CDG Prévoyance社の変革は、加入者にとって、サービスの利便性とスピードの向上につながります。以前は、年金証明書の処理に数日ほどかかっていました。そして、加入者は通常、その証明書を入手するために、CDG Prévoyance社の支店に出向く必要がありました。今ではほぼ瞬時に処理され、すべてオンラインで完結しています。
もう1つの例は、自己申告処理、つまりCDG Prévoyance社のプログラムの登録確認です。自己申告ファイルは膨大で複雑です。ファイルを受信したら、その情報をフィルタリング、処理、検証する必要があります。以前は5日ほどかかっていましたが、今では約1時間でできるようになりました。
「ご想像のとおり、これらの変化は、私たちにとって大きな意味があります」とEllaia氏は言います。「年金や給付は、加入者にとって非常に価値のあるものです。そして、私たちが行ったこれらの改善により、加入者はより簡単に手続きを始めて、よりスピーディーに給付を受けられるようになりました。」
新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、デジタル化が極めて重要でした。「CDG Prévoyance社の従業員、顧客、加入者、私たちの誰も、どこにも行くことができませんでした。当社の支店を訪れる、という選択肢はありませんでした。しかし、それにもかかわらず、当社のISのオープン性により、さまざまなユーザーがWebサイトやモバイル・アプリケーションを含めて、当社のWebプラットフォームを直接使用できるようになりました」とEllaia氏は言います。
このレジリエンスに注目したのは、モロッコの人たちだけではありません。CDG Prévoyance社は、ジュネーブに本拠地を置く国際社会保障協会(ISSA)から情報通信技術の認定(Certificate of Recognition of Information and Communication Technologies)を受けた世界初の年金機関です。
Zakariya氏とEllaia氏にとって、称賛を受けることが目的ではありません。顧客が行っていること、つまり将来に備えるために、いま努力を続けることの思い起こさせてくれるものです。「これは、現状を打破する励みになります」とEllaia氏は言います。「私たちは、AIとロボットによるプロセスの自動化を検討しています。サービスと顧客満足度を改善し続けるために、より多くの方法と技術を見つけていきます」
Zakariya氏によると、CDG Prévoyance社は現在、顧客中心のアプローチを新たなレベルに引き上げています。「私たちは、顧客を思考の中心に置くだけでなく、ソリューションの概念化に顧客を取り込むことにしました」。たとえば、顧客主導のハッカソン「Prévoithon 2019」を実施しました。顧客から提出された問題点に基づいて、13のプロトタイプ・ソリューションが開発され、顧客が4名の勝者を選びました。同社は、受賞したプロトタイプをさらに開発し、2020年に運用を開始しました。「このアプローチは、すべての顧客体験プロセスに拡張できます」とZakariya氏は言います。[目的は、顧客の真のニーズを満たすことであり、顧客のニーズが何であるかを私たちが認識することではありません]