いつの時代も、経営層にとって現状に踏みとどまるという選択肢はない。昨年発生した事象はその事実をひときわ顕在化させた。あらゆるタイプのCEOが、好むと好まざるとにかかわらずその現実を認識している。今回のパンデミックは緊急性に拍車をかけたが、どの企業がそのスピードで稼働し続けることができるだろうか。 Daimler MobilityのFranz Reinerは語る。「この勢いを継続させるのはかなりの難題だ。最適なプロジェクトに確実に重点を置き続けるためには、それらをより迅速に実行するための明確なマインドセットが必要なのだ。とにかく、古い慣習に後戻りしないように注意する必要がある」
危機的状況下において、「生き残る」という言葉は自明なものではなくなる。企業は到底同じ場所にとどまって持ちこたえることなどできず、将来を見据えて自ら改革に乗り出す必要がある。よく挙げられる「レジリエンス」という言葉でさえ、風に吹かれてなびいている様子を表している可能性がある。それでは前進せずに元の状態に戻るにすぎない。それは最も安全なコースかもしれないが、最も先見性の高いコースとは言えまい。そのうえ、今後生じる混乱を乗り切るのに十分でない場合もあるだろう。