ビジネス上の課題
Sopra Steria社の顧客は、AIチャットボット・ソリューションを必要としていました。単にシンプルなチャットボットではなく、実際に顧客の課題を解決するインテリジェントな仮想アシスタントを見つけることが重要でした。
概要と経緯
Sopra Steria社は、Watson™ Assistantソリューションを機能拡張して、迅速な導入、接続性の向上、機械翻訳を可能にしました。このターンキー・プラットフォームは、欧州の10カ所の実動環境に導入されており、成功を収めています。
成果
顧客サポート時間の拡大
顧客サービス担当者を増やすことなく24時間体制のサービスの提供を実現しました。顧客からの問い合わせの80%
1つの大規模な実動環境で処理できるようになりました。顧客サービス担当者を解放
複雑で繊細な、価値の高い顧客の問題に集中できるようになりました。ビジネス上の課題の詳細
適切なAIプラットフォームを探求
Sopra Steria社は、デジタル変革サービスの大手プロバイダーとして、高度なテクノロジーを最大限に活用して、顧客の最も複雑で重要なビジネス上の課題を解決することに取り組んでいます。この取り組みでは、レガシー・システムにAI、ブロックチェーン、モノのインターネット(IoT)、クラウドを統合することで様々なインテリジェンス機能を付加し、より俊敏性と適応性の高いビジネス・プロセスを構築しています。Sopra Steria社は2015年に欧州のITサービス企業として初めてIBM Watson Ecosystemプログラムに参加し、それ以降は顧客のソリューションにAIを頻繁に組み込んでいます。
そして現在、Sopra Steria社は一般的な問い合わせへの対応を自動化するためにチャットボット・ソリューションを導入したいと考えるさまざまな業界の顧客と協働しています。さらに同社は、基本的なサポートとトラブルシューティングを提供するレベル1のヘルプ・デスク・サポート・センターを運営しており、仮想アシスタンスがこのサポート・センターの今後の成功の鍵であると考えています。
Sopra Steria社のテクニカル・ディレクター兼人工知能シニア・アーキテクトであり、IBM ChampionでもあるPatrick Meyer氏は、「実は当社は、単なるチャットボット以上のものを求めていました」と説明しています。「当社の顧客は、単に質問に答えるだけでなく、実際に顧客の問題を解決できるインテリジェントな仮想アシスタントを必要としています」
Sopra Steria社は、あらゆるアプリケーション、デバイス、チャネルに会話型インターフェースを構築でき、あらゆるクラウド上で実行可能な、インテリジェントな仮想アシスタントを求めていました。さらに、24時間体制のサポートの提供、顧客サポート・チームの生産性の向上、運用コストの削減など、同社の要件は多種多様です。また、セキュリティーや複雑なダイアログを管理する能力も重要な検討事項でした。
Sopra Steria社は、15種のAI仮想アシスタント・ソリューションを徹底的に評価した結果、Watson Assistantオファリングを選択しました。「当社はチャットボットへの問い合わせでよく使用される2,000以上の文章からなるトレーニング・セットを作成しました」とMeyer氏は指摘します。「そして、これらの文章を正しく認識して分類できるかどうかを、15種のソリューションでテストしたのです。その結果、Watson Assistantが最も正確に機能するだけでなく、当社が求めるその他の要件も満たしていました」
“ 当社では、15種のAI仮想アシスタント・ソリューションの徹底的な評価を行い、Watson Assistantが最も優れていて精度が高いことがわかりました。 ”
— Patrick Meyer氏, テクニカル・ディレクター、人工知能シニア・アーキテクト、IBM Champion, Sopra Steria社
概要と経緯の詳細
ソリューションを機能拡張して迅速に導入
Sopra Steria社は、インテリジェントな仮想アシスタント・アクセラレーター・エンジンのAI基盤として、Watson Assistant、IBM Watson Language Translator、IBM Watson Natural Language Understanding、IBM Watson Text to Speechの各ソリューションを選択しました。ほとんどのチャットボットは人間の対話の模倣を試みますが、これでは意思の疎通が正確にできないときにユーザーは不満を感じることがあります。Watson Assistantテクノロジーは、回答するタイミング、説明を求めるタイミング、人間の担当者に質問を転送するタイミングを把握しているため、何千もの企業から信頼されています。Watson Language Translatorソリューションは外国語による問い合わせを翻訳し、Watson Natural Language Understandingオファリングは照会からの複雑な情報の抽出をサポートします。Watson Text to Speechテクノロジーは、Watson Assistantソリューションと連携して、書き言葉のテキストをさまざまな言語やトーンの自然な音声に変換します。
Sopra Steria社は、さまざまな顧客の業界や環境での導入を加速するために、Watson Assistantテクノロジーを機能拡張しました。「当社のソリューションは、Watson Assistantや市場に出回っている他のAIチャットボットや仮想アシスタントよりもはるかに迅速に導入できます」とMeyer氏は言います。「当社が作成したグラフィカル・ユーザー・インターフェースは非常に直感的であるため、当社がシステムをセットアップしてトレーニングを行えば、ユーザーはすぐにダイアログを開始できます。導入を検討しているお客様が初めてこのソリューションを見ると、とても簡単に使えるので皆様驚いています」
さらにSopra Steria社は、ダイアログを管理するオーケストレーターとフロントエンド・インターフェースを追加し、外部システムとの接続も可能にし、データの保存・復元機能と機械翻訳の機能まで導入しました。「当社のユーザーの多くはフランス語と英語の話者なので、同じダイアログを両言語で使用できるようにする必要があります」とMeyer氏は言います。「また、特別な要望もあります。例えば観光局や警察の場合、海外からの訪問者に対応するために、中国語、日本語、ロシア語、韓国語、英語、フランス語のサポートが求めらます。そこで、そうした問い合わせを英語に翻訳してWatson Assistantで処理し、その回答をユーザーの母国語に翻訳して回答する翻訳エンジンをシステムに追加しました」
インテリジェントな仮想アシスタント・アクセラレーター・エンジンは、IBM Cloud™上でも、顧客サイトのオンプレミスでも実行可能です。「このソリューションをオンプレミスに配置することで、請求、人事、情報管理用などの顧客の社内システムにダイアログを簡単につなげることができます。ソリューションが完全にオンプレミスに配置されていても、プライベートとパブリックの両方を活用するマルチクラウドであるため、どこからでもアクセスできます」とMeyer氏は付け加えます。
Sopra Steria社は、Red Hat OpenShift(ibm.com外部へのリンク)テクノロジーを使用して、同社の従業員向けのアプリケーションを構築して導入しています。この先進のマルチクラウドKubernetesプラットフォームは、あらゆるクラウド上のコンテナ・スタックのインストール、アップグレード、ライフサイクル管理を自動化します。Red Hat OpenShiftプラットフォームは、開発者に革新的なツールやアプリケーションに加えて、新しい概念を実験してテストするためのサンドボックス環境を提供します。また、このソリューションはアプリケーションのプロビジョニング、管理、スケーリングを自動化するため、Sopra Steria社の開発者は同社の仮想アシスタントなどの画期的なソリューションのコード作成に集中できるようになります。
Sopra Steria社は、同社のインテリジェントな仮想アシスタント・ソリューションやその他のマネージド・サービスのインスタンスをサポートするために、Red Hat OpenShiftテクノロジーを使用して、24時間体制のサポート、インシデントの解決、迅速な導入、セキュリティーが充実したエンタープライズ・グレードの機能を自動化しています。
成果の詳細
欧州全域での顧客サービスの向上
Sopra Steria社は、エンドツーエンドのインテリジェントなターンキー仮想アシスタント・ソリューションを欧州全域の顧客に販売しています。最初に販売されたソリューションは、フランス政府やその他の公的機関の購買業務を処理する中央デジタル請求ポータルをサポートすることを目的として導入されました。このソリューションは、最初の1カ月間で75,000件以上の会話を処理し、Watson Assistantソリューションに対して340,000件の要求を生成しました。このソリューションは、顧客からの問い合わせに24時間体制で対応し、運用コストを削減するなどのメリットをもたらしました。
現在、この請求ポータル・ソリューションは、全問い合わせの80%を解決しています。今後はさらなる機能拡張により、可能な限り多くのインシデント・タイプをスクリプト化してモデル化する予定です。このシステムは今後ますます充実したセルフケア機能を実装していくことで、顧客サービス担当者に届く新たなサポート・チケットの数を減らし続けていきます。
「請求ポータルは600のシナリオに対応しており、そのうちの100は複雑なシナリオです。最初は450,000人のユーザーに対応していましたが、現在では150万人以上のユーザーに対応しています。このシステムは、2020年には、顧客サービス担当者を増やすことなく、300万人のユーザーに対応できるようになるまでに成長する予定です」とMeyer氏は述べています。
Sopra Steria社は、Red Hat OpenShiftとWatson Assistantで使用可能な開発者向けのツールを活用して、保険、小売、官公庁・自治体などのさまざまな業界向けに同社のソリューションを調整してきました。現在、Sopra Steria社のインテリジェントな仮想アシスタントは、10カ所の顧客サイトで稼働しています。同社は、社内でもこの仮想アシスタントを人事や営業提案用の開発アプリケーションに使用しています。
Sopra Steria社は、インテリジェントな仮想アシスタント・アクセラレーター・エンジンにWatson Assistantテクノロジーを使用することを選択したことで、業界をリードするAIテクノロジーを顧客に提供できました。「当社の顧客は、複雑なシナリオに対応でき、使いやすく、導入しやすいクラウド・ベースのAIソリューションを必要としています」とMeyer氏は締めくくります。「当社は、それぞれの訪問者に適切なコンテンツを提供するために、IBM Watson Real-Time Personalizationのようなさらなる拡張機能を模索しています。WatsonとRed Hat OpenShiftの未来と、当社がそれらを活用して顧客のビジネスを次のレベルへと導くことを楽しみにしています」
“ これは始まりにすぎません。多くの企業が本当に優秀なAI仮想アシスタントを求めており、当社にはそうした希望を叶えるWatson Assistant搭載の最高のソリューションがあります。当社のソリューションを目にした企業は、その使い勝手の良さに驚き、すぐにその価値を理解します。当社はそうした企業に、このソリューションをいつでもお客様の環境に導入できることをお知らせするだけでよいのです。 ”
— Patrick Meyer氏, テクニカル・ディレクター、人工知能シニア・アーキテクト、IBM Champion, Sopra Steria社

Sopra Steria社
IBMのビジネス・パートナーであるSopra Steria(ibm.com外部へのリンク)社は、コンサルティング、デジタル・サービス、ソフトウェア開発の欧州のリーダーです。Sopra Steria社は、同社の顧客が、デジタル変革の目に見える持続的な効果からメリットを得られるよう支援しています。大企業や大規模な組織の競争力を高めるエンドツーエンドのソリューションを提供することで、Sopra Steria社は、幅広いビジネス分野の深い知識と革新的なテクノロジーに、完全にコラボレーティブなアプローチを融合させています。パリに本社を置く同社は、45,000人の従業員を擁し、25カ国で事業を展開しています。2018年の同社の売上は10億ユーロでした。
次のステップ
この事例で扱っている IBM のソリューションの詳細については、IBM 担当員または IBM ビジネス・バートナーにお問い合わせください。