routed デーモン

目的

ネットワーク経路指定テーブルを管理します。

構文

注: コマンド・ラインから routed デーモンを制御するには、SRC コマンドを使用します。すべての TCP/IP ゲートウェイ・プロトコルをサポートする gated デーモン、またはルーティング情報プロトコル(RIP) しか適用しない routed デーモンを使用します。 Exterior Gateway Protocol (EGP)、Simple Network Management Protocol (SNMP)、または分散コンピューター・ネットワーク・ローカル・ネットワーク・プロトコルの経路指定が必要な場合に、routed デーモンを使用しないでください。 外部ゲートウェイと遠隔ゲートウェイに関する情報を得るために/etc/gateways ファイルを使用します。

/etc/gateways ファイルには、ホストとネットワークへの遠隔ゲートウェイと外部ゲートウェイ経由の経路に関する情報が入っていて、この情報は RIP を通して伝達されます。このような経路は、特定の宛先への静的経路か、あるいは宛先への固定経路が未定義の場合に使用するデフォルト経路として使用できます。 /etc/gateways ファイルのフォーマットは、以下のようになります。

{ net | hostname1 gateway name2 metric { passive | active | external }

/etc/gateways ファイルで指定されたゲートウェイが RIP ルーティング情報を提供する場合、このゲートウェイはアクティブであるとマークされます。アクティブなゲートウェイは、ネットワーク・インターフェースと同様に処理されます。 つまり、RIP ルーティング情報はアクティブなゲートウェイに配布されます。 RIP ルーティング情報が一定期間ゲートウェイから受信されない場合は、 routed デーモンは経路指定テーブルから関連する経路指定を削除します。

RIP ルーティング情報を交換しないゲートウェイは、受動であるとマークされます。受動ゲートウェイは経路指定テーブルに固有に維持されています。 受動ゲートウェイに関する情報は、送信される RIP ルーティング情報に含まれています。

外部ゲートウェイが識別されて、別の経路指定プロセスが同様の経路指定を設置し、 routed デーモンはこの宛先への代替経路指定を設置してはならないことが routed デーモンに通知されます。 外部ゲートウェイは経路指定テーブルに維持されておらず、これらのゲートウェイに関する情報は送信される RIP ルーティング情報には含まれません。
注: 外部ゲートウェイを経由する経路は、必ずネットワークへの経路でなければなりません。

routed デーモンは、 複数の異なるネットワークに経路を指定する場合にネーム・レゾリューションも行うことができます。例えば、以下に示すコマンドは、host1 というゲートウェイを経由する netname というネットワークへの経路を追加します。host1 ゲートウェイは 1 ホップ・カウント先です。

route add net netname host1 1

ネットワーク名のレゾリューションを行うために、routed デーモンは /etc/networks ファイルを使用してネットワーク・アドレスとそれに対応する名前の情報を獲得します。ホスト名のレゾリューションを行うために、routed デーモンは経路指定が完了する前に追加のステップを実行する必要があります。まず、デーモンは /etc/resolv.conf ファイルの存在を検査します。このファイルは、ホストがドメイン・ネーム・サーバーの下で稼働しているかどうかを示し、稼働していれば named デーモンを稼働しているホスト・コンピューターの IP アドレスを表示します。

/etc/resolv.conf ファイルが存在しない場合、routed デーモンは、/etc/hosts ファイルを使用して経路指定先のホストを探します。

routed デーモンは、システム・リソース・コントローラー (SRC) または System Management Interface Tool (SMIT) を使用して制御しなければなりません。コマンド・ラインに routed デーモンを入力することはお勧めできません。

システム・リソース・コントローラーを使用した routed デーモンの操作

routed デーモンは、システム・リソース・コントローラー (SRC) によって制御されるサブシステムです。 routed デーモンは SRC tcpip システム・グループのメンバーです。このデーモンはデフォルトでは使用不可で、以下の SRC コマンドにより操作できます。

項目 説明
startsrc サブシステム、サブシステム・グループ、 あるいはサブサーバーを開始します。
stopsrc サブシステム、サブシステム・グループ、 あるいはサブサーバーを停止します。
tracesoff サブシステム、サブシステム・グループ、 あるいはサブサーバーのトレースを使用不可にします。
lssrc サブシステム、サブシステム・グループ、 あるいはサブサーバーの状況を取得します。

シグナル

以下のシグナルは、kill コマンドを使用して routed 処理に送信されると、指定された効果が得られます。

項目 説明
SIGINT routed デーモンを再始動して、経路指定テーブルをフラッシュします。
SIGHUP, SIGTERM, または SIGQUIT ホップ・カウントを無限大に設定して RIP パケットをブロードキャストします。ルーターとして作動するローカル・ホストを使用不可にします。2 番目の SIGHUPSIGTERMSIGQUIT のいずれかのシグナルが送信されると、routed デーモンは終了します。
SIGUSR1 パケット・トレースをオンにするか、既にパケット・トレースがオンの場合は、トレース・レベルを 1 段階上げます。また、パケット・トレースが既にオンになっている場合は、トレースのレベルを 1 レベル上げます。 第 1 レベルでは、トランザクションだけをトレースします。 第 2 レベルでは、トランザクションとパケットをトレースします。 第 3 レベルでは、パケット・ヒストリーをトレースし、パケットの変更を報告します。 第 4 レベルでは、パケットの内容をトレースします。このコマンドは、この 4 つのレベルでトレースのレベルを増加させます。
SIGUSR2 パケット・トレースをオフにします。

フラグ

項目 説明
-d 受信された正しくないパケットなどの追加のデバッグ情報がログに記録されるようにします。
-g 経路指定デーモンをゲートウェイ・ホスト上で稼働します。-g フラグはインターネットワーク・ルーター上で使用され、その結果、デフォルトの宛先への経路を提供します。
-q インターネットワーク・ルーターとして機能しているかどうかに関係なく、routed デーモンがルーティング情報を提供しないようにします。-q フラグは「抑制 (quiet)」を示します。-q フラグと -s を一緒に使用しないでください。
-s インターネットワーク・ルーターとして機能しているかどうかに関係なく、ルーティング情報を提供します。-s フラグは「提供 (supply)」を意味します。-q フラグと -s を一緒に使用しないでください。
-t 送受信したパケットをすべて標準出力または LogFile パラメーターで指定したファイルへ書き込みます。routed デーモンは、このデーモンを始動した制御端末の制御を受け続けます。したがって、routed プロセスは制御端末のキーボードからの割り込みによって停止します。

  1. routed デーモンを手動で開始するには、次のように入力します。
    startsrc -s routed -a "-s"
    注: routed デーモンは、それぞれのシステムの開始時にデフォルトでは開始されません。 routed デーモンを開始する場合は、rc.tcpip ファイル・フォーマットとシステム・リソース・コントローラー (SRC) のコマンドを使用してください。また、System Management Interface Tool (SMIT) を使用して routed デーモンを開始することもできます。

    -s フラグを指定すると、routed デーモンがインターネットワーク・ルーターであるかどうかに関係なく、routed デーモンはルーティング情報を戻します。

  2. routed デーモンを停止するには、次のように入力します。
    stopsrc -s routed
  3. routed デーモンからの簡略状況レポートを得るには、次のように入力します。
    
    lssrc -s routed
    このコマンドにより、デーモン名、デーモンのプロセス ID、デーモンの状態 (アクティブか、非アクティブか) が戻されます。
  4. routed デーモンをトレース可能にするには、次のように入力します。
    traceson -s routed
    このコマンドは、ソケット・レベルのデバッグを使用可能にします。