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サムスン電機
1973年に設立したサムスン電機は、コアとなる電子コンポーネントを開発・生産し、韓国国内だけでなく世界に商品を供給する企業に成長しました。同社は次世代に向けた有望な新製品の開発に注力しており、最近では素材、多層薄膜成形、高周波回路設計といったコア技術をベースに、マイクロチップ、カメラ、通信モジュール、基板など部品の開発・生産を拡大しています。
サムスン電機は、テクノロジーの統合および融合を通じて、コア製品の世界水準の確立と新製品の継続的な開発により事業ポートフォリオを拡大するとともに、次世代の将来成長事業を早期に育成し、電子コンポーネント業種・業務におけるNo.1企業になるというビジョンを掲げています。
サムスン電機が世界市場で競争上の優位性を維持するために最も重要なのは製品の品質です。 同社は、顧客が非常に高い品質レベルを求めており、社内では営業利益を増やすために高い歩留まりを必要としているため、徹底した品質対策を追求することで知られています。
サムスン電機は、このような社内外の品質要求に応えるため、生産性の向上と複雑さの軽減に役立つ最先端のデータプラットフォームを構築することでデジタルイノベーションを着実に推進しています。
世界中の顧客にコア電子部品を製造および供給するという急成長中のビジネスをサポートするために開発していたスケーラブルで接続性の高い堅牢なデータプラットフォームについて、同社はデータ統合、可観測性、Master Data Management、データ・ガバナンス、セキュリティーを重要視していました。
データ資産の数が500から2,500以上に増加
通常の処理にかかる日数の改善(30日から10日以下へ)
最先端テクノロジーを積極的に採用していることで広く知られるサムスン電機は、すでに生産段階で生成された大量のデータを活用し、製品の品質を向上させるための洞察を得ています。これには、製造プロセスで欠陥を引き起こす要因を見つけて排除し、製品の純度を高めるためのデータ監視用ダッシュボードが含まれます。
サムスン電機は、生産インプット用の製造実行システム(MES)、設備データシステム、品質アセスメント用の歩留まり分析システムなど、多様な製造システムを保有しています。 しかし、これらのシステムで生成されたデータは、組織全体のさまざまなシステムに分散して広がっていたため、迅速かつ効率的に検索、標準化、利用することが困難でした。状況はさらに複雑で、異なるシステムに重複データが存在し、個人情報や機密情報が混在しているケースもありました。多様なデータソースを活用して有用な洞察を得るためには、厳格なガバナンスが必要でした。
「散在したデータを統合的に把握することができなかったため、各担当者が聞き込みをしてデータの所在を調べ、システム担当者に必要な内容を説明し、データを請求して受け取る必要がありました。個別にデータを収集して分析するには、人脈を含めたあらゆる手段を駆使してデータを取得し、分析する必要があり、時間と手間がかかりました。そのため、必要なデータに対する明確なアクセス権と承認を追跡することはさらに大変でした。アクセス権の変更の確認にも同様に時間がかかり、データ収集が失敗に終わることもありました」とサムスン電機のプロジェクトリーダーであるSanghee Han氏は言います。
サムスン電機は市場の主要なソリューションをすべて検証し、どのプラットフォームがImpala、SAP HANA、MS SQL、Oracleなどのデータベースやサーバーと良好な接続を提供できるかについて概念実証を行いました。データが検索可能で、また、直接データを取得して送信できる必要がありました。何よりもサムスン電機の流通システムとセキュリティーシステムに従ってカスタマイズができることが重要でした。
その結果、IBMのCloud Pak for DataとWatson Knowledge Catalogソリューションが最もスケーラブルであると証明されました。「特に、私たちが検討したソリューションのほとんどがメタデータの処理のみに限定されていたり、データ系列や処理が必要なデータのために追加の製品を購入する必要があり、すぐに使用できない、などの問題がありました。このような問題がないのはIBMのCloud Pak for Dataだけです」とサムスン電機のプロジェクトリーダーであるSanghee Han氏は言います。
さらに、IBMのCloud Pak for Dataを使用して、SPSSを実行およびスケーリングし、Jupyter Notebookを介してダッシュボード上のデータを視覚化できるというメリットもありました。また、サムスン電機のチームは、データを使用したツリーの構築、データマップの描画、追加のセキュリティー機能の追加など、必要な機能を作成、追加、補完、制御するためのポータルをソリューションのフロントエンドに構築しました。企業のニーズに合わせてカスタマイズでき、自社システムと組み合わせて使いやすいことが大きなメリットでした。
当初はアセットのインポートや関数の使用における技術的な課題があったものの、Impala、SAP Hana、Oracle、MS SQL、およびその他のデータベースサーバーとの接続は成功しました。韓国IBMが積極的に技術サポートの提供に関わったことで、サムスン電機チームは技術的な問題を解決することができました。開発作業は2021年10月から始まり、12月に第1フェーズのテストが開始されました。実際のプロジェクトは2022年4月22日に正式に公開され、完了までに約6か月かかりました。
現在、IBM Cloud Pak for Dataに基づくこのプラットフォームは、複数のソースから生成されたデータを体系的な資産に整理し、組織全体でAPIを通じて簡単に共有、検索、活用できるようにします。個人情報や機密情報は、サムスン電機の厳格なガバナンス原則に従って管理され、データ資産は新しく生成されたデータで継続的に更新されます。これらのデータ資産の数は500から2,500以上に増加し、今も増え続けています。
IBMのCloud Pak for Dataを使用してデータ・プラットフォームを構築する最大のメリットは、ユーザーにセルフサービス機能を提供することです。ユーザーは開発者に何日もかかるデータの取得を依頼する代わりに、必要なデータをすばやく見つけ、必要な形式で処理し、すぐに利用することができます。これにより、ユーザーは通常30日かかっていたタスクを10日以内に完了できるようになりました。
「ある同僚は、1週間かかっていた作業が1日で完了できるようになったと言いました。 所要時間はデータの種類によって異なりますが、従業員の全体的な生産性が向上し、そこから有用な洞察を引き出すことができます。顧客から特定のデータを要求された場合、当社のチームはデータを迅速かつ効率的に検索、分析、提供することができ、これは当社の従業員だけでなく顧客の満足にも貢献しています。」
「さらに、サムスン電機のデータコーパスの大部分を占める原材料システムからデータレイクで利用できるデータ量が大幅に増加しました。構造化データやファイルだけでなく、画像や非構造化データも接続されたポータルで検索して活用できるようになったことも、このプロジェクトの大きな成果です」と、サムスン電機のプロジェクトリーダーであるSanghee Han氏は述べています。
同社は、プロジェクトの成功結果に基づいてデータプラットフォームを引き続き拡張する予定です。このソリューションに接続されているデータシステムの数は、当初の5~6つから現在では20以上に増加しています。現在はデータサイエンティストと協力して主にDataOps側で利用していますが、今後はMLOps側でも利用していく予定です。
「このようなイノベーションのプロセスは日常的に行われるものではないため、ゼロから作成してプロセスを設定するのは思ったより大変でしたが、ユーザーが非常に満足しており、予想以上にうまく活用できているため非常にやりがいを感じています」とサムスン電機のプロジェクトリーダー、Sanghee Han氏は締めくくります。
サムスン電機 (ibm.com外部リンク)は韓国の京畿道水原市に本社を置く多国籍電子部品会社であり、Samsungグループの子会社です。サムスン電機の2022年の収益は9兆4,246億ウォン(73億米ドル)、純利益は1兆1,828億ウォン(10億米ドル)でした。
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2023年9月米国で作成。
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本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開しているすべての国で、すべての製品が利用できるわけではありません。
引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントが IBM 製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストや結果の特性は、クライアントごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって各クライアントの結果は異なるため、一般的に予測される結果を提示することはできません。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。