gated デーモン

目的

RIP、RIPng、EGP、BGP、BGP4+、HELLO、IS-IS、ICMP、ICMPv6、および SNMP プロトコル用のゲートウェイ経路指定機能を提供します。

注: コマンド・ラインから gatedデーモンを制御するには、SRC コマンドを使用してください。システム始動時に毎回デーモンを始動するには、rc.tcpip ファイルを使用します。

構文

/usr/sbin/gated [ -c ] [ -C ] [ -n ] [ -N ] [ -t TraceOptions ] [ -f ConfigFile ] [ TraceFile ]

説明

/usr/sbin/gated デーモンは、複数経路指定プロトコルを 処理し、routed と、(HELLO) 経路指定プロトコルを使用する経路指定デーモンとを置換します。 /usr/sbin/gated デーモンが現在扱うのは、 経路指定情報プロトコル (RIP)、 経路指定情報プロトコル次世代 (RIPng)、Exterior Gateway Protocol (EGP)、 Border Gateway Protocol (BGP) と BGP4+、 Defense Communications Network Local-Network Protocol (HELLO)、 および Open Shortest Path First (OSPF)、Intermediate System to Intermediate System (IS-IS)、 および Internet Control Message Protocol (ICMP) / Router Discovery 経路指定プロトコルです。 さらに、gated デーモンは、シンプル・ネットワーク管理プロトコル (SNMP) も サポートします。gated プロセスは、これらのプロトコルのすべてを、もしくは任意の組み合わせを実行するように構成することができます。 gated デーモンのデフォルトの構成ファイルは、/etc/gated.conf ファイルです。gated デーモンは、デーモンのプロセス ID を /etc/gated.pid ファイルに格納します。

注: gated デーモンと、routed デーモンを、 1 つのホスト上で一緒に実行すると、予測できない結果になる場合があります。

コマンド・ラインに、トレース・ファイルを指定する、またはトレース・フラグを指定しないと、gated デーモンは、端末装置から切り離され、バックグラウンドで実行されます。トレース・ファイルを指定せずにトレース・フラグを指定すると、gated では、トレースが stderr に指定されていると想定し、フォアグラウンドでの実行を続けます。

注: IS-IS 経路指定プロトコルは、64 ビット・カーネル上では実行できません。

シグナル

gated サーバーは、kill コマンドによるシグナルの送信時に、次のアクションを実行します。

項目 説明
SIGHUP 設定が再読み取りされます。

SIGHUP を使用すると、gated によって構成ファイルが再読み取りされます。 gated デーモンではまず、割り当てられたポリシー構造をすべて整理します。すべての BGP ピアと EGP ピアに消去を示すフラグが付けられ、構成ファイルが再解析されます。

ファイルの再解析が成功すると、設定に入っていない、BGP ピアまたは EGP ピアはすべてシャットダウンされ、新しいピアが始動されます。 gated デーモンは既存のピアを変更するためにシャットダウンが必要かどうかを判別し、再始動しようとします。

注: OSPF (Open Shortest Path First) が使用可能な場合は、再構成は使用不可の状態です。

SIGINT 現在の状態のスナップショットが表示されます。

ゲート指定されたすべてのタスク、タイマー、プロトコル、テーブルの現在の状態が、 /var/tmp/gated_dump に書き込まれます。

これは、テーブル情報をダンプするサブプロセスを fork するという方法で実行されます。 gated デーモンの経路指定機能に影響を与えないようになっています。

SIGTERM 通常のシャットダウンが行われます。

SIGTERM シグナルを受信した時点で、gated デーモンでは、通常のシャットダウンを実行しようとします。すべてのタスクとプロトコルがシャットダウンを要求します。このうち大部分はすぐに終了しますが、確認を待機している EGP ピアだけは例外となります。 このプロセスに時間がかかりすぎるときは、SIGTERM を 1 から 2 回繰り返さなければならない場合があります。

すべてのプロトコル経路は、SIGTERM が受信された時点で、カーネルの経路指定テーブルから除去されます。 インターフェース経路、RTF_STATIC が設定されている経路 (サポートされている場合は route コマンドから設定)、retain を指定する静的経路は、すべてそのまま残されます。外部経路がそのまま残されている gated デーモンを終了するには、SIGKILL シグナルまたは SIGQUIT シグナル (メモリー・ダンプを作成する) を使用します。

SIGUSR1 トレースが切り替えられます。

SIGUSR1 シグナルを受信した時点で、gated デーモンでは、トレース・ファイルをクローズします。次に SIGUSR1 を受け取ると、このデーモンが再度オープンされます。これにより、ファイルを定期的に移動することができます。

注: トレース・ファイルを指定していない場合、または stderr にトレースされる場合、SIGUSR1 シグナルは、使用できません。

SIGUSR2 インターフェースの変更を検査します。

SIGUSR2 シグナルを受信すると、gated デーモンはカーネル・インターフェース・リストをスキャンし直して、変更の有無を調べます。

gated デーモンと snmpd デーモン

gated デーモンは、snmpd デーモンの SNMP 多重 (SMUX) プロトコル・ピア、すなわち代替エージェントとなるように内部で設定されます。 詳しくは、「ネットワークおよびコミュニケーションの管理」の『SNMP デーモンの処理』のセクションを参照してください。

システム・リソース・コントローラーによる gated デーモンの操作

gated デーモンは、システム・リソース・コントローラー (SRC) で制御することができます。また、gated デーモンは SRC の tcpip システム・グループのメンバーです。このデーモンはデフォルトでは使用不可で、以下の SRC コマンドにより操作できます。

項目 説明
startsrc サブシステム、サブシステム・グループ、またはサブサーバーを始動します。
stopsrc サブシステム、サブシステムのグループ、またはサブサーバーを停止します。
refresh サブシステムまたはサブシステム・グループに該当する構成ファイルを再読み取りします。
lssrc サブシステム、サブシステムのグループ、 あるいはサブサーバーの状況を取得します。
注: startsrc コマンドからの初期始動時には、gated デーモンは、すべての gated の初期化が完了するまで他の SRC コマンドに対する応答を開始しません。極端に大きい /etc/gated.conf ファイルの場合は、完全に解析するまでに 1 分以上かかることがあります。

フラグ

項目 説明
-c 構成ファイルに gated デーモンを終了させてしまう構文エラーがないかどうか解析するように指定します。 エラーが発生しなければ、gated デーモンはダンプ・ファイルを /var/tmp/gated_dump ファイルに入れます。 -c フラグは、-tgeneral,kernel,nostamp フラグを暗黙指定します。-c フラグを指定すると、gated デーモンは構成ファイル内のすべての traceoption 節と tracefile 節を無視します。
-C 構成ファイルの構文エラーのみを解析するように指定します。 gated デーモンの状況は、何らかのエラーを検出した場合、1 になり、エラーがない場合は、0 の状況になります。 -C フラグは、-tnostamp フラグを暗黙指定します。
-f ConfigFile 代替構成ファイルを指定します。デフォルトでは、gated デーモンは /etc/gated.conf ファイルを使用します。
-n gated デーモンによってカーネルの経路指定テーブルが変更されないように指定します。 これは、実際の経路指定データを使って gated の設定を検査する場合に使用します。
-N gated デーモンがデーモン化しないように指定します。 一般に、stderr へのトレースを指定せず、親プロセス ID が 1 でなければ、gated デーモンはデーモン化します。 このフラグを指定すると、プロセス ID が 1 でない gated デーモンをコールする /etc/inittab のようなメソッドを使用することができます。
-tTraceOptions システム始動時に使用可能にするトレース・オプションを指定します。 TraceOptions 変数を付けずに使用すると、このフラグは general トレース・オプションを始動します。 各トレース・オプションをコンマで区切ってください。フラグと最初のトレース・オプションの間には、スペースを挿入しないでください。

-t フラグは、インターフェース設定の判別およびカーネルからの経路指定の読み取りなどの、/etc/gated.conf ファイルが解析される前に起こるイベントをトレースするために使用しなければなりません。

gated.conf ファイルの項目に、使用可能なトレース・オプションを記述しています。

  1. gated デーモンを始動するには、次のようなコマンドを入力します。
    
    startsrc -s gated -a "-tall /var/tmp/gated.log"
    このコマンドにより、gated デーモンが始動され、メッセージが ログに記録されます。メッセージは、 /var/tmp/gated.log ファイルに送られます。
  2. gated デーモンを通常どおりに停止するには、次のように入力します。
    stopsrc -s gated
    このコマンドによって、このデーモンが停止されます。-s フラグは、後に続くサブシステムを停止することを指定します。
  3. gated デーモンから簡潔な状況情報を得るには、 次のように入力します。
    
    lssrc -s gated
    このコマンドは、デーモン名、デーモンのプロセス ID、デーモンの状態 (アクティブまたは非アクティブ) を戻します。

ファイル

項目 説明
/etc/gated.pid gated のプロセス ID が入っています。
/var/tmp/gated_dump メモリー・ダンプ・ファイルを指定します。
/var/tmp/gated.log エラー・メッセージのログ・ファイルを指定します。