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[共創のエキスパートたち vol.2] 佐々木 健太朗「お客様の思い、アイデアを、アプリケーションとしてクイックに形にしていく」

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「デジタルを活用した新規事業の開拓といっても、まず何から始め、どのように進めたらよいのかわからない」「デザイン思考の考え方も取り入れながらビジネスを再構築したい」「当社もIoTとクラウドを使ってビジネスを大きく変えたい!」「先進ITで何か新しいことやりたいんだけど、ちょっと付き合ってくれない?」──こんな悩みや課題をお持ちのご担当者に向け、イノベーションを推進するためのヒントとなる情報を連載企画にてお届けします。

IBMでは、皆様の“デジタルの壁”を打破し、イノベーションを共創しています。ビジネス変革に向けたアイデア創出から、先進ITソリューションの最適な活用法を探るPoC(Proof of Concept、概念実証)、現場での実証実験までを素早く実施。その際に、すでに多くのお客様が活用されているのがIBM Garageサービスです。

特別企画「IBM Garage:共創のエキスパートたち」では、デジタルストラテジストやデザイナー、サイエンティスト、エンジニアとしてお客様をご支援している各領域のエキスパートにフォーカスし、担当してきた事例なども交えてご紹介していきます。ぜひ、イノベーション創出への第一歩として、お気軽にご指名いただければ幸いです。

 

第2回「エンジニア 佐々木 健太朗 ── お客様の思い、アイデアを、アプリケーションとしてクイックに形にしていく」

佐々木 健太朗

佐々木 健太朗 Kentaro Sasaki エンジニア

▶IBM Garageなどでの主な担当案件
総合商社様 ポイントサービスシステム構築
自動車メーカー様 IoTプラットフォーム構築
工具卸売業様 仕入先管理プラットフォーム構築

 

最近、特に注目している技術は“クイックの極致”とも言える「サーバーレス」とサーバーレスの基盤となる「コンテナ」です。これまでのシステム開発ではサーバー環境の構築やメンテナンスが必須であり、それはクラウドでも同じでした。しかし、サーバーレスなら開発者はサーバーの構築・管理に煩わされることなくアプリケーション開発を通じた価値提供に集中できます。これはお客様にとっても望ましいことだと思いますので、サーバーレス技術については引き続きフォローし、IBM Garageでも活用していきたいと思います。

ブロックチェーンを活用してポイントサービスシステムを構築

私はエンジニアとして、さまざまな業界・業種のお客様のアプリケーション開発を幅広くお手伝いしています。

例えば、あるGarageでは、お客様が新たに立ち上げたポイントサービスのシステム開発を2つの側面からご支援させていただきました。1つは小売店の店頭で使われるポイント管理用アプリケーションのバックエンドシステムの構築、もう1つは商品にポイントを付与するシステムの構築です。後者はポイントサービスに参加する食品メーカーなどの企業が、どの商品やサービスに何ポイント付与するのかを設定するために使います。

この事例は経営者の方の「人々の健康を促進するポイントサービスを作りたい」という強い思いを出発点としており、それを具体化する方法をIBM Garageにご相談いただきました。健康に良い商品やサービスがポイント付与の対象となり、それらの購入を通じて貯まったポイントは、特定保健用食品やマッサージサービスといった健康に良い食品やサービスの購入に使うことができます。これにより、消費活動を通じて循環的に人々の健康を促進していこうというわけです。

私自身はサービスの構想が固まり、その運用を支えるシステムを作る段階から参画。いきなりリッチなシステムを作るのではなく、必要な機能に優先順位を付け順番に実装して検証し、修正しながら進めました。約9ヶ月間でどのようなシステムにするかを決めて設計・構築を行い、地方都市で2カ月間の実証実験を行うところまでを完了させています。

この事例の技術的なハイライトの1つは、ポイント管理にブロックチェーン技術を利用していることです。ポイントは金銭と同様に使えるものであり、誰がいつ、どれだけの取引をしたのかを厳密に管理しなければなりません。そのトレーサビリティを担保しつつ、さまざまな企業がポイントサービスに参加できる柔軟性と拡張性を確保することがブロックチェーンを採用した目的です。

IBM Garageはアイデアをクイックに試しながら形にしていく場

IBM Garageを利用されるのは、新規事業の立ち上げや既存事業の刷新など、これまでとは違うアプローチで、何か新しいものをアウトプットとして得たいお客様です。デザイン思考などを活用し創出されたアイデアをクイックに試しながら形にし、スケールさせていくことがIBM Garageの核心であり、最大の価値だと考えています。

クイックに形にすることの何が良いのでしょうか? 従来のITプロジェクトでは始めに時間をかけてしっかりとした設計書を作り、それを100%実装してサービスを提供します。もし間違ったものを作ってしまったら誰にも使われずに終わる可能性があり、失敗のリスクが非常に高いと言えます。それを避けるために、IBM Garageでは少しずつ確認しながら作っていきます。少し作り、間違っていたら修正する、つまり“Fail Fast(早く失敗する)”を繰り返しながら確実に作り上げていくのです。

私自身も、IBM Garageではとにかくクイックに形にすることを心掛けています。「アプリケーションにこんな機能が欲しい」となったら、とりあえず必要最小限のスケールで動くものを作ってお客様が抱くイメージとの齟齬がないかを確認します。アプリケーションを迅速に作る方法やツールが重要となるため、これらに関しては日々アンテナを張って情報収集しています。

「最初からフェラーリを作る必要はない」というお客様の言葉に衝撃

IBM Garageでお客様からいただいた言葉で、特に印象に残っている言葉があります。ポイントサービスのGarageで2週間サイクルのスプリントをアジャイルに回しているとき、「どんな機能をいくつ作るか、それぞれをどこまで作り込むか」で迷う場面がありました。そのミーティングで経営者の方が「最初からフェラーリを作る必要はない」とおっしゃったのです。「始めからリッチで完成されたサービスを作って出す必要はなく、まずはいち早くサービスを届けてユーザーの反応を見て、問題ありと判断したら軌道修正すればよい」ということです。経営者自身がスピードを何よりも重視して小さな失敗や変化を恐れない姿勢に驚きましたし、そんなお客様に置いていかれないようにしなければと緊張感も高まりました。

私はエンジニアなので、通常はアイデアが固まった段階でプロジェクトに加わり、アプリケーションとして具体的な形にしていくところを担当しています。ただ、日頃からアイデアの実現手段となる技術については積極的にリサーチしているので、それをより効果的に生かせるよう、今後はもっとアイデア構想のフェーズから関与できるとよいなと思っています。

「こんな思い、アイデアがあるが、ITを使ってどう具体化したらよいかわからない」「新しいアイデアをクイックに形にしていきたい」というお客様は、ぜひIBM Garageにご相談ください。
 
 

 


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