IBM® Zの耐量子セキュリティーは、今後の量子コンピューターの脅威からデータを保護できるように設計された暗号化手法を採用しています。
全方位型暗号化は、保存データと転送データの両方を幅広く暗号化するための包括的なソリューションを提供し、耐量子暗号化をきわめてシンプルに導入できるようにします。
全方位型暗号化のフレームワークに統合されている耐量子暗号化によって、暗号化フレームワークのセキュリティーが強化されます。現在と今後の脅威からデータを保護しましょう。この手法を取り入れることで、データ保護に関連するコストを削減できるだけでなく、今後の量子の脅威に伴うリスクを大きく軽減できます。
新しい耐量子標準の採用に向けた準備には、いくつかの重要な段階があります。それぞれの手順については、IBM® Redbooksの『Transitioning to Quantum-Safe Cryptography on IBM Z』の第2章に説明があります。
最初にデータの価値を分類し、コンプライアンス要件を把握します。これはデータ・インベントリーの作成に役立ちます。
データを分類できたら、データを暗号化する方法と、暗号のその他の用途を特定し、移行の計画立案の助けとなる暗号インベントリーを作成します。暗号インベントリーには、暗号化プロトコル、対称アルゴリズムと非対称アルゴリズム、鍵の長さ、暗号プロバイダーなどの情報が含まれます。
耐量子標準への移行は複数年にわたる取り組みとなります。その間に標準は進化し、ベンダーは耐量子テクノロジーの採用を進めていきます。柔軟なアプローチを取り入れ、置き換えに備えておきましょう。従来型と耐量子の両方の暗号アルゴリズムを利用して、業界の専門家が推奨するハイブリッドのアプローチを導入します。こうして、現在の標準へのコンプライアンスを維持しながら、耐量子の保護を追加できます。
脆弱な暗号に代えて、耐量子暗号を採用します。従来型のコンピューターと量子コンピューターの両方の攻撃から組織を守り、大規模な量子コンピューティング時代においても情報資産を常に保護できるようにします。
IBM z16は、アプリケーションで暗号がどのように使われているかを発見するための複数のツールを備えており、移行やモダナイゼーションの計画に役立ちます。
認証では、IDや作成元を検証し、データ、ソフトウェア、ファームウェアの完全性を確保できます。コード署名などの手法を利用して、ベンダーが提供した正規のコードのみが実行されるよう保証できます。認証はIBM PCIe Cryptographic Coprocessor(CEX8SのHSM)とICSFで強化できます。これらはIBM Zシステムとシームレスに統合し、堅牢でセキュアなデータ保護を実現します。
耐量子アルゴリズムが業界標準に組み込まれ、セキュリティーが強化されることは、中心的な金融取引アプリケーションにメリットをもたらします。例えば、PINを用いるPOS取引やPINブロックの保護において、現在ではAES暗号化がサポートされています。IBM Zは、Integrated Cryptographic Service FacilityとIBM 4770 Cryptographic Coprocessorを使用して、PIN変換、PIN検証、一意の鍵管理などの必須タスクを処理できるため、コンプライアンスに準拠したセキュアな決済処理を実現できます。