サプライチェーン最高責任者(CSCO)は、パンデミックやその他の世界的な混乱における不確実性の中を進み続けています。しかし、グローバル・サプライチェーンで次々と発生する問題に対処する中で、思いもよらなかった革新の機会を見出すことも可能となりました。インテリジェント・ワークフローによって駆動されるデジタル・サプライチェーン・マネジメントは、よりアジャイルで柔軟、かつ弾力性の高い組織を実現することができます。
IBMコンサルティングとIBMビジネス・パートナーであるセロニスが、お客様のプロセスの最適化とインテリジェント・ワークフローの構築を支援するために協力して1年を迎えるにあたり、IBM Institute for Business Value(IBV)は500名のCSCOを対象に、次世代サプライチェーン・マネジメントの成功要因に関する調査を実施しました。
データ主導の変革
CSCOは今、パフォーマンスと回復力を抜本的に改善できる、よりスマートなデジタル・サプライチェーン構築のための戦略を積極的に推進しています。彼らはデータ・ファーストの考え方を採用し、データを活用したソリューションを、現在の課題のみならず、長期的なデジタル・トランスフォーメーションに適用することの戦略的価値を認識しています。
今日のリーダーたちは、人工知能(AI)と自動化を活用した、弾力性のあるワークフローの構築に注力し、最新のツールキットを用いて、データサイロを打破したり、洞察を特定したり、潜在的なパフォーマンス阻害要因を取り除いたりしています。またクラウド・インフラを背景として、CSCOの74%は、サプライチェーンのデジタル・トランスフォーメーションの加速と実現にハイブリッドクラウドの統合が不可欠だと答えています。同様に、約70%がデータへのリアルタイムなアクセスを強化するために、クラウドの導入を加速させる必要性を挙げています。
CSCOの4人に3人近くが、サプライチェーンのデジタル・トランスフォーメーションを加速し実現するためには、ハイブリッドクラウドの統合が不可欠であると考えています。
サプライチェーン・リーダーの77%は、プロセス・タスクマイニングを使用して非効率性を発見し、改善しています。このプロセス・タスクマイニングは、複数のデータモデルをリアルタイムで統合し、いわゆるプロセスの「X線画像」をレンダリング(作成)するものです。この情報により、チームはボトルネックの除去、自動化の導入、主要なビジネスプロセスの再構築を行うことができます。また、機械学習、AIを利用したシミュレーション、ブロックチェーン、予測分析、デジタルツイン、仮想化などの新しいテクノロジーを利用して、組織の変革に取り組んでいます。
サプライチェーンの混乱
過去2年間、サプライチェーンのリーダーが直面している難題には複数の要因があります
サプライチェーンを差別化要因に
自動化されたインテリジェント・ワークフローは、CSCOによる顧客満足度の向上や、競合他社との差別化の実現に役立ちます。実際、CSCOの53%は、デジタル・サプライチェーン変革の取り組みが、今後3年間で最も重要な競争戦略の鍵になると予測しています。
予測インテリジェンスを組み込んだワークフローは、動的な顧客体験、製品およびサービスの予防保守、リアルタイムの在庫および配送状況を促進することができます。また、より深い洞察により、サプライチェーンの潜在的なリスクを明らかにし、CSCOがより高いレジリエンスを構築できるよう支援します。
デジタル・サプライチェーンの変革とサステナビリティーを結びつける
サプライチェーン・リーダーは、サステナビリティーの目標達成に向けた強いプレッシャーにさらされています。従来の直線的なサプライチェーン・モデルから循環型モデルへの移行は、短期的なコストに関する懸念を軽減し、長期的な価値を向上させるのに有効です。またこうした変革の実現に向けて、複数ソースからのデータをビジネス・プロセスの再設計と意思決定に活用し、環境への影響を考慮してワークフローを評価することもできます。
CSCOは、循環型経済を追求するために、今後3年の間にいくつかの具体的なアクションを起こそうとしています。例えば、材料や部品の再利用を拡大するための材料や製品のフルライフサイクルデザイン(47%)、初回使用(バージン)プラスチック使用量の削減(32%)、そして廃棄物ゼロの新しい製品やサービスの設計(30%)などが挙げられます。
次のステップ
驚異的なデジタル化によってデータ・ソースと、それらから得られるより微細な洞察が爆発的に増加することにより、エンドツーエンドのサプライチェーン全体で、複雑な問題の解決が可能になります。CSCOは、次のような方法で、データに基づいた最適化された持続可能なサプライチェーンを開発・運用することができます。
- 回復力を強化する新たなビジネスモデルの探求
- 自動化の短期的および長期的な可能性に対して一貫して投資する
- サステナビリティーを最優先事項のひとつとして位置付ける
デジタル技術を活用したインテリジェントなワークフロー設計の詳細と、回復力のあるデジタル・サプライチェーン・ソリューションの構築に関する詳細な推奨事項については、本レポートにてご確認ください。
著者について
Sheri Hinish, Sustainability Services Lead, Enterprise Sustainability Offering Workflow Leader, IBMLars Reinkemeyer, Vice President, Customer Transformation, Celonis
Karen Butner, Global Research Leader, AI Automation, Supply Chain, Virtual Enterprise, IBM Institute for Business Value
Janina Nakladal, Global Director of Sustainability, Celonis
Anthony Marshall, Senior Research Director, Thought Leadership, IBM Institute for Business Value
発行日 2022年4月17日