ベトナムは、大きな成長を遂げようとしているフロンティア市場です。銀行サービスの需要が急増するなかで、中核となる銀行システムがそのニーズに応えられる体制を整えることが課題でした。

Techcombank社は、バンキングに対する大胆で新しいアプローチを推進するために、IBM LinuxONEを採用しました。これにより、新しい顧客中心のサービスにおいて、スピーディーかつ信頼性の高いパフォーマンスを実現し、急速に増大するニーズに合わせてシームレスに拡張していくことを目指しました。

ベトナムは、東南アジアで最も急速に成長している経済圏の一つと見られており、中間所得者層と高所得者層の人口が増加しています。しかし、ベトナムの成人人口の65%が銀行口座を持っておらず、金融包摂は依然として低いままです。

同市場は変曲点を迎えており、大きな成長を遂げようとしています。国内をリードする民間銀行の一つであるTechcombank社は、この機会を最大限に活かしたいと考えていました。

Techcombank社の最高技術および運用責任者であるChester Gorski氏は次のように言います。「ベトナムでは、モバイル志向の消費者の人口が急増しており、銀行サービスに対するニーズは高まるばかりです。新世代の人々に銀行サービスを提供し、金融面における生活の質の向上を支援する素晴らしい機会があります」

Techcombank社は、単に従来の製品やサービスを提供するだけではなく、さらに前進する必要があることを認識していました。現代の顧客のニーズやライフスタイルに適合する、差別化されたエクスペリエンスを提供することを目指していました。この目標を達成するために、ITインフラストラクチャーそのものと、従業員がテクノロジーを駆使して業務を遂行する方法の両方を変革する必要があることに気付きました。

Gorski氏は続けます。「当社は、顧客中心のビジネスモデルへの移行を続けており、この変革を実現するのに相応しいシステムとプロセスを導入することに努めました。新しいサービスを開始し、取引量と顧客数を増やすために規模を拡大するにあたって、当社とともに成長し、コストを抑えながらも、優れたパフォーマンス、安定性、可用性を提供してくれるインフラストラクチャーが必要です」

さらに次のように付け加えます。「テクノロジーは、一部に過ぎませんでした。また、IT部門において、より広範な文化的変化を推進することも検討していました。成功するためには、イノベーションは内部から推進されなければいけない、と信じています。そのため、チームに対して、テクノロジーの使い方において、これまでとは違った考え方をするように奨励しました。ビジネス・アズ・オーライの考え方に固執するのではなく、新しいアイデアを受け入れるようにしたいと考えています」

Techcombank社は現在、ITに対する断片的なアプローチから、高度に集中化されたスケーラブルなモデルに移行し、そのプロセスにおいて、目覚ましい効率アップとコスト削減を実現しています。

Gorski氏は次のように言います。「分散プラットフォームと水平スケーリングから、極めてスケーラブルな統合サーバー・プラットフォームに切り替えることができ、オペレーションを大幅に簡素化することができました。Temenosコア・バンキングおよびその他のTier 1システムをIBM LinuxONEに移行することで、総所有コストを約44%削減できることを見込んでいます。このコスト削減は、ソフトウェアのライセンスおよびメンテナンスのコスト削減、ハードウェア使用率の向上、床面積、電力、冷却要件の改善によってもたらされます」

新しいテクノロジーへの移行は、IT部門のマインドセットの変化を引き起こすのにも役立っている、Gorski氏は言います。「最初は、皆が新しいプラットフォームに対して不安を感じていました。これまでの分散型アーキテクチャーから大きく離れていたからです。LinuxONEを直接体験して、ITに対するアプローチを改善し、簡素化できることを確認したことで、新しいテクノロジーを受け入れることができたようです。より多くのシステムをLinuxONEに移行することで、節約した時間と労力をイノベーションに再投資することができます。そして、顧客に新しいサービスを提供できるように、IT部門が本当の意味で支援できるようになります」

さらに、取引のワークロードが高いときでも、LinuxONEの超高速のパフォーマンスにより、ビジネス・ユーザーとエンド・カスタマーの両方に、応答性が高く信頼性の高いサービスを提供できます。

「IBM LinuxONEにより、通常の実稼働パフォーマンスを損なうことなく、動的なワークロードを吸収する能力が大幅に向上しました」とGorski氏は言います。「当社にとって最も忙しい時期の一つである旧正月中に、このことを明確に確認できました。取引量が通常の1日の4倍に増加したにもかかわらず、IBM LinuxONEの完璧なパフォーマンスにより、動揺せずに済みました」

同氏は次のように付け加えます。「バッチ処理の時間も大幅に短縮できました。以前は、バッチ・サイクルが長引き、データ・ウェアハウスの実行期限に間に合わなくなるリスクもしばしばありました。つまり、財務およびリスクのマネジメントチームが必要とする数字を期限内に提供できないかもしれない、という大きなプレッシャーにさらされていました。LinuxONEのおかげで、バッチ処理の時間を8時間から5時間半に短縮することができ、30%以上も改善しました。これにより、データを報告にすぐに活用できるようになり、ビジネス・ユーザーがしっかりとした決断を下すために必要な最新のデータを入手できるようになりました」

重要なのは、IBMのソリューションにより、ニーズの増加に応じて、Techcombank社がリソースを迅速かつ簡単にスケールアップできるようになり、急速な拡大の余地が得られるということです。

「IBM LinuxONEにより、成長に向けた準備が整いました」とGorski氏は言います。「リソースの需要が増大しても、基盤となるアーキテクチャーを気にすることなく、必要に応じて追加のコアやメモリをアクティベートするだけで済みます。これは、当社のような高成長環境において、真の強みです。例えば、当社のeバンキング・サービスの取引量と取引額は、2015年から2017年にかけて、それぞれ107％と129.6％の複合年間成長率（CAGR）で増加しており、より大きな容量とメモリをオンデマンドでスピンアップできることは、顧客からの需要増にシームレスに対応できることを意味します。

「ベトナムの銀行市場は急速に進化しており、IBM LinuxONEは、当社の成長軌道と将来のダイナミックなニーズをサポートする高速で柔軟な基盤を提供してくれます。IBMの協力により、市場が提供する機会を最大限に活用し、銀行業界のリーダーとしての地位を強化できると確信しています」

Techcombank（ibm.com外部へのリンク）として知られるVietnam Technological and Commercial Joint Stock Bankは、1993 年に設立されました。その後、ベトナム最大級のジョイント・ストックの民間銀行に成長しました。同社は、ベトナムの540万を超える個人顧客および法人顧客に幅広い金融商品とサービスを提供し、全国で315の支店ネットワークを運営しています。