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オープンなハイブリッド・マルチクラウドへ移行する銀行業務

銀行を取り巻く環境は、急速に変化している。その中で、イノベーションと厳しいセキュリティー要件のバランスを取るために必要になるのが、オープンなハイブリッド・マルチクラウド環境だ。

今日の銀行業界は、岐路に立たされている。マクロ経済環境が厳しさを増していることに加え、銀行はデジタル化が進行する世界で、顧客の行動と期待の絶え間ない変化に直面している。

新たなタイプの競合他社は、革新的なビジネスモデルを駆使し、業界のバリュー・チェーン間の摩擦を減らし、革新的なエコシステムを生み出し、顧客の期待に応えようとしている。一方、増加し続けるデータ、重要性を増すコンプライアンス要件、セキュリティー脅威の増大、労働力の動的な変化が、金融サービスの現場に影響を与え続けている。

不安定な状況下で、迅速な対応が可能なクラウドベースのインフラ

これに対し、金融機関は自らを変革し、プラットフォーム時代の競争を勝ち抜くために、新たなデジタル機能の強化を図っている。市場プラットフォームへの移行を経験した他の組織と同様に、銀行はインフラ、アプリケーション、プロセス、データ、顧客エンゲージメントに関連するテクノロジーの課題に直面している。さらには、最も厳しいとされる業界のセキュリティーおよびコンプライアンス基準をクリアしなければならず、これが複雑さを高める要因となっている。

クラウドに注目する銀行業界

銀行のリーダーたちは長年、ビジネスへの柔軟性と、セキュリティーやコンプライアンスに求められる堅牢性の両方を満たすものとして、クラウドに期待を寄せてきた。2020年に発表された銀行業界のクラウド利用に関するレポートによると、金融機関のうち、すでにクラウド・サービスを積極的に利用しているか、今後6 ~ 9カ月以内に利用するとした回答者は91%に達し、4年前から倍増していた。しかし、規制対象となっている銀行の基幹業務をパブリッククラウド環境に移行しているところはほとんどなく、あるレポートによると平均9%と他業界の平均を下回っていた。

従来の銀行業務システムは、柔軟性に乏しく、新しいテクノロジーの採用や新機能の導入には、多額の費用がかかる。

スケーラビリティー(拡張性)とアジリティー(俊敏性)を備えたクラウドベースのインフラストラクチャーは、パンデミックのような市場の変化に対しても、迅速な対応が可能だ。行動力のあるリーダーは、この経験からオープンなハイブリッド・マルチクラウドを採用し、必要なセキュリティー機能と柔軟性を兼ね備えた相互運用可能な複数のプラットフォームを構築している。オープンなハイブリッド・マルチクラウド環境への移行を成功させるためには、銀行業界特有の要件を鑑みて、どのプラットフォームがそれぞれのアプリケーションやサービスに適しているかを検証する必要がある。

デジタル変革(DX)と移行戦略を成功させるためには、次の3つを評価することが重要になる。それは、ビジネス・ケース、デジタル成熟度、プロバイダーの能力だ。オープンなハイブリッド・マルチクラウドが依拠するビジネス・ロジックは、ビジネス・ニーズとIT 要件およびコスト制約のバランスを調整しながら、ビジネス・パフォーマンスを向上させることである。

オープンなハイブリッド・マルチクラウドの導入を検討する際に、銀行が評価すべき3つの重点領域

オープンなハイブリッド・マルチクラウドの導入を検討する際に、銀行が評価すべき3つの重点領域

この変革の時代において、銀行業務のオープンなハイブリッド・マルチクラウド環境への移行が、どのようにセキュリティー及びコンプライアンスの要件を充足しながら、フィンテック・イノベーションの導入を可能にするのか、詳細はレポート全文をご覧ください。


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著者について

Anthony Lipp

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, Global Head of Strategy for Banking and Financial Markets and IBM Industry Academy member

発行日 2021年8月3日