将来への基盤
プロセスの自動化で顧客中心のサービスを提供
CDG Prévoyanc社のビル

Prévoyanceは、フランス語で「先見の明」、つまり将来に必要となるものを理解することを意味します。

モロッコの金融機関、Caisse de Dépôt et de Gestion(CDG)の年金・積立基金部門であるCDG Prévoyance社は、経済的・社会的発展を支える退職金制度や連帯基金を管理することで、モロッコの将来の必要条件を満たせるように支援しています。

その使命を効果的に遂行するために、同社は最適化された顧客体験を提供することを目指して、新興テクノロジーを活用してデジタル、アジャイル、スケーラブルなソリューションを展開しています。

CDG Prévoyance社のサポート責任者であるMouhyi Eddine Zakariya氏と、組織および情報システム責任者のAdil Ellaia氏が、同社のイノベーションへの取り組みを主導しています。「私たちの主な目標は、ITの発展を通して、より短い時間で、最も効果的なチャネルでお客様に最高のサービスを提供することです」とZakariya氏は言います。

CDG Prévoyance社は最近、より顧客中心のサービスを確立するために、デジタル化の取り組みを始動しました。「私たちは、最終顧客と直接仕事をしたことがありませんでした」とEllaia氏は言います。「基金の加入者が勤務している官公庁を通じてのみ、サービスを提供していましたが、加入者たちはより多くのアクセスを求めていました。そこで、運用モデルを変革し、初めて加入者と直接対話するために、彼らのところへ行くことにしました」

広範なプロセスの自動化

 

50のコア・ビジネス・プロセスを自動化

サイクルタイムの短縮

 

 

5日かかっていたプロセスがわずか1時間で完了

目的は、顧客の真のニーズを満たすことであり、顧客のニーズが何であるかを私たちが認識することではありません。 Mouhyi Eddine Zakariya Support Director CDG Prévoyance

しかし、この取り組みには大きな課題がありました。

CDG Prévoyance社は、退職年金、貯蓄プラン、従業員給付制度のプログラムを促進し、保険や投資サービスも提供しています。これらのプログラムは処理の負荷が重く、毎月最大で10万件の文書が生成されます。同社は、100万人を超える加入者に向けて、直接的かつ効率的なサービスを拡張するために、文書をデジタル化し、自動化を取り入れてプロセスを変革する必要がありました。

モダナイゼーションとオートメーション

CDG Prévoyance社は、IBM Cloud Pakソリューションを導入しました。まず、アプリケーション・アーキテクチャをモダナイズし、続いてプロセスをデジタル化および自動化して効率を大幅に向上しました。

CDG Prévoyance社は、IBM Cloud Pak for Applicationsソリューションを導入したことで、従来のIBM WebSphere Application Serverと、マイクロサービスを開発するための軽量のJavaアプリケーション・サーバーであるIBM WebSphere Libertyの両方を利用できるようになりました。従来のアプリ環境とクラウドネイティブのアプリ環境を組み合わせることで、複雑でモノリシックなJ2EEアプリケーションを柔軟なマイクロサービス・アーキテクチャーに変換することができました。アプリケーション自体は、セキュリティー要件を満たすために引き続きオンプレミスに常駐させるものの、モダナイズされたアーキテクチャーにより、ハイブリッドクラウドへの展開とさらなるイノベーションに向けた準備を整えました。

マイクロサービス・アーキテクチャーにより、IBM Cloud Pak for Automationソリューションを使用して、プロセスの自動化に備えることができます。新たな開発のために特定のプロセスを分離する機能により、同社はIBM Cloud Pakの以下の機能を使用して、約50の核となるビジネス・プロセスを自動化しました。

• ルールの自動化:年金と福利厚生の処理には、無数のルールが存在します。CDG Prévoyance社は、IBM Cloud Pakソリューション内にルール実行エンジンを組み込んで、プロセスを正確に実行し続けています。

• データキャプチャ:CDG Prévoyance社が提携している、すべての公的機関がここまでデジタル化を進めているわけではありません。紙の文書を送ってくる組織もあります。CDG Prévoyance社は、これらの文書のデータを簡単にデジタル化し、デジタル・プロセス・フローに統合できるようになりました。

ビジネス・プロセス管理:プロセス全体に関連するすべてのアクティビティを管理するためのすべての基盤です。。何が完了したか、何が未完了か、誰が何をしているのか、いつ行うべきかをユーザーに知らせるコンポーネントです。

ご想像のとおり、これらの変化は、私たちにとって大きな意味があります。 Adil Ellaia Organisation and Information Systems Director CDG Prévoyance
顧客満足度と国際的な認知度

CDG Prévoyance社の変革は、加入者にとって、サービスの利便性とスピードの向上につながります。以前は、年金証明書の処理に数日ほどかかっていました。そして、加入者は通常、その証明書を入手するために、CDG Prévoyance社の支店に出向く必要がありました。今ではほぼ瞬時に処理され、すべてオンラインで完結しています。

もう1つの例は、自己申告処理、つまりCDG Prévoyance社のプログラムの登録確認です。自己申告ファイルは膨大で複雑です。ファイルを受信したら、その情報をフィルタリング、処理、検証する必要があります。以前は5日ほどかかっていましたが、今では約1時間でできるようになりました。

「ご想像のとおり、これらの変化は、私たちにとって大きな意味があります」とEllaia氏は言います。「年金や給付は、加入者にとって非常に価値のあるものです。そして、私たちが行ったこれらの改善により、加入者はより簡単に手続きを始めて、よりスピーディーに給付を受けられるようになりました。」

新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、デジタル化が極めて重要でした。「CDG Prévoyance社の従業員、顧客、加入者、私たちの誰も、どこにも行くことができませんでした。当社の支店を訪れる、という選択肢はありませんでした。しかし、それにもかかわらず、当社のISのオープン性により、さまざまなユーザーがWebサイトやモバイル・アプリケーションを含めて、当社のWebプラットフォームを直接使用できるようになりました」とEllaia氏は言います。

このレジリエンスに注目したのは、モロッコの人たちだけではありません。CDG Prévoyance社は、ジュネーブに本拠地を置く国際社会保障協会(ISSA)から情報通信技術の認定(Certificate of Recognition of Information and Communication Technologies)を受けた世界初の年金機関です。

Zakariya氏とEllaia氏にとって、称賛を受けることが目的ではありません。顧客が行っていること、つまり将来に備えるために、いま努力を続けることの思い起こさせてくれるものです。「これは、現状を打破する励みになります」とEllaia氏は言います。「私たちは、AIとロボットによるプロセスの自動化を検討しています。サービスと顧客満足度を改善し続けるために、より多くの方法と技術を見つけていきます」

Zakariya氏によると、CDG Prévoyance社は現在、顧客中心のアプローチを新たなレベルに引き上げています。「私たちは、顧客を思考の中心に置くだけでなく、ソリューションの概念化に顧客を取り込むことにしました」。たとえば、顧客主導のハッカソン「Prévoithon 2019」を実施しました。顧客から提出された問題点に基づいて、13のプロトタイプ・ソリューションが開発され、顧客が4名の勝者を選びました。同社は、受賞したプロトタイプをさらに開発し、2020年に運用を開始しました。「このアプローチは、すべての顧客体験プロセスに拡張できます」とZakariya氏は言います。[目的は、顧客の真のニーズを満たすことであり、顧客のニーズが何であるかを私たちが認識することではありません]

CDG Prévoyance社のロゴ
CDG Prévoyanceについて

CDG Prévoyance社(ibm.comの外部へのリンク)は、モロッコの2つの公的機関(1959年設立のCaisse Nationale de Retraiteset d'Assurancesと、1977年設立のRégime Collectif d'Allocation de Retraite)で構成されています。100万人以上の国民に20種類以上の年金基金やその他の社会保障プログラムを提供しています。ラバトに本社を置くCDG Prévoyance社は、全国4つの地域代表を通じて事業活動を行っています。

次のステップ
より速く、より安く、よりスマートに – チャットボットの次の進化 デジタル・トランスフォーメーションを推進し、顧客のコスト削減、効率アップ、コンプライアンス向上を支援 モダナイゼーションとクラウド・イノベーションがマサチューセッツ州ブルークロス・ブルーシールドの文化的変化を主導
脚注

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2021年1月

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