口知能におけるイノベーションの機会を提供します。IBMなどのパートナーの支援を受けたこの変革により、Société Générale Maroc社は革新的で先進的な銀行としての地位を確立し、技術的な堅牢性、業務の卓越性、イノベーションを組み合わせた戦略の基盤が整いました」
Société Générale Maroc社、またはSociété Générale Marocaine de Banques社(Société Générale社)は、カサブランカに本社を置くモロッコの商業銀行です。Société Générale France社の子会社であり、2024年11月2日にBank Al-Magrib社が承認した買収後は、Saham Groupが大多数の株主となっています。1913年に最初の支店を開設したSociété Générale社は、400の拠点と4,000人の従業員を擁する規模に成長し、約800,000の顧客に一連の小売銀行サービスを提供しています。現地経済の金融における中心的存在であるSociété Générale社は、責任、イノベーション、チームワークの構築に取り組んでいます。
PowerM社は、クラウドおよびアプリケーションのモダナイゼーション・サービス、ならびに包括的なITインフラストラクチャーの提供に特化した革新的なテクノロジー・ソリューション・プロバイダーです。IBMプラチナ・ビジネス・パートナーであるPowerM社は、クラウド・コンピューティングとアプリケーションのトランスフォーメーションにおける最先端の戦略で組織に力を与えるための、強力なサービスのポートフォリオを提供します。優れた実績を持つPowerM社は、権威あるIBM Beacon Awards(2018年、2019年、2021年)でファイナリストに5会選出され、ハイブリッドクラウドにおいてIBM TechXchange 2024 Award of Excellenceを受賞しました。これらの賞は、ビジネスの成功とデジタル・トランスフォーメーションを推進するための、革新的で影響力のあるソリューションを提供するというPowerM社のコミットメントを反映するものです。
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