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Watsonって実際どこで活躍しているの?

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現在の人工知能(AI)ブームを象徴する存在、IBM Watson。Watsonは、2011年に米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」で激戦の末、クイズ王(人間)に勝利し、その名が世界に知れ渡ることになった。Watsonという名前を知らない人はもはやいないだろう。しかし、少し考えてみると、Watsonは現在の社会のどこで活躍しているのだろうか?その詳細について知っている人はそこまでいないかもしれない。なので、今回は、Watsonが実際に活躍している場をいくつか紹介したい。

 

Watsonには何ができるの?

まず、Watsonのスゴさについて簡単に説明したい。IBMの松永達也氏(常務執行役員コグニティブ・ソリューション事業担当)は、自然言語を理解するWatsonの有用性をこう指摘する。

Watsonを活用した銀行のコールセンターでは、正答率が90%に達しているという結果もあります。また、4000冊以上の医療論文をわずか1秒で把握し、医療従事者のよりクリエイティブな業務を支援しています。Watsonは自ら把握し、推論を立てて学習していくシステムであり、現在28あるAPI(Watsonサービス)を年内に50まで増やす予定です。

 

Watsonのスゴさについて、同じくIBMの中山裕之氏(グローバル・ビジネス・サービス事業コグニティブ・ビジネス推進室長パートナー)も次のように言う。

 

コグニティブの世界では自然言語を理解するだけではなく、表情や感情、空気感に至るまで、従来は人間が経験でしか会得できなかったことまでも理解できるようになっています。

 

Watsonが活躍する場とは

さて、こんなWatsonだが、実際には社会のどこで活躍をしているのだろうか。Watsonは「グローバルで400以上のパートナーと、8万人以上のデベロッパー、160校を超える大学」で活用されているらしい。

 

・大学のサポートセンター

米国のジョージア工科大学で学生の質問に応える学内サポートセンターにおいて、的確な回答で常に人気だったアシスタント・ティーチャーの“ジル”。ジルはWatsonを活用していたが、学生たちはジルのことを人間だと信じて疑わなかったようだ。

 

・金融機関

既に日本でも、大手の銀行全てのコールセンターにWatsonが活躍している。みずほ銀行では、Watsonのおかげで、通話時間の短縮によるお客様満足度の向上、オペレーターの育成期間の短縮といった、「学習するシステム」の効果が出はじめている。さらに店舗での接客ロボットとしての活躍も期待されている。みずほ銀行は、Watsonと、ソフトバンクロボティクス株式会社が提供する人型ロボットPepperを融合することで、新たな「おもてなし」への取り組みを始めているそうだ。

 

・人材マッチング会社

技術分野専門の人材サービスを提供するフォーラムエンジニアリングでは、人材マッチングにWatsonを活用している。Watsonが個人の興味、関心や性格を把握し、統計分析ソフトでマッチングスコアを算出するシステムを開発。2016年4月から実際に運用が始まっている。

 

・大手通信事業者

Watsonの開発と市場導入において日本IBMと戦略的提携を結んだソフトバンク。

ソフトバンクでは、全社員が最新のICTを活用し新たな価値を生み出す「スマート経営」を目指し、「クラウド/IoT」「Watson/ロボット」「スマートデバイス」「ビッグデータ・アナリティクス」の4つのテーマに注力することで、業務工数・コストを1/2に、生産性・創造性を2倍にする、「Half and Twice」を目指しています。具体的には、コンタクトセンターの意思決定支援や、ショップの接客サポート、法人営業の提案アドバイスにWatsonを活用しようとしています。2016年の夏頃には本格的に活用を開始し、社員サポートセンターや人事、法務、財務などにも拡大する計画です。

 

このように、さまざまな場所で活躍をみせ、進化を続けるWatson。知らず知らずのうちにあなたもWatsonの恩恵を受けているかもしれない。

 

*本文中の松永達也氏と中山裕之氏の発言は「Watsonではじめるコグニティブ・ビジネスの時代|IBM ProVISION 90号 イベントレポート」から引用しました。