サステナブル・デザインとは

中国にある向家壩水力発電所の空撮映像

執筆者

Julie Rogers

Staff Writer

IBM Think

Alice Gomstyn

Staff Writer

IBM Think

Alexandra Jonker

Staff Editor

IBM Think

サステナブル・デザインとは

サステナブル・デザインとは、製品やサービス、建物の設計段階でサステナビリティーを組み込むべきであるという考え方です。その目的は、廃棄物を削減し、社会の健康とウェル・ビーイングを向上させることです。

グリーン・デザイン、環境に配慮したデザイン、エコ・デザインとも呼ばれるサステナブル・デザインは、社会や環境への悪影響を軽減する長期的なデザイン・ソリューションを提供することを目的としています。サステナブル・デザインの核となる推進力は、加速する気候変動に対して行動を起こし、将来の世代のために自然環境を保護することへの社会の切迫感です。このコンセプトには、多くの場合、削減、再利用、リサイクルという3つの要素が含まれます。

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サステナブル・デザインの3つの要素

サステナブル・デザインの3つの要素は、削減、再利用、リサイクルです。

  • 削減:サステナブル・デザインにより、生産に必要な新しい材料とエネルギーの消費量を削減します。

  • 再利用:再利用可能な商品や素材は、再利用したり、目的を変えて他のものに使用したりできるように設計します。

  • リサイクル:リサイクル可能な商品や素材は、その寿命が終わると、新しい商品に生まれ変わったり、生分解されたりします。
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サステナブル・デザインが重要である理由

気候変動が地球と生態系に与える影響を緩和することへの社会的関心の高まりにより、さまざまな組織の株主や利害関係者にとって、環境、社会、ガバナンス(ESG)の要素が重要になっています。

ESG目標の達成には、多くの場合、ビジネスが環境や社会に及ぼす悪影響を減らすための取り組みが含まれます。商品、サービス、建物の設計段階にサステナビリティーを組み込むことで、エネルギー効率を向上させ、住民やコミュニティー・メンバーの生活の質を高め、二酸化炭素排出量を含む廃棄物や汚染を減らすことができます。

二酸化炭素の排出量削減やネットゼロの達成など、その他のESG基準を満たすことは、国連の持続可能な開発目標(UNSDGs)と足並みを揃えるのにも役立ちます。これらの目標を達成することで、地球を危険にさらすことなく生活条件を改善し、人々のニーズを満たすことができます。

サステナブル・ビルディング・デザインのメリット

サステナブルな建物設計は、サステナブル建築と呼ばれています。サステナブル建築の目的は、建築物が生態系や天然資源に与える悪影響を最小限に抑えることです。サステナブル建築のアプローチでは、建築部品の製造、建設プロセス、建物のライフサイクルを通じて必要となる可能性のある資源(暖房や電気の使用など)を考慮します。

たとえば、環境への集団的な影響を軽減するために、建築チームは再生可能エネルギーを活用したり、サステナブルな材料を使用したりできます。また、建物計画ではエネルギー効率と水の節約を最適化できます。サステナブルなアーキテクチャーでは、デザイナー、アーキテクト、エンジニア、そして将来の住民を含むチーム全体のコラボレーションが欠かせません。米国総務局のWebサイトで入手できるサステナブルな・デザインのチェックリストは、新しい建設や改修プロジェクトが「2020 Guiding Principles for Sustainable Federal Buildings」に準拠しているかどうかを追跡するのに役立ちます。1

サステナブル建築のもう1つの要素は、生産的な環境の構築です。これには立地の選択も含まれます。建物が全体的に小さな占有面積で設計されていたとしても、職場やサービス先から遠い場所にある場合、人々が行き来することで生じる汚染は、その建物のデザインが直接の原因となります。また、生産的な環境は、室内の空気の質、音響、自然光、温熱条件を重視し、快適で健康的な室内空間を確保するための環境品質を確保します。

サステナブル・プロダクト・デザインのメリット

製品設計は、製品の生涯排出量の80%を決定します。2 サステナブル・デザイン慣行では、計画から分解、そして耐用年数終了段階までの製品ライフサイクル全体にサステナビリティーを組み込みます。また、サステナブル・プロダクト・デザインは、素材を循環経済とも呼ばれるバリュー・フローの中に維持します。

デザイン

サステナブルな製品とは、環境に影響の少ないコンポーネントで作られており、毒性がなく、リサイクル素材から作られているか、もしくは環境に優しい方法で製造されたものです。これらの環境上の利点に加えて、影響の少ないコンポーネントの使用に関連する使用材料の削減とエネルギー効率の向上により、コストを削減できます。

製造

製造過程では、再生可能エネルギーまたはエネルギー効率の高いプロセスを用いて製品を製造します。これにより、製品のライフサイクル全体を通じて温室効果ガス排出量を削減し、リソースの枯渇を減らし、汚染を最小限に抑えます。

流通

製品を出荷する準備が整ったら、効率的な梱包とサプライチェーン物流戦略により、輸送時の排出量とコストを最小限に抑えます。たとえば、軽量なパッケージを使用することで、燃料消費量を削減します。

売却

製品の寿命が終わった時に、製品の再利用やリサイクルを容易にします。マルチコンポーネント製品は、解体とリサイクルを促進するために、構成材料の多様性(さまざまな種類の材料でできていること)を回避しながら製造します。例えば、同じ種類のプラスチックで作られたラベル付きのペットボトルは、紙ラベル付きのペットボトルよりもリサイクルしやすいという特徴があります。これにより、企業は環境規制を満たし(もしくは、その上を行く)、罰金を回避し、廃棄コストを節約し、潜在的な補助金や環境インセンティブを活用することができます。

循環経済とは

循環経済とは、材料をできるだけ長期間にわたって共有、再利用、修理、リサイクルする生産と消費のモデルです。製品のライフサイクル全体を延ばすことで、持続可能性を促進し、廃棄物を削減し、二酸化炭素排出量を最小限に抑えます。

このモデルは、原材料が自然環境から抽出され、製品に変換される従来の直線経済とは対照的なものです。直線経済は計画的な廃止に基づいているため、持続可能ではありません。つまり、製品は消費者に再購入してもらうために、寿命が制限されるように設計されています。循環経済モデルは、持続可能な消費を増やし、地球温暖化に対応する方法を示す政府、学界、ビジネス・ケース・スタディーで取り上げられることが増えています。

プロダクト・スチュワードシップとは

直線型のデザイン・システムでは、製造者はエンド・ツー・エンドの製品ライフサイクルに関与せず、販売後の製品やパッケージに対して責任を負いません。プロダクト・スチュワードシップは、サステナビリティーをデザイン・プロセスの中心に置きます。生産者は製品の生産、使用、廃棄までの製品ライフサイクル全体を考慮します。

プロダクト・スチュワードシップは、プロダクト・サービス・システム(PSS)モデルのように、企業が自主的に生産を循環させるために取り組むこともできます。PSSモデルは、自転車やカー・シェアリングなど、製品とサービスを同時に実現することで顧客のニーズを満たします。PSSモデルは、製品とサービスが一体となったものであるため、企業は長持ちし、耐久性のある製品を設計するインセンティブを得ることができます。製品の管理は、政府の政策によって奨励することもできます。例えば、欧州連合(EU)は、サステナブルな製品規制の枠組みであるエコデザイン指令(2009/125/EC)を通じて、より優れた製品デザインにインセンティブを与えています。

サステナブル・デザイン戦略の例

企業としてサステナブルなデザイン原則に従う方法はいくつかあります。

  • 材料の削減:テクノロジーの応用とサービスは、生産時に必要な材料、エネルギー、化石燃料の量を削減することができます。
  • モジュール・デザインの導入:複雑なプロセスを単純なモジュールに細分化することで、デザイン・プロセスを効率化することができます。
  • 長持ちするデザイン:ビジネスの知識、市場の状況、企業の能力、技術的な可能性をデザイン・コンセプトに組み込むことで、製品の耐久性と有用性を高めることができます。
  • シミュレーションへの投資:コンピューターで作成したモデルやシミュレートした環境は、生産開始前に部品や組み立て方法をテストするために使用することができます。
  • リサイクルのための設計:製造業者や設計者は、設計段階や開発段階で製品の寿命を考慮することがでできます。

サステナブル・デザインの認定

サステナブル・デザインのための基準と評価システムはいくつかあります。一部の評価システムは、Energy StarやC2C(Cradle-to-Cradle)認定など、ランドスケープ・アーキテクチャー、インテリア・デザイン、製品の評価に使用されます。また、グリーン・ビルディング認定もあり、一般に設計の選択と建築環境での製造に基づいて認定されます。

LEED(Leadership in Energy and Environment Design)認証は、世界で最も広く利用されているグリーン・ビルディング・プログラムです。LEED認証は、建物またはコミュニティーが持続可能な設計とエネルギー効率に関する一定の基準を満たしていることを認定するものです。LEEDの基準を満たす持続可能な建物は、温室効果ガスの排出量、エネルギーや再生可能資源の使用量が少なく、通常、運営コストも少なく、住民に質の高い生活を提供します。

一部の認証や評価システムは自動的に授与されるものであり、消費者は基準を満たすために必要な正確な要件を容易に入手することはできません。これは、製品の環境への影響や二酸化炭素排出量について虚偽や誤解を招くような発言をする行為である、グリーン・ウォッシングにつながる場合があります。

サステナブル・デザインの例

多くの企業が、サステナブル・デザインをビジネス慣行に取り入れています。

Apple

Apple社は、2030年までに自社の製品すべてをカーボン・ニュートラルにすることを約束しました。これを達成するため、同社は温室効果ガスの3つの最大の排出源である電気、材料、輸送に焦点を当てています。2023年、アップルはカーボン・ニュートラルの新しいApple Watchを発表しました。2 この新モデルは、完全に繊維ベースのパッケージを使用し、30%のリサイクルまたは再生可能な材料で作られており、100%クリーン・エネルギーで製造されています。

Delta

ニューヨークのラガーディア空港にあるデルタ航空のターミナルCの徹底的な再設計では、サステナブル・デザインが最前線にありました。このターミナルは、LED照明や、時間帯に応じて自動的に色とりどりのガラス、電気地上サポート装置の充電を備えています。同社によると、これらおよびその他の設計上の要素により、同ターミナルはLEED認証の対象となるとのことです。3

Patagonia

小売業者のPatagonia社は、製品の耐久性を促進しています。同社は、施設やサプライヤーに関する情報を共有するだけでなく、オーガニック・コットンや再生可能なオーガニック・コットン、ヘンプ、リサイクル・ナイロンなどの優先素材の使用を増やすことに注力しています。1996年~024年の間に、同社は優先素材の使用を43%から90%に増やしました。4また、衣料品の寿命を伸ばすための修理サービスを提供しており、新しい服の必要性を減らし、繊維廃棄物を最小限に抑えています。

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