テクノロジーは、日々進歩を続けています。今日は革新的なことでも、明日には時代遅れの足かせとなります。そして、企業に無限のIT予算がない限り、業界の技術進歩の最先端を走り続けることはほぼ不可能でしょう。その代わり、実際の組織は、より緩やかで計画的なイノベーション戦略を採用し、それが合理的な場合にのみ行動しなければなりません。
ただし、ITの進化からあまりに遅れを取ると、提供できるサービスや商品、販売できる相手、獲得できる収益に明らかなマイナスの影響が生じる可能性があります。
クラウド・コンピューティングが普及する以前の2009年に設立されたソリューション・プロバイダー、Tetherfi社は、主に銀行、金融サービス、保険(BSFI)分野の企業向けに、オンプレミスのソフトウェアとして運用される製品を開発してきました。しかし、2019年初頭、このやり方を見直す必要性が出てきたのです。
「当社は、大手企業のRFP(提案依頼書)に取り組んでいました」と、Tetherfi社のプリセールスおよび製品実現責任者、ビニー・マテュー氏は説明します。「これは当社にとって大きなチャンスであり、逃すわけにはいきませんでした。しかし、この見込み客はクラウドに移行する予定で、クラウドベースのソリューションを求めていました。さらに、当社のアプリケーションは、クラウド環境で実行するために設計されていなかったのです。そこで私たちは、自社のサービスをクラウドにどのように移行するかについて社内で話し合いを始めました。具体的には、ターゲット市場で素早くクラウド体制を整えるには、どうすればよいかということです。」
自社サービスの40%でハイブリッドクラウド提供モデルを実現
自社ソフトウェアのポートフォリオを見直したことで、Tetherfi社は新たな地域と市場に事業を拡大しました
また、Tetherfi社のチームはクラウドベースの提供モデルを取り入れることで、今後のメリットが大幅に広がる可能性も認識していました。ビニー氏は次のように述べています。「周囲に尋ねてみたところ、当社のターゲットとする市場の企業顧客の多くも、同様にクラウドへの移行を進めていることがわかりました。しかし同時に、その企業顧客はセキュリティに関して大きな苦難に直面しています。そのため、当社では柔軟性を高め、オンプレミスでもクラウドでも実行できるハイブリッド型モデルを求めていました。」
ところが、Tetherfi社はクラウドへの移行を始めるためのスキルを自社で持ち合わせていませんでした。そのため、事業ポートフォリオの見直しをサポートしてくれるクラウド・サービス・プロバイダーを探し始めたのです。そして幸いなことに、IBMを見つけたのです。
IBMのビジネス・パートナーとなったTetherfi社は、IBMの設計チームと調整を開始し、この大規模なRFPだけでなく、将来的なクラウドベースで行われるデプロイメントの需要にも対応できるよう、製品ポートフォリオを見直しました。
「当社のソリューションがクラウドでどのように機能すべきかを考え、ブレーンストーミングを幾度と重ねました」とビニー氏は振り返ります。「IBM Cloudチームと協力することは非常に有意義でした。IBM Cloudチームは、当社に対して単純にサービスや製品を販売するのではなく、当社のアプリケーションの稼働状況を深く理解し、クラウド環境に上手に移行する方法を徹底的に模索してくれたのです。単なるリフトアンドシフトに留まらない対応をしていただきました」
新型コロナウイルス感染症の大流行により、クラウドベースで広く採用されているツールのひとつにTetherfi社のSecure Work From Home (ibm.com外部へのリンク) があります。多くの企業がリモートワークに対する新たなソリューションを至急求めている中、Tetherfi社は導入にかかる時間を短縮してこのソリューションを提供できるようになりました。これまでのところ、同社はソリューションのうち約40%を新たなハイブリッド型モデルで提供しており、近い将来にはさらに多くのアプリケーションをクラウドに移行する予定です。
「私たちは一歩ずつ、取り組みを進めています」とビニー氏は付け加えます。「コンテナを構築してすべてをRed Hat OpenShiftでデプロイし、さまざまなマイクロサービスを開発しています。当社のサービスを徹底的にバインドするためにKafkaを導入することで、オンプレミスとクラウドの両方の長所を取り入れることができています。」
Tetherfi社はIBMと提携することで、5年間の大型契約の獲得にとどまらず、いくつもの新たな販売機会を得ることができました。「IBM Cloudは、新市場開拓において支えとなっています」とビニー氏は語ります。「IBM Cloudの導入に対しては、同社のこれまでの実績に裏打ちされた信頼性があります。そのため、当社のお客様は信頼性とセキュリティ面で安心してクラウド移行をしていただけます。
また、Tetherfi社は主に東南アジア市場で事業を展開してきましたが、ハイブリッド型サービスを提供することで、これまで未開拓だった新たな地域にも進出し、アジアだけでなく米国にも活動範囲を広げました。
Tetherfi社はその新たなサービス提供モデルを導入したことで、ユーザーにより高い品質で幅広いサービスを提供できるようになったのです。「当社のサービスは、お客様のニーズを必ず満たすことができます」とビニー氏は述べます。「オンプレミスであらゆるものを管理することができ、お客様の要望に合わせ、当社のクラウド型サービスを自在にご活用いただけます。」
さらに、ビニー氏は次のように続けます。「Red Hat OpenShiftは、現在のクラウド体制に関わらず、同じパフォーマンスと体験を提供することができます。当社の主な競争相手の1社が、オンプレミスとクラウドのソリューションで異なる機能一式を提供していることは事実です。そのため、当社のお客様には総合的に一貫した体験を提供することが、勝利の決め手の一つとなっていることは間違いありません。
2009年にInterlink社として設立されたIBM のビジネス・パートナー、Tetherfi社(ibm.com外部へのリンク)は、ボイスチャットやビデオチャット、画面共有、共同ブラウジングソフトウェアなどのITソリューションを開発し、より充実したカスタマー・サービス体験を提供することに注力しています。現在はシンガポールに本社を置き、インド、米国、スリランカにもオフィスを構えています。
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2021 年 12 月
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Secure Work From Homeは、IBMの製品またはサービスではありません。場合により、Secure Work From Homeは、製品または製品とともに提供される Tetherfi社の利用規約に基づいてユーザーに販売、もしくはライセンス供与されます。Secure Work From Homeの可用性、あらゆる保証、サービス、サポートはTetherfi社社が直接責任を負い、ユーザーに直接提供します。