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Smarter Business

先進事例から学ぶ「サステナブル経営」の現在

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大塚 泰子

日本IBM
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
戦略コンサルティング パートナー
大塚 泰子 氏

 

小野 真理

日本IBM
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
ビジネス・トランスフォーメーション・サービス
アソシエイト・パートナー
小野 真理 氏

※2021年8月23日~2021年9月22日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。部門名等は取材当時のまま。
 

Good Techで実現する「社会課題解決×企業成長」

これまで社会貢献といった文脈で語られることが多かったサステナビリティーやSDGs。しかしESG投資が急速に進むなど投資家や消費者が企業に向ける目も厳しくなり、環境保護などの社会課題解決と企業成長の両立が求められるようになってきた。自社のビジネスモデルやバリューチェーン全体をサステナブルに変革する先進的な企業も登場してきている。サステナビリティーに軸足を置いたビジネス変革を実現するためには、どのようなアプローチが必要なのか――。

サステナビリティーに取り組まないことは企業のリスク

サステナビリティー(持続可能性)に対する捉え方が変わってきている。「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」「グリーントランスフォーメーション(GX)」といった言葉も聞かれるようになり、これまでのようなCSR(企業の社会的責任)、社会貢献といった位置付けではなく、自社のビジネスを長期的な視点でどう変革していくべきかを考えるフェーズにきている。

環境破壊が進めば自社に必要な原材料の調達が維持できなくなる。強制労働による原材料を使ったり、脱炭素の規制を軽視したりする企業は、市場から受け入れられなくなる。環境や自然、社会との関係が健全であって初めて自社のビジネスが成り立ち、顧客・投資家・従業員からの信頼を得られるということだ。自社のビジネスモデル、バリューチェーン全体がサステナブルなものでなければ、企業の成長はおろか持続すら難しくなってしまう。

「理想論としては理解できるが自社にはあまり関係ない」、あるいは「長期的に考えていきたいが、今は目の前の売り上げが大事」と思うかもしれないが、悠長に構えていると手遅れになってしまうかもしれない。事実、すでに多くのグローバル企業が、「サプライチェーン全体でCO2排出量をゼロとすること」を宣言している。

日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業本部 戦略コンサルティング パートナーの大塚泰子氏は、「当然この影響は関連する日本の取引先にも及んできます。例えば、部品のサプライヤーであれば、再生可能な素材の開発、新しい回収システムの構築、回収した素材の再生といった要請に応えることができなければ、取引の継続が困難になってしまう恐れもあります」と警鐘を鳴らす。決して他人事ではないわけだ。

サステナビリティー視点のビジネス変革が急務

サステナビリティーは、“流行”として盛り上がってきたわけではない。そのコアとなる概念がグローバルで生まれたのは1980年代のことで、1990年代にはすでにESG投資の必要性が注目されていた。そして現在ではさまざまな環境規制や投資家からの圧力も受けながら、欧州企業がサステナビリティー活動をリードし、北米やアジアの企業も取り組みを拡大している。また、世界の企業は独自の目標を設定するだけでなく、業界の垂直性やその他の共通の関心事によってコンソーシアムなどを組んで一丸となって取り組んでいる。

対して日本企業はどうか。環境や人権に対する意識は、世界水準と比べると低かったかもしれない。だが、ここにきて状況は大きく変わってきた。ESG投資や東証プライム市場におけるコーポレート・ガバナンスコードなどへの関心の高まりも、それを表している。

「今年の株主総会では、電力会社、商社、銀行といったエネルギーに関わる業種を中心に多くの環境関連の株主提案が出されました。また、EUタクソノミー非財務情報開示、EUの規制などの影響もあり、サステナビリティーへの取り組みは、もはや待ったなしの状況です。企業のビジネスモデルの視点からも、外部からの要請の視点からも、サステナビリティーに軸足を移した変革が急務なのです」と大塚氏は語る。

目指すべきは、「トレードオン」のサステナビリティー

では、企業はどんな姿勢でサステナビリティーに臨むべきなのか。重要なのは、「コストをかけて利益を圧迫しながら社会貢献するのではなく、社会に貢献しながら成長する『トレードオン』を目指すこと」だと大塚氏は言う。

1つの事例として注目に値するのが、ユニリーバの取り組みだ。同社は「サステナビリティーを暮らしの“あたりまえ”に」というスローガンを掲げ、2010年からユニリーバ・サステナブル・リビング・プランを推進してきた。

「事業の規模を2倍にするために生産量を2倍に増やしたところ、工場からのCO2排出量や、家庭で消費された後のゴミの量も2倍に増えてしまったとしたら、それはサステナブルとは言えない」という信念に基づくもので、環境負荷を減らし、社会課題を解決しながら、同時に会社の成長も実現していくというものだ。

これまで多くの企業に散見された環境対策は、自社の事業が与えた環境負荷に対して、それを回復するための活動に対して、得られた利益の一部を投資するというものだった。こうした“罪滅ぼし”的な考え方からいち早く脱却したのがユニリーバで、自社のビジネスとサステナビリティーを混然一体となって両立させる。こうした企業姿勢そのものが、自社のブランド力を高め、顧客とのエンゲージメントを強めていくフックとなる。

さらに一歩進んで、サステナビリティーをテーマに新たなビジネスモデルを構築・展開するケースも出てきている。英蘭石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルとIBMは共同で、新たな収益源や機会を生み出すことを目的として、資源産業に特化したB2Bのマーケットプレース「OREN」を立ち上げた。

日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス アソシエイト・パートナーの小野真理氏は、「参加メンバーは同一エコシステムに参加している、信頼できる製品やサービスをプラットフォーム上で検索し、購入することが可能になりました。このプラットフォームには、汚染物質や温室効果ガスの排出量、消費エネルギー量、環境影響評価(IEA)、旧鉱山の再利用情報、鉱山のライフサイクル評価などの詳細なデータと分析結果が、さらには環境管理やコンプライアンスに関するソフトウェア・プログラムが保存されています。このマーケットプレースが有する情報の3分の1が、サステナビリティーに関連するものです」と紹介する。

さらに日本国内の事例として、三菱重工業が日本IBMと共同で開始したCO2流通を可視化するデジタルプラットフォーム「CO2NNEX™」(コネックス)構築プロジェクトがある。「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す世界各国で、CO2を回収して貯留や転換利用するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)への期待が高まっています。CO2NNEXはCCUSのバリューチェーンをフィジカルとサイバー空間上で可視化することを目指すものです。さらにその証跡を残すことで、投資やコストの観点から事業を検証することも可能とします」と小野氏は説明する。また、販売したいエミッターと購入したい需要家をマッチングさせ、工業や農業、燃料などの新用途に対する供給も実現できることからCO2活用の裾野が広がる。このCO2エコシステムの活性化はカーボンニュートラルを促進することから、いち早くCO2NNEXを導入しCO2流通を整流化することで、地球環境保護を加速することにつながる。

小野氏は、「2社とも自らが有する情報や知見を最大限に活用したプラットフォームを構築しているのが鍵です。このように経営の決断ひとつでサステナビリティーのリーダーに転じて、新たなビジネスチャンスをつかむことも可能なのです」と語る。

なお、この三菱重工業の事例は、2021年9月9日に開催された日経電子版オンラインセミナー「ビジネスモデル変革とテクノロジーで実現するサステナブル経営とは」で詳しく紹介されたので、興味ある方はぜひオンデマンドで視聴していただきたい。

<日経電子版オンラインセミナー「ビジネスモデル変革とテクノロジーで実現するサステナブル経営とは」(9月9日開催)オンデマンド版>

 

自社ならではのサステナビリティーの姿を描く

いくつかの先進事例を紹介してきたが、多くの企業にとって一足飛びにここまでのことを実現するのは難しい。では、どんなステップで考えていけばよいのか。IBMでは以下に示すような4つのステップを定義している。

図:サステナビリティーを進化させる4つのステップ

図:サステナビリティーを進化させる4つのステップ

「まず重要なことは、現在の状態を認識した上で、自社ならではのサステナビリティーの姿を描くことです。この取り組みを支えるためにIBMでは、グローバルで実績ある『サステナビリティー成熟度診断』という方法論を活用します」と大塚氏は語る。サステナビリティー成熟度診断では、サステナビリティー実現に向けて検討すべきポイントを戦略や組織などの10項目をもとにIBMのコンサルタントがヒアリングを実施。先進企業の動向や前述の4つのステップに基づいて目標を定め、サステナビリティーの在り方や優先順位をつけたロードマップを検討する。

さらにこの成熟度診断を通じて明確化された方針と、今後10年程度で起こりうるさまざまなリスク(原材料の枯渇などの自然界の状況、社会・政治情勢など)を踏まえつつ、事業をどのように変革すべきかを一緒に策定する。そしてロードマップに沿ってデジタルを活用し、トレーサビリティーやCO2排出量の可視化など実施すべきテーマに基づいたシステムを構築していく。

図:バリューチェーンごとの主なテーマ

図:バリューチェーンごとの主なテーマ

具体的なソリューションは、「気候リスク、炭素とESGレポーティング」「クリーンな電力と排出管理」「インテリジェント・オペレーションと責任あるコンピューティング」「サステナブル・サプライチェーンとサーキュラリティ」「天候ネットワークとサービス」の5つの領域から提供されているが、「個別のソリューションありきではなく、あくまでも『お客様ならではのサステナビリティー』『全体感を持ったサステナビリティー』を具現化するという観点から、実装まで一気通貫で支援します」と大塚氏は訴求する。

トレードオンを体現する自社ならではのサステナビリティーはどうあるべきなのか――。コンサルティングからテクノロジーの実装まで、豊富なノウハウと知見を有するIBMに相談してみてはいかがだろうか。

「戦略」「テクノロジー」「研究開発」「実践ノウハウ」
4つの強みで企業のサステナビリティー変革を支援するIBMサステナビリティーの実現のためには、全体を見据えたコンサルティング、テクノロジーを活用した実装が不可欠だ。これらに加えIBMでは、サステナブルな世界の実現に貢献する研究開発、IBMが自社で実践してきた知見を生かすことで、サステナビリティー視点でのビジネス変革を支援している。

サステナビリティーに関わる研究開発
IBMの研究開発部門であるIBM Researchでは毎年、今後5年間でビジネスや社会を根本的に変えると考える5つのテクノロジー「5 in 5」を公開している。2020年は、「気候変動を緩和するために二酸化炭素を回収し有用なものに変える」「炭素排出を削減しながら、増加する人口を養うため母なる大地をモデリングする」「世界を見直す前に、バッテリーを再考する」「持続可能な材料や製品を開発し、持続可能な地球を実現する」「より健康な未来のため過去から学ぶ」と、5つのすべてがサステナビリティー関連となっており、科学をもって今日の不確実性に向き合うことで、持続可能な未来に進むことを目指している。

50年にわたる実践
IBMでは50年以上前から環境に配慮した経営、ダイバーシティー&インクルージョンを中心とした社会の健全性を重視した経営を実践してきた。現在は、「Good Tech IBM」を掲げて積極的にサステナビリティーを推進し、2030年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする、人権デュー・デリジェンスに伴う責任ある調達実現のためのブロックチェーンプラットフォームコンソーシアムを立ち上げるなどの活動を実践している。

図:サステナビリティー領域におけるIBMの4つの強み

図:サステナビリティー領域におけるIBMの4つの強み

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※2021年8月23日~2021年9月22日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。部門名等は取材当時のまま。