シェアする 

世界トップクラスの企業のCHROは、勘に頼ることなく、データを利活用して人財を管理することが、大きなリターンを生み出すことを認識している。

今回のグローバル経営層スタディでは、世界中の13,000名以上のCxO(最高責任者)レベルの経営層に、世界がデータやAIで充溢する今日のデジタル時代をリードするために何が必要かについて、インタビューを実施した。回答から、少数ではあるが、データの利活用において先進的な企業群を特定するに至り、その企業群を「先導者」と定義した。

「先導者」のCHROは、人財活用の重要な意思決定において、率先してデータを活用している。彼らはデータを倫理的に使用し、データを信奉する企業文化の醸成を推進している。また、COVID-19パンデミックによる不確実性との闘いにおいて、かつてないほどデータ主導のアジャイルな意思決定が必要だと認識している。

結果を見れば明白な通り、データの利活用において先進的な企業ほど、競合他社と比べて俊敏かつ革新的であり、収益性の高いことが判明している。そして、その指揮の一端を担うのがCHROである。

経営層のバイナリー・コード:誠実に振る舞う

「先導者」のCHROが所属する企業はデータがもたらす価値をはるかに深く理解している

先導者CHRO 78%、始動者CHRO 35%

「従業員が経営層を信頼し、経営層も従業員を信頼する。この相互信頼の醸成こそが、私のミッションだ」

CHRO | 工業製品
カナダ


コロナ渦になる前から「先導者」のCHROは、事業環境の劇的な変化を予測していた。そして、その予測に基づき対策を講じていたのである。また、彼らはデータの有用性について強い確信をもっており、10人中7人近くが、1つまたは複数の戦略的優位性を構築する上で、データが重要な役割を果たすと答えている。

一方、データによってまったく新しい業務のあり方が広がる中、そのマイナス面も明らかになりつつある。例えば、より多くの従業員情報を収集する企業が増加するにつれて、従業員の間で自分の個人情報が乱用されるのではないかという懸念が生じている。利益の向上と従業員のプライバシー尊重との間のバランスはセンシティブな問題を内包しているが、すべての企業がそのことを正しく理解しているわけではない。

とはいえ、適切なバランスを見出している企業も存在する。これら「先導者」のCHROは、堅牢なガバナンスを整備したり、説明責任を明確にしたりすることで、責任を持って従業員データを管理している。

「先導者」のCHROが所属する企業はデータがもたらす価値をはるかに深く理解している

先導者CHRO 78%、始動者CHRO 35%

事実への信頼:データを信奉する企業文化の醸成

「先導者」のCHROは機能別組織の境界を越えたデータの共有を推進している

先導者CHRO 54%、始動者CHRO 17%

「テクノロジーは、従業員体験の向上を促し、従業員の一層積極的な関与を後押しするだろう」

CHRO | 電気通信業
シンガポール


「先導者」のCHROのほとんどが、自らを含めた経営層に、重要な判断を迫られたときにデータに頼る傾向があると答えている。彼らがそれほどまでにデータを信頼できる理由の一端は、彼らが入手できる情報の質の高さにあると思われる。「先導者」のCHROの10人中6人以上が、自社ではデータの収集・利用・共有に関する規則が明確に規定されているとし、また10人中6人は、自社がこれらの取り組みにおいて優れていると回答した。

従業員が高品質なデータにアクセスできる機会は、有効に利用されるべきである。なぜなら、これは「先導者」のCHROも気づいていることだが、真にデータを信奉する企業文化が醸成されるのは、次のような場合に限られるからだ。つまり、信頼性の高いデータが透明性を持って活発に流通し、データ原則やデータ・プラクティスを軸としたコラボレーションが行われ、従業員自らがデータを探究して調査するためのツールやスキル習得の機会が提供されている場合である。従業員が高品質なデータに広範にアクセスできたとしても、それを使いこなせなければ意味がないことをCHROは理解しているのである。

「先導者」のCHROは機能別組織の境界を越えたデータの共有を推進している

先導者CHRO 54%、始動者CHRO 17%

情報に基づく視点:データを洞察に変える

「先導者」のCHROは、データを利用して高度なスキルを備えた人財を生み出すことに長けている

求人に関する洞察の獲得:先導者CHRO 43%、始動者CHRO 17%、専門分野の特定:先導者CHRO 44%、始動者CHRO 14%、業績評価:先導者CHRO 45%、始動者CHRO 19%、スキルの需給予測:先導者CHRO 45%、始動者CHRO 14%、センチメント分析による従業員エンゲージメントの追跡:先導者CHRO 48%、始動者CHRO 18%

「現在、自社の人財データ・モデルを管理するために、クラウド・ベースのHRソリューションの導入を進めているところだ」

CHRO | エネルギー・環境・公益事業
アイルランド


最も成功している企業のCHROは、新たな方法でデータを収集し、利活用することで新たな価値を生み出している。彼らは、データ駆動型の意思決定を業務の根本原則に転換しながら、リアルタイムにデータを利用して組織を変革している。

また、「先導者」のCHROの3分の2は、人工知能(AI)に勝機を見出そうとしている。実際、AIによって従来では想像すらできなかった多くの機会が広がっている。例えば、大規模なスキル開発のパーソナライズやフライト・リスクの予測、意図しない採用バイアスの発見などがそれに該当する。

さらに、ファイアウォールの外側にあるデータも、内部データと同様の価値を有するのである。ソーシャル・ネットワーキングの台頭は、求人広告や魅力的な企業イメージの醸成、潜在的候補者との対話機会の創出などに役立つ新たなチャネルを企業にもたらした。「先導者」のCHROは、強力なブランドが、事業の成功に不可欠な一級の人財を魅了してやまないことを理解しているのである。

「先導者」のCHROは、データを利用して高度なスキルを備えた人財を生み出すことに長けている

グローバル経営層スタディ 第20版

AI/Data包摂時代のリーダーシップ

経営層スタディ2020
役職別レポート